翡翠の薔薇11
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ギャ「……早くこの部屋を出ましょ」
早くしないと相手の思う壺だ
それだけは絶対に避けたい…
イ「…大きいね」
ギャ「…ムダにね」
床から自分より少し高い所まである大きな絵画
真っ黒に塗りつぶされていて何も描かれていない
ギャ「…ただの飾りかしら?」
イ「ギャリー、何か聞こえるよ」
ギャ「え…?」
絵画に少し近付いてよく聞いてみると確かに何か足音みたいなものが聞こえる
やがて小さなぼやぼやとした灯りが見えてきた
どうやらライターのようだ
ギャ「……あら?」
何気なくポケットを探ると持っていたはずのライターが無いことに気付いた
落としちゃったのかしら…?
暗闇の中で何かを探すようにゆらゆらと動くライター
この暗闇…
もし自分達が先程通った所ならば…
イ「…わっそぃ?」
また先程のように絵画越しで見せるのか…?
ギャ「………」
ホントに腹が立つ
足音とライターの動きが止まった
何かを見つけたらしい
少しの間のあと、ドアの開閉音が聞こえた
変わって薄暗い灰色の部屋
ギャ「わっそぃっ」
やっぱりそこに、絵画の中にいるのはわっそぃだった
きっと自分達を追って自ら暗闇に入ってきたのだろう
”あの子が最も怖がっているもの…暗闇とボクだ”
ギャ「…暗闇……と、」
その”ボク”って……何かしら?
……もしかして…
『…何とか、明るい…な』
ありがとうギャリー、そう呟いてライターをポケットにしまうわっそぃ
顔色も良くないしわっそぃのらしくない様子に自信をなくした不安そうな表情…
相当参ってきている
『………イヴ、ギャリー?いる?』
イ「わっそぃ!わっそぃ!」
ギャ「…こっちからは聞こえないみたいね」
自分達を探すわっそぃは部屋の奥へと進んで行く
学校のグラウンドくらいあるんじゃないかと言っても過言じゃないほどの広い部屋
随分奥まで進んだところで止まり辺りを見回す
右側は灰色の壁、扉は見当たらない
左側は大きな溝が続いている
その溝の前に1つの人影…薄暗くて誰だかよくわからない
顔を見ようと左の方に少し寄って近付く
『……イヴ?…それともギャリー?』
声をかけるが返事はない
早足に近付くとその人影は…
『…っイヴ!?何してるの!?』
白のワイシャツに赤いスカート、茶色のロングヘアー
イ「…私?」
ギャ「待って…これはイヴじゃないわ」
イヴとギャリーからはその横顔が見えた
イヴの姿をしたピエロの人形である
『イヴっ!危ないから離れなさい!』
それを知らないわっそぃは人形に向かって走る
いや、わっそぃなら気付くはずだった
でも今のわっそぃは混乱していて気付けない
『イ…… っ!?』
瞬きをした一瞬でその後ろにピエロが立っていた
わっそぃの動きがぴたりと止まった
けどピエロがすっと腕を動かした時にまた走り出す
『ダメっ、何してるの!?イヴ!聞いてる!?逃げてっ… イヴっ』
後ろに立ったピエロはイヴに変装した人形に手を伸ばす
『イヴっ イヴッ!!
