翡翠の薔薇17
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
目にチクリと何かが刺さったような感覚に瞼を強く瞑った
でも痛みはほんの一瞬でまたすぐに目を開けるとそこは先程とは違う部屋だった
『……唯一の………な時間、…ています』
「…は、はぁ」
そしてすぐに後ろから聞こえた声に驚いて振り向くと二人の女性がお茶をしていた
ギャ「……わっそぃ?」
心配で仕方なった人を見て自然と言葉が出た
そこではっと気付く
ギャ「…しゃべ、れる……」
見ればちゃんと自分の体で思ったとおりに動ける
確かめるように数回手を握った後わっそぃの方を見た
もう一人の女性と話しながらケーキを食べている
ギャ「…なに優雅にお茶飲んでんのよ;」
と言ってもわっそぃは困った表情を浮かべて女性の話を聞いているのだが…
わっそぃの向かいの女性は本のページをめくりながら何かを話している
『……聞いた話……-自身、--の存在すら知らな…た………』
距離としては数歩先なのに会話が聞き取れない
何かノイズが聞こえるわけではない
だが言葉が抜けて聞こえている
ーーーおかしい… あっちは小さな声で話しているわけでもないのに
「…死者、の世界…?」
ギャ「…は?」
とうとう自分の耳はおかしくなってしまったのか
わっそぃは女性に見せてもらっている本を見つめながら呟いた
『私はもう既に死んで…---この小さな空間を--………のは同じ死者か……持った生者だけ……---…』
会話は良く聞き取れないが二人が普通の話をしてない事くらいはわっそぃの呟いた短い単語で充分理解できた
「……死んじゃうん、スか…?」
『放って置くと確実に、ね』
女性の言葉にわっそぃの頬が引きつる
それを見て女性は少し笑いわっそぃに何かを話していたがどこか切なそうだ
それを見てひとりあたふたしているわっそぃが突然立ち上がりお辞儀をした
それには女性だけでなく自分も驚いた
『…』
そしてこっちを振り向いた女性に心臓が止まるかと思った
もちろん今頭を下げているわっそぃは知らない
こっちに向かってにこりと微笑み手を振った女性はすぐにわっそぃの方に向き直った
ギャ「…………」
何も言えず、その後のわっそぃと女性の会話も気にしていられなかった
……最初から気付いていたのか?
そう思うと恐ろしくなった
わっそぃが落ち着き席に座りなおした後2人は真剣な表情で話し始めた
そして何を聞いたのかわっそぃがフォークを落とした
それ程何か驚く事なのだろうか?
「………それは、…まだ……」
『…---、…正直なところ……生きているかわからない』
言葉が抜けて聞こえていたのが今のところだけ妙にはっきり聞きとれた
落ち着こうとしているのか震える手で紅茶を飲んでいるわっそぃを女性は心配そうに見守っている
「…行きます。」
そう言って立ち上がったわっそぃを女性は冷ややかな目で見た
それから女性とわっそぃのピリピリとした話しが始まった
内容は良くわからなかったがとりあえずわっそぃが無駄に男前な発言をして張り詰めていた会話が終わったみたいだ
話しながら女性は席を立ちこっちに向かって歩いてきた
いきなりのことで戸惑っていると女性は目の前を通り過ぎて後ろのクローゼットを開けた
ふと後ろを振り向くとわっそぃと目があった
ギャ「……あ、わっそぃ…」
どうすればいいのかわからずとりあえず軽く手を振ってみたが無反応
ギャ「ちょ、ちょっとわっそぃ…?」
そして席を立ちこちらに歩いてくる
何事かと思っていたら目の前を通り過ぎ後ろの女性のもとに行った
自分が見えていたわけではなく自分の後ろを見ていたのか…
(何か虚しいというか…悲しくなってきた…)
高価そうな懐中時計を受け取り階段の方へと2人は向かう
『ひとつ、貴方に言わなければならない事があるの』
「…なんです」
『…貴方を追っているピエロ、この先にいる』
その言葉に驚いたがわっそぃを見ると驚いた表情で石のように固まっていた
「なぜ…あなたそれを……話していないのに…」
混乱するわっそぃを女性はまた次に説明するからと言ってピエロがどこにいるかを話した
話を聞いてそれでも行かなきゃと言っていたが明らかに怯えている
数回深呼吸をして心配そうに見つめる女性に向き直ると
「…行く」
今度ははっきりと、しっかりとした姿勢で発言した
それに少し安堵の表情を見せた女性はこれから階段を下りて行こうとするわっそぃに何か小さな光を教えわっそぃを見送った
わっそぃが階段を下りていった後、女性はこちらを振り向いて挨拶をした
『御機嫌よう、ゲイリー』
.