翡翠の薔薇18
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ミランダside
ギャリーが階段を下りて行きひとりになった部屋で自然と溜め息が出た
『…死んでから見守る事しかできなかったあたしが……、まさか遠い孫に会えるなんて夢のようだわ』
何十も何百も前の身内に会うことなんて普通はありえない
会えたのはきっといつから始まったのか解からない魔力のおかげだろうか
疲れた身体を引きずり窓を開けた後ベッドに倒れこむ
『………メアリー……元気でいるだろうか…』
メアリー…
あたしとジョーンの大切な大切な娘
メアリーの肖像画を見つめていると愛しさと悲しさから涙が出てくる
『…ワイズ・ゲルテナ……』
絵描きゲイリーの昆孫ーこんそんー
(翡翠の薔薇17参照)
ワイズも同じように絵描きだった
ある日ゲイリーが描いたあたし達の肖像画を見つけ、ゲイリーの作品に魅了されたワイズは練習をしようと真似して新しくゲイリーの作品を描き始めた
だがワイズは全員を描き終える前に死んだ
心臓発作だった
唯一描き終えたのはメアリーとチェイニーの2人の肖像画
ゲイリーの残したあたしとジョーン、メアリー、チェイニーを含め14人の肖像画を描くというワイズの夢は途絶えた
彼のひとり息子が父親と同じ様に絵描きを目指しワイズの叶えられなかった夢を叶えようと絵描きを目指した
だが彼は一枚も描けず交通事故で死んでしまった
そしてその息子もまた絵描きを目指している
『こんなに続く家計なんて珍しい、皆同じ職業を目指すのも羨ましいほど続いてるもんだ……まさに絵描き屋と呼べるな』
ゲイリー……良かったな
お前の愛した美術がお前が愛する息子や孫達に今も引き継がれている
今日、お前の遠い孫が来たよ
お前の孫の中で性格も容姿も一番そっくりだ
あの時に戻れたようで少し嬉しかったよ
『………だが、ギャリー…キミも父親や祖父と同じ様に早死にしてはいけない
生き永らえてもゲイリーと同じ道を歩んではいけないよ、絶対に』
ギャリー、お前の遠い父が今どうしてるか……それを知ったらお前はゲイリーの事をどう思うだろうな?
『………あの美術作品達の世界ができてしまったのも…あたしのせいなのかな…』
あたしが魔力なんて持ってなけりゃ娘も##NAME1##も普通に産まれてこれたのに…
運よく##NAME1##の前の孫までは魔力は引き継がれなかったものだからなくなったのかと油断してた…
でも魔力は決してなくならない…必ず誰かに引き継がれていく
そして生意気にも魔力は人を選ぶ
ジョーンの遺伝子を強く持って産まれた孫達は魔力を持たなかった
だけど娘と##NAME1##はあたしの遺伝子を強く受け継いだ
あたしの遺伝子は魔力と相性が余程良いんだろう、迷惑な話だ
特に##NAME1##は強大な魔力を持っている
あたしの魔術の盛んな時代ならまだ魔力を持っても普通だった
だが時代は流れ変わり、魔術は存在しなくなった
そんな中魔力を持って産まれてしまった##NAME1##は親に我が子として認められず捨てられそして周りにも愛されなかった
……あたしが魔力を持っているから##NAME1##は普通の子に産まれてこれなかったんだ
あたしの遺伝子を持たなければあんな生活をさせてやらずに済んだのに…
『…………ごめんなさい………ごめんなさい、##NAME1##っ…』
…今##NAME1##を支えられるのはギャリーだけだ
彼に賭けるしかない
本当はチェイニーにも任せたいところだったけど……今は…
『………チェイニーの事も…全部あたしのせいなんですかね…?』
チェイニーは養子だけどメアリーをとても可愛がってくれた大切な家族のひとり
特に絵描きのゲイリーととても仲が良かった
ワイズの作品によってその絵に宿ったメアリーを追ってチェイニーも作品に宿った
でもその後すぐにチェイニーは自我を失くして…
その身体はゲイリーがとってしまった
『……チェイニー…何もできなくてごめん……』
あたしは魔術が使えると言っても直接的な魔法はこの自分が作った空間でしか使えない
チェイニーや##NAME1##、メアリー、ギャリーを助けたくても見守る事しかできない
声をかけるくらいなら少し休んだらできるだろう…
『結局は何もできないのと同じだけど…』
でも何かしてあげたい
作品達やこの空間があるのはあたしの責任でもあるのだから目を背けるわけにはいかない
##NAME1##達を元の世界に出してあげて、チェイニーやゲイリーもあの空間から出してあげなきゃ…
『………さて、一眠りしてさっさとあの子達を助けてあげなきゃな』
…もしこの先、何があってもアレがあれば大丈夫
あたしの魔力のほとんどを込めたからきっと四人を助けてくれるはず
……あ。そういえばあの空間から出たら##NAME1##はどこに帰りたいのかしら?
後で聞けばいいか、彼女自身の道だからね
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