翡翠の薔薇16
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『貴方の身を案じ過ぎました、失礼な態度を取ってしまって申し訳ありません』
申し訳なさそうに眉をハの字に下げてしまったミランダ
そんな顔をさせたいわけじゃなかった
「いえっ、失礼など思ってないです!心配してくれる事は嬉しいのですが…
それでミランダさんが自分を責めてしまう事が悲しいんです」
ここにいる時は何だかやたらと素直になれるんだな、と一人不思議に思う
『…ふふっ、そうね…よくジョーンにも言われたわ』
気をつけなきゃ、そう言ってあの悲しそうな笑顔とは一変してどこか嬉しそうに笑う
それを見て安心して座り直しまたケーキを食べる
『…ここに来てから少し時間が経ってしまいましたがまだ間に合うはずです』
紅茶を優雅に飲みながら何か考えている
ふと、疑問に思った
「あ、あの… そう言えば今ワタシは……周りに何か起こっているんですか?」
そう聞くとミランダの目が真剣なものに変わった
『既に』
「…いつから始まるんですか?その魔術の制御ができなくなるのって」
『意識が現実から離れた瞬間からよ
貴方がここに来た瞬間からもう既に始まっているわ』
あら、食べないの?と言われ手が止まっている事に気がつきまたケーキを食べ始める
『……貴方、相当強い魔力を持っているようですね』
「?そうなんですか…?」
よくわからないがうんと言っておこうかな
『貴方の魔力は私より上です
今、貴方の暴走している魔力はその分大きな危害を与えて尚侵食が早く短時間で広範囲に及ぶでしょう』
天気予報みたいに聞こえる…(殴
…早くケーキ食べてここから出よう、ギャリーが心配だ
『貴方が言っていた近くにいた彼は…既に暴走した貴方の魔力に襲われています』
甲高い金属音が小さく響く
皿に置こうとしたフォークが力の抜けた指から滑り落ちた
ミランダを見て固まる事しかできない
「………それは、…まだ……」
ーーー彼は、ギャリーは生きていますよね?
『お話しかながら少しの間、貴方のいた現実界の様子を見たんですが…正直なところ……生きているかわからない』
「…………」
心臓が痛いくらいに早鐘を打ち胸がざわつく
落ち着こうと紅茶を飲むけれど手が震えてカタカタと食器がなる
ーーーこうしちゃいられない
"こういう時だからこそ冷静に行動すること"
よく優しかった叔父さんに言われた
二、三度大きく深呼吸をして窓の外を見つめる
「…行きます。」
そう言って立ち上がる##NAME1##をミランダは真剣な目で見つめる
『…死ぬぞ?』
高く凛とした声だが圧し潰すような威厳も込められ発せられた言葉
ふわりと和む温かい雰囲気から変貌して突き刺すような底知れぬ冷たさが伝わる
いきなりの事に一瞬怯んだがその時に"ギャリーを死なせない"という想いを思い出し脅すように引き止めたミランダを睨んだ
「ーー死なねぇよ、やるっつったらやるんだよ」
『魔術の使い方も愚か、存在すら知らない貴様に何ができる?』
「知らねぇよんなもん」
『ほぅ…自ら死へ急ぐのか小娘』
「死にに行くんじゃねぇよ、ぶっ潰しに行くんだよ
そのお前が勝手に立てたオレの死亡フラグをへし折りにな」
『…過信は足元をすくうぞ』
「過信じゃねぇよ、できるから言ってんだよ」
『………わかりました』
極限に張り詰めた話し合いの中、それを終わらせたのは威圧を解いたミランダからだった
つい先程までこちらも負けまいと張り詰めていた緊張が突然の終わりに戸惑い空回る
ミランダは席を立ちクローゼットに向かい何かを探し始めた
本を戻し本棚を両手で奥へと押すとガコンと音がして本棚が回転し裏から沢山の武器が出てきた
##NAME1##が見た時にはクローゼットの中には同じく沢山の武器が所狭しと詰め込まれていた
『貴方の魔術の種類にはこれが合うと思います』
そう言って出してきたのは手の平サイズの金の懐中時計
「…時計?」
鎖の先にはフック、蓋には3羽の鳥が木の枝にとまっている彫刻
裏の彫刻はヨーロッパだろう沢山の人が賑わっている街が彫られている
開けると蓋の裏には写真が飾れるように薄い枠が取り付けられている
時計盤はいたって普通だが、4の数字が赤く光っている
『その時計は持ち主の時間を計ってくれますよ』
ミランダに時計を見せ、首を傾げた
「どうして4時が赤いんです?」
『赤い数字は時の始まり、青の数字は時の終わり… つまり、貴方がここに来たのはこの時計で4時からだという事です』
4時から………
ーーー今は4時半
『貴方の魔術の種類は魔術の中で最も時間が厳しいモノです
1秒一瞬でも遅れてしまうと死に至る… いつでも命を落とせる危険な魔術です』
時間との勝負か……だから時計なのな(納得
「その種類とは何です?」
時計からミランダを見ると彼女は優しく微笑んだ
『それは貴方が目で見るべきものですよ
魔術というのは貴方のパートナーでもあるのですから』
そう言ってミランダは階段へと優しく背中を押した
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