翡翠の薔薇19
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ギャリーside
落ちていく##NAME1##を抱きしめて
一緒に落ちていったと思う
あの時##NAME1##に触れられたことに安心して目を閉じた
ギャ「………ん、」
重い瞼を開けると見慣れない天井が見えた
それとアクリル絵の具独特の匂いがこの部屋に充満している
体を起こして周りを見ると古い木造建築の小さな部屋
自分の目の前で左右の窓から入る太陽の光を浴びてその真ん中に座っている一人の男性
自分より年上の40後半から50くらいの男性はキャンバスに何かを描いている
ギャ「…あの……」
話を聞こうと思って口を開いたがすぐにドアの開閉音で遮られた
『父さん、まだそんな事やっていたのか』
部屋に入ってきたのは男だった
その男を見た瞬間心臓が一度大きく跳ねた
『…あぁなんだ、お前か』
『最近ずっと描き続けているじゃないか、少しくらい休んだらどうだ?』
男は部屋の入り口に立ったまま話しかけている
『孫が産まれたらそうするとしよう』
どうやら二人はこちらに気付いていない様子だ
『後一か月後の予定だ』
その言葉に年配の男性は持っていた筆を置き、初めて入り口に立つ男を見た
『……子を授かったのか、彼女?』
『あぁ…何回も伝えに来たんだが、父さん、ずっとこの部屋から出てこないから言えなかったんだ』
『…そうか、すまんな』
『いや、いいさ……』
『子供は……』
『順調だよ、何の障害もみられないし元気に育ってる…男の子だ』
『……そうか、そうかそうか…、それならばそれまでに決着をつけとかなきゃならんな』
『父さん、その事なんだけどさ……もうやめよう、ただの迷信だ、ただの偶…』
『偶然じゃないんだよ、それがな
私も…お前の年の頃そう思ってた、父とそれで何度ももめた、父が事故で死んだ時まさかと思いバカにしながらもこの家の歴史を調べたんだ
はるか昔からこの家は続いているが、それと同じく突然の病死や不可解な事故も続いている……今もな
私の父も爺さんも皆同じ事をやってそれを完成させる前に死んでいる』
『…それがその絵だというのは父さんが話してくれたよ』
『そう、今は残りこの一枚……あと一か月しかないが私ならきっと完成できる
完成させたら…お前に、孫にもこんな事背負わせなくて済むんだ』
『…』
『迷信か私の頭がおかしくなっているんだろうか…どうでもいい
お前や孫達が私や私の父のようになってほしくないからだ
その望みがこれしかないんだ
孫が産まれるその日までに、必ず終わらせる』
『………』
沈黙が流れるがそれをすぐに破ったのは年配の男性だった
『あぁすまない、そこのプレートを取ってくれないか』
『…あぁ……、チェイニー・C・チェイン…?』
指定されたプレートに書いてある名前を見て少し驚いたような声を出した
『何百年も前の人物だ……チェイニー・クレイグ・チェイン、この家の初めての絵描きとして有名だった先祖