翡翠の薔薇13
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「……………」
扉が閉まり、しばらくの間の後
かくん、とその場に手がついた
緊張が解けたのがわかる
安心から出た涙が目の前の床に零れた
「……やっぱり…無理だぁっ…」
その場に横になり丸まった
何故かと言われても理由は定かでない
ただ気分といってもそうだし、力が入らなくなったと、といってもそうだ…
「……情けないっ… でも……もう、限界…」
肉体よりも精神的につらい、それが一番しっくりくる理由に感じた
おろしている髪に隠れながら掠れたその声に自嘲し瞼を下ろす
その黒の中にはちゃんとこっちを見て、心配したり、驚いたり、困ったり、悩んだり、…笑っているギャリーが浮かんだ
『なにがムリなんだい?』
突然の声に目が開いた
自分の髪越しに見えたのは派手な黄色の靴
(…え)
声に出たはずが口すら動いていなかった
そこで初めて自分の身体が動かない事に気付く
(腕も足も…ぜんぶ、力が入らない… …なにこれ)
なるほどこれが世間一般で言う金縛りか…、と一瞬納得したけど今はそれどころじゃない
『もう疲れたのかい?』
上から恐ろしく青白く長い指が顔にかかった髪をあげる
より見えるようになった視界いっぱいに青と白と赤の派手なデザインのズボン
それだけでもう充分にわかる恐怖
緊張して体に変な力が入った状態で固まる
悲鳴どころか声すら出す余裕がない
(なんだよなんだよ何しに来たなんでここに来るな来るな来るな触るな離れてくれ)
疑問やら叫びやらが心の中で混ざり合う
ーーーふっ、
顔の右半分にかかる赤色の天然パーマ
酷くむせ返るような焦げ臭いにおい
『ゆっくり寝ようね』
耳に吹きかかる息、とても楽しそうな声
頭の中が真っ白になって完全に思考が回らなくなった
その中で感じたのは右肩に燃えるような痛み
唯一感じたのは自分が泣いていること
唯一考えられたのは叫びだけ…
(こわい… ギャリー!)
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