翡翠の薔薇17
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次はどこをすり潰してやろう
粉々になった手の中に金の懐中時計のフックが転がっていた
鎖で引き上げてクルクルと振り回して遊ぶ
早くすり潰したくて、もう部位なんかどうでもよくて、てきとうに目に付いた反対の手をぶっ刺してやろうと決めた
腕を振り上げた時
ギャ「何してんのよバカッ!さっさと行きなさいよ!」
いるはずのない人の声が辺りに響いた
ビクリと身体が固まる
「ーーー…ギャリー?」
今の声……喋り方…、ギャリーしかいない
「…ギャリー? ギャリーッ、いるのっ? どこ!?」
周りを見渡しても氷漬けにされているピエロしか自分以外、人の姿は見当たらない
「ギャリーッ!」
普段出さない大声で叫んでもギャリーの姿は見えない
自分の醜いエコーが響いていてもギャリーの声はもう聞こえなかった
「………空耳、なの…?」
頬に温かい滴が両目からボロボロと溢れ出て滝の様だと他人事に思った
『……ぅう゛ッ、ウ゛ゥ゛…』
足元から黒い煙とあのとんでもない異臭
氷が音を立てて溶けていく
「…………」
そこで自分がついさっきまでやっていた行動を思い出して寒気がした
氷が溶けてピエロの腕が自由になる
「ーーーっ!」
そうだ、逃げなきゃ
さっきギャリーに言われたばかりなのに何してんだ自分は
ここから出るんだと、最初の目的を忘れていた
躊躇することなくピエロの頭を踏んで階段を下へと駆け下りる
「…ギャリーッ、ギャリーッ」
早くここから出てギャリーに会いたくて胸が痛くなった
「早く、早くここから出たいっ」
ここに来てからワタシはおかしい
魔術なんてそんな非現実設定…何一つ知らないのにこの外灯代わりの光を作ってあの捨て人形なんて目の前で氷で固めたしあの時計だって…
知らない自分が恐い
いつからおかしいのかなんて知らない
けど一つ確信が持てる
あのピエロを見ていたら怒りにも悲しさにも似たような苦しさがこみ上げてきてまたすり潰そうとか…本気で殺そうと考えてしまう
あの時はギャリーの声が聞こえなかったら何をしていたか自分にもわからない
それが恐ろしい
ワタシがワタシではないような、そんな不安を感じる
ーーーゴッ、ガツッ
「………何この音」
何か鈍い音が近づいてくる
後ろからするのだけど本能的に振り向きたくない
でも早く下りてもその音は確実に近づいてくるからどうにかしなきゃいけない
ーーーゴツッ ゴッ、ガッ
どうにかするにもどうなっているのか状況がわからないと何もできない、よね…
「………この、…この打撲みたいな痛そうな…音は」
意を決して勢いよく振り向く
首だけだがその予想以上の勢いにもげるかと思った(アホ
「ーーー何…」
一瞬理解できなかった
…いや、一瞬で状況は理解できたのだが認めたくなくて現実逃避をしていた
ーーー…誰だってそうするよ
こんな、目の前に顔があったら
『ドコ ヘ イク?』
「ーーーっ‼」
足を踏み外して浮遊感
仰け反った身体は足より先に頭から落ちていく
手すりをつかまり損ね、腕を伸ばすと手についたのはピエロの顔
硬い木の顔が軋みながら笑う
ーーーもう終わりだ
そう思った
でもピエロのせいで死にました、とか癪にさわる
そこだけは許せない
だってコイツは…
ーーーコイツは、
「……」
甲高い音が一際大きく響いた
ピエロの不気味に笑った顔が氷で固まっていた
下から青白い光に照らされたかと思うと氷がピエロを閉じ込めた
一つの大きな氷柱の中に小さな人影を見ながら下へ下へ落ちる
気付いたら瓦礫と一緒に落ちている
ーーーあぁ、壊れたんだな…
崩壊している階段の瓦礫と一緒に暗闇を落ちながら死ぬ気でいた
「ーーー…ギャリー」
もう一回抱きつきたかったなぁ…
まだ胸の強度確かめてない
せめてギャリーの上半裸見てから死にたい…(←通報
こんな状況で落ち着いて変態思考を働かせていると自分の上に落ちている瓦礫が青白く光った
ーーー…なに?
周りの瓦礫も同じように光っている
違う、光っているんじゃない
下にあの作った光があるんだ
落ちている中振り返ろうと身体を動かした時たくさんの光に包まれた
ーーー眩しい…
なんで……温かい…
それに少し苦い、あのタバコの匂いもする…
……そっか…もう死ぬんだ
ギャ「##NAME1##…」
だから声も聞こえるんだ…
もうここからでれないんだと諦めて目を閉じた
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