翡翠の薔薇15
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何故いきなり緊張しているのか、それは目の前の絵画ではないことは確か
「……外…?」
何か人の気配が感じられる気がする
下へと続く階段をじっと見つめ息を潜める
ーーー…………………
何も音はしない
でも誰かその階段のはるか先にいるのは確か
ーーー…………………ッ……
「……ひと…?」
何か音が微かに響いた
足音だろうか、まだ確定にはできない
ーーー……………ッ………ッ…
「ほら、やっぱり響いてる」
誰に向けたわけでもない言葉でもない呟きが自分を動かした
「……(確かに音が聞こえる…足音とはまだ確実ではないけどこの部屋に向かってきているのは間違いないだろう)」
落とした絵画を拾い壁に掛けていく
階段の前の絵画2枚、向かいの壁3枚…
自分の素早さに関心しながらも更に急かす
テーブルとイスの上の絵画を見たときだった
「これで最…後……」
手が止まった
何かがこの部屋に向かって来ている事も自分を急かしていたことも忘れた
額縁を持つ手が緊張で微かに震える
金の髪に緑の瞳を持つ、こちらをみて笑顔を見せている少女
「…………なんで…?」
頭がいろんな疑問に埋め尽くされて何も考えられなくなった
その状態のままどのくらい止まっていたかは知らない
はっと気がついたように周りに気を向ければ音は止んでいた
周りを見ても何も変わっていない
「………音が…止んだ? …それにしても……」
再び持っている絵画に視線を戻して困惑する
服こそ異なれど、この容姿は間違えようがなかった
「…どうして…… !、プレートっ」
小さな金のプレートに顔を近づけた
Mary
「メアリー…」
『可愛いでしょ?』
突然後ろからかけられた高い声に肩が大げさに跳ねた
驚きのあまり振り向くタイミングを失ってしまった
背中に力が入り上手く立っていられなくなりそうだ
後ろの気配が気になって仕方がない
だが何故か振り向くことすら臆病になり手に持った少女と目を合わせることしかできないでいた
そんな状況の中、後ろの人物は話し続ける
『私の自慢の”娘”よ』
頭を撃たれたような衝撃
理解するまでに何回も同じ言葉が行き来した
思考が停止しかけた中、声には出なかったが口は無意識にその単語を繰り返す
『私とあの人との間にできた、あの人との大切な宝物なの』
「…宝……」
気づいたら振り向いていた
ベッドに腰掛けて深い緑のドレスを着た髪の白い、金と緑の目を持つ若い女性
初めてみる人なのになぜか見たことある気がして不思議でならなかった
『…あら、可愛らしい孫ね』
「はい?」
この女性から出てくる話が訳が分からなくなってきた
メアリーを娘といった次には##NAME1##を孫だと言う
『あら… ご存じなくて?』
こてんと首を傾げた女性
当然知らないと頭を横に振っている時、上品な女性だと頭の片隅で考えていた
『そう、あなたの時になるともう誰もわからなくなる程に続いていたのね』
そうひとり薄っすらと笑みをこぼした女性
「あ、あのっ…」
疑問を投げかけたいのになぜかこれまでにないほど緊張した
「…お名前は?」
女性は少し目を見開き、次に微笑んだ
『私はミランダ・シスター・バードといいます』
「……………ミランダ」
落とした絵画を最初に拾ったあの女性だという
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