翡翠の薔薇17
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もうこんなもの使いたくないと思った矢先、突然の異臭に顔をしかめた
なにやら焦げ臭い、何を燃やしたらこんな酷い臭いがするのか不思議に思う
見ると何十段も先の影から黒い煙がたちあがっている
「……ぉ…怒ってたりしちゃってないよね…?(焦」
さっきの事で相手が動き出していることくらい理解できる
亀よりゆっくり這い上って来ていた影は今は微動だにせずとんでもない異臭を放っている
「…ぇ、でっでも、アレはちょっとした(かなり大きな)事故でワタシは自分の意思でやった訳じゃなくつまりあのーっ故意にやった訳ではなくて、そのっ……」
訳がわからず意味もなく弁解をしていると
ーーーズズズズズッ!
「……う…っ、……ヒッ…ぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!?」
ゴキ○リが上ってくるぅぅぅぅぅうううう!!(by ##NAME1##vision)
※##NAME1##にはそう見えた
違うっ、"そう見えた"んじゃないそう見えるんだよ!!(泣
誰が見てもそう思うからなっ!?
自信持って言えるぞ誰にでもそう見える!!(キリッ
…に、逃げなきゃっ!(焦
※今更
と言っても逃げ道はこの螺旋階段一つだけ
元来た階段を駆け上がる
「うわぁっ イヤァァッ、ぎゃああああああああっ!」
…こんなに階段長かったっけ?
それともそこまで下りてきたのか?
……いや、でも怪しい…何か違う……
後ろから迫ってくる這いずる音を聞きながら疑問を抱える
「…なっ、長いっ!? どうしてっ…」
数歩先を照らしている光の先を見て理解した
ーーー光が、あの部屋が見当たらない…
この真っ暗闇の中、上を見ればあの部屋の入り口が見えるはず
でも見当たらない、という事は…
「……き、消え…た…?」
ーーー戻れない
「そんなっ、…ミランダさん!!」
視界が滲み涙が溢れ出た
この場所で唯一の味方がいなくなったような不安
何故こんな訳の分からないことに巻き込まれているのか
現実の人じゃないとわかっていても恋してしまった人と離れて今は一人で…
…元の、いつのも日常に戻りたい、心の隅に押しやって隠していた本当の願い
頭の中で混ざり合って混乱する事は簡単
でも答えを見つけたり、作ったりするのは困難
「…………ははっ、」
もうどうでもよくなって、何でか逃げている自分がおかしくて仕方なかった
…笑っちゃうよね………こんな、よく分からない所に一人で……全く理解できない状況に置かれて………何回も、今も殺されかけて……下手すりゃわからないまま死ねるんだ…
「……よく分からないけど、笑っちゃうよねぇ…
じゃぁ、分からないなら…理解できないなら……そのままでいいんじゃね?
よく分からないまま死ぬよりは…」
駆け上がるスピードが遅くなる
タイミングよく手から落ちた懐中時計が目の前の段差に転がった
それを見るとまるで"使え"と命令されているように感じる
素直に従うのも癪に触るが今は仕方なく従ってやるか
懐中時計を手に振り向くと何十段も先の小さかったヤツはすぐ近く
10メートルくらいかと思っていたらもうその半分近づいている
息が止まり身体に緊張が走る
でも口元は三日月の様に弧を描いて吊り上がった
「ーーーよく分からないモノを壊しゃあイイんじゃねっ!」
また自分の意思とは無関係に自然と動く腕
素早く振り上げ勢いよく振り下ろされた腕にならい懐中時計の鎖が足元に急降下する
フックが僅か2、3段の先に置かれた白い手に突き刺さった
ーーーパキッ、
白い手が分厚い氷に変わる
氷は白い手を覆った次に階段へと広がっていき、迫ってきていたヤツを目の前で階段に固定してしまった
「………そんな面してたんだ」
『ぅ……う゛ゥ゛…ウ゛ーッ、』
苦しそうにうめき声をあげながら体を動かそうともがいている
じっくり見下ろしていたらわかった
コイツは切れた糸を垂らしながらここまで這い上って来ていたんだ
服も腕も足も全部ボロボロに焼け焦げた
操り人形のピエロ
顔の白い塗装が黒く焼け焦げてほとんど残っていない
唯一はっきり色が残っているのは左目辺りだけだった
最初からずっと追いかけてきたストーカーと言うのはこの焼かれ損なった捨て人形だったんだな
「ーーー気色悪い」
心の底から出た言葉
フックが突き刺さった氷漬けの手に踵を落とす
ブーツの硬いヒールがその手を氷と共にかち割った
そのまますり潰す
人形は好き
でも操り人形は大キライ
最も、ピエロなんて認めない
こんなの人形でもない
存在すら認めない
恐いのに、何かわからない、言いようのない恐怖を感じるのに怒りも混ざってて、
逃げたいのに、今はコイツをすり潰したくて仕方がない
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