翡翠の薔薇15
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「……………ん?」
あの時の記憶がフラッシュバックしてからふと気付く
周りに意識を向ければ薄暗いがどこかの一室だという事はわかる
一人にしては少し広い部屋だ
ただ、煉瓦(れんが)造りの丸い部屋にアンティークな家具が少し置かれている程度
「…あのくそジジイもこんな家具ばっかの家だったよな」
あまり思い出して気分の良いものじゃなかったことに1人、言葉を吐き捨てる
「……で、ここドコだよ」
部屋の中心にはベッド、その横に立っている自分
ベッドから見て足の方には下へと続く階段
「なにこの階段、眠れる○の美女かよ…」
頭の方には縦長のガラス窓、顔は出せるが肩まで出せる幅はないようだ
「この横幅……危険防止のため?(←違うな」
右手側にはアーチ型のガラス窓、2人用の小さなテーブルとイス
「いやまぁ………テーブルとイスの位置とかデザインとか置くものはあってるよ?
でもここ飲み食いできるもん見あたらねぇんだけど…(心の中にしまっておくべき問題)」
左手側のほうにも同じ窓、こちらは大きな洋服タンス
「中はナニ入って……」
がちゃ、ぱたん
「……………、…も一回(疑問たっぷり目が信じられない」
がちゃ、ぱたん
「………服、じゃないんだ…(悟」
また足元側を見れば後ろにあるものと同じ窓
「良い感じに窓が階段を照らしてるけど、今は夜だから階段の先がムダに怖いのはきのせい…?」
どうやら窓は左右と前後でそれぞれお揃いのようだ
「ちゃんと日光入ってくんのかここ…?(心配」
そして壁にはこの部屋にしては少し多い絵画
「誰かの家族構成かね…」
何気なく窓を開けてみた
服の入っていなかった洋服タンスの横の窓からは満月が顔を出している
「………綺麗な景色…自然豊かな場所だ…」
下に広がる木々、見えるのはそれだけだが満月が照らした光を鈍く反射している景色は御伽噺(おとぎばなし)のよう
「………ん? あれ…、ここ………
……かなり高い…」
最低でも高層ビルの40階くらいの高さはあるこの建物
ようやく自分が今いる場所がはっきりとわかったところで焦りと寂しさ、少しの怖さが同時に押し寄せてくる
「…い、イヴとギャリーは……? …ここは……? ワタシは一体…?」
浮かぶ疑問を口にしていると高い音が強く響いた
その音の正体を理解して少し窓を閉めようとしたがそれより早く強い風が吹き付けてきた
「わっ!?」
それは突風と言ってもいいんじゃないか
部屋の中の絵画がガタガタという
なんだ今日は風の強い日なのか…?
その風に耐えながらそんなことを思っているとすぐに止んだ
「…止んだ…… あ」
もう窓は開けないと心に決めて閉めた後、振り返った部屋の中は落ちてしまった絵画で散らかっていた
「…あっちゃー……」
どんな価値があるのか知らないが壊したりしてないか、そう考えると頭をかかずにはいられなかった
「…位置覚えてないけどテキトーでいいか、な……?」
そんなこと絶対良くないだろう
もし自分が同じ事をされたら大切なものだったらもう触れさせはしないが、そうでもないものでも少しは怒る
「ひぃ…やれやれ…;」
溜め息を吐きながらとりあえず身近なものから拾っていく
開けた窓と同じくらいの大きさの額縁に入っている絵の中には上品な高齢の女性が暗い部屋で夕焼けの窓の外を眺めている
赤い光が女性の髪の色を変えている
「……綺麗」
正直な感想が口から出た後に自分の呟きに気付いた
ふと誰なのか気になって名前を探すが絵の下には書かれていない
ひっくり返しても説明書きなどない
じゃぁ…、と額縁が飾ってあった壁を確認すると長い間飾ってあった代物なのかうっすらと絵画の跡、その下にゴールドに輝くプレート
プレートは3つ
John.W.Bird
Miranda.S.Bird
Chaney.C.Chain
「ジョーン・バード、ミランダ・バード、チェイニィ・チェイン…………たぶんこの人ミランダさんかな」
ジョーンの額縁の大きさはどうやら大きすぎる
チェイニィの額縁は逆に少し小さい気がする
壁に少しでも跡が残っていてくれてよかったと一息つく
額縁の跡の通りに並べて改めて眺めてみた
「説明書きの一つや二つ…あってもいい気がするんだけど」
窓側から杖を持って仁王立ちしている威厳のある高齢の男性、ジョーン・バードの絵画を眺めつつ独り言
そして白の長い髪を纏めたミランダ・バード
次は夕暮れの屋敷の前、狩人か、チロリアンという帽子の種類にしては少しつばの広い深緑の帽子を被って拳銃を片手に、長剣と短剣を腰にさしている男
それに孔雀の羽だろうか…、綺麗な瑠璃色の羽を大きいものから小さいものまで3本挿したオシャレな帽子
帽子の影からのぞく緑の目は鋭く、蛇のようだと思わせる
ブロンドの髪は後ろで長く纏めてあり、一本の三つ編みを前に垂らしているがその髪は腹辺りまでと随分長髪だ
「………まぁ、随分なイケメンで」
直後、なぜか変に身体に力が入り胸がざわつき始めた
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