…だめええええええっ!!!』
トン、と軽く背中を押すとその人形は落ちていく
随分と離れた距離から走っても間に合わなかった
全くわっそぃとピエロの距離は縮まっていない
『………あぁっ……!!』
人形が落ちた溝を覗くわっそぃ
《ケタケタッ! ギィッ》
それを不気味に笑うピエロ
首が有り得ない角度に曲がりわっそぃと目が合う
『……ぁ…』
ピエロがわっそぃの方へとぎこちなく歩く
わっそぃは動かない、いや動けない
わっそぃが最も怖がるもの…
暗闇とピエロ
『……っ!』
わっそぃが走ってもなかなか縮まらなかった距離をピエロは十歩も歩いていないのにすぐ近くまで来ている
イ「逃げてわっそぃ!」
見ていたイヴが焦って言うけどこっちの音はわっそぃに聞こえない
とうとう泣き出したわっそぃはなんとか立ち上がって走り出した
ざっと見回すと反対側にドアが出現している
何度も転びながらもそのドアを目指し、それでも泣き叫びはしないわっそぃを見て本当に強い子だと改めて思った
それと同時に胸も痛んだ
今、こんなに苦しんでいる彼女に何もしてあげられないんだ…
ギャ「…わっそぃっ」
『…っ はあぁっ…! は、っ…』
次は赤い部屋
目が痛くなるほどの真っ赤な部屋
その部屋の真中、立っているのは…
ギャ「…今度はアタシってわけね」
長身でぼろぼろデザインのロングコート、紫髪にメッシュ
自分に変装したピエロ
『…ぎゃ、り…ぃ……』
後ろを向いているそれを自分だと思ったわっそぃ
そして瞬きした一瞬、その後ろに現れたピエロ
わっそぃの顔が絶望に変わる
人形の周りをクルクルと音もなく踊るピエロ
その手には短剣
ーーーばさっ
「「!?」」
突然、後ろの本が机から落ちた
まるで見ろ、とでも言うようにページを開いて
”あぁ…どうしようギャリーが…
またアイツが…
…その短剣でどうしようって言うんだ?
やめてくれよ…まさかとは思うがやめてくれっ”
ギャ「…これは……?」
イ「………たぶん…わっそぃの心情だと思う…」
ギャ「え?」
イ「今わっそぃがあっている状況でわっそぃが思っていることが…書かれているように思えるの」
ギャ「…一体……コレを見せてくるヤツはどういうつもりなのよ…っ」
もう一度絵画を見てみるとクルクルと踊っていたピエロがおもむろに手に持った短剣をその人形に向けたところだった
『…っ!?』
そして横にひゅっと一振り
首に深い傷ができた
人形のくせに倒れ方とか深い傷…そんなところはリアルで…
精神的に自分達を、わっそぃを追い込んでいく
手に持っていた本がカタカタと震えだした
何事かと見ると新たな文字が綴られていた
”
………そんなっ…
…ギャリー……
なんで…
何でギャリーが…っ
何で殺されなくちゃいけないのっ!?
オレ何もしてないじゃんっ!
イヴだってっ!!
二人は何もしてないのに…
二人は…ただ……あたしといただけなのにっ!!
夢の中だけじゃなく…こうしてっ、現実でもっ、
大切なモノを壊していくのかっ
オレが何したって言うんだ…っ
昔から…ずっとずっとずっっと!!
あたし何もしてないのに…
ちゃんと言うとおりにしても…
ただ皆と同じ様にしても…それすら許されないというの…?
ワタシに……オレにっ、平等になれる権利なんて無いと言うのかっ!?”
彼女の過去に何があったか…まだ知らない、
でも自分が思っているより酷いものかもしれない…
ギャ「……わっそぃ」
バタンッと大きな音がして音のほうを振り向くと
絵画の中、ドアがいきおいよく開いた音
ギャ「はっ…! わっそぃっ」
部屋に入ってから一歩も動いていないわっそぃは未だにドアの前
開かれたドアの先には出てきた部屋はなく暗闇
そしてヒュンッと何か飛んできたかと思った次には鈍い音
『…ぁ………え、』
ガクンと膝をついたわっそぃ
背中には短剣
ぬっと暗闇の中から出てきたのは白く細長い手
その手が背中の短剣を一気に引き抜いた
『あ゛ぅ゛っ…!?』
短剣を引き抜いた手は暗闇に消え、新しく出てきた手はその傷を抉り始めた
ギャ「イヴっ見ちゃダメよっ」
咄嗟にイヴの前に立ち見せないようにし耳を塞いだ
イヴにはキツ過ぎる…
不快な音がしばらくして止んだ
自分だけちらと見てみる
ギャ「…っ!!」
悲惨な状況だった
吐き気がしてさっと顔を戻す
そこからどうしていいのかわからずそのままの状態でいた
イ「………ギャリー?」
ギャ「…ごめんね、イヴ」
音はもう大丈夫だろう…
耳を塞いでいた手を降ろす
けど決して後ろは見せない
イ「…………わっそぃ…は?」
ギャ「……………」
この子になんて言ったらいいのかしら…?
ーーーぎぃ・・・
後ろの、部屋のドアが開いた
