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翡翠の薔薇15






下にいる女は既に足まで凍りつき、上にいる男はまだ全身とはいかずとも

着実に凍っていく



男はその女を抱き締めているせいか、


その女と触れ合っている部分から無情な冷気と共に蝕まれていった





そんな中、小さな声がぽつりぽつりと紡がれる





ーーー…ねぇ?…##NAME1##……もう、ひと…つ…聞いて…?






穏やかな声が途切れながらに、胸の内を響かせていく





ーーー……##NAME1##…が、親の…話をした、時……今のように……とても、冷たか、ったんだ…





背中のコートへ小さく甲高い音を響かせながら侵食していく氷






ーーー何も…受け付けないような……何があっても、…動じない……無関心さも…感じた、






唯一動ける頭も背中から侵食されていきその紫の髪が色をつけて固くなっていく






ーーー……でも、一番に、感じたのは…”拒絶”で………正直、悲しかった……そんな、##NAME1##が…怖かった……







ついに耳、頬にまできたと言うのに焦りの色が全く感じられない、むしろ安心しているような穏やかな声





ーーー………それと、同時に…綺麗…だな、って……思った…… っ、オレ……絵、描くの…好きなん、だけどさ……今まで、で描くのが…楽し…かったのは……氷、なんだ…よね……





もうその穏やかな表情は凍って、喋る事すらも限界だろうに………声はまだ紡ぎ続けた






ーーー…眺、めるのも……描く、ことも…たべる、のも……好きで…さ、……いま、も…いきなり……凍っちゃう、し……わけわかん…





唇が閉じた時に都合よく凍ってしまった
だが、まだ負けまいと口が大きく開かれ頬までの氷を少し落とす






ーーー…っ、けど……きれい、だ………俺…はっ……はなれ…な、い……からな…っ、いやだ……と、いって…も…………






長く、ゆっくりと紡いだ声はやっと止んだ



ぱきりと乾いた音が響き完全に凍りついた




ついさっきまで紡がれた胸の内は冷たい女に対する、想いと男自身の答えだった





はたしてその長い詩はその女に響いたか、定かではない




だが男の表情は柔らかかった






その通路には男女の凍った姿がひとつの塊となって転がっていた




まだ凍り続けているのか、冷気を広がらせて横たわる





氷塊となった女は、腕の中で何を思っているのやら…







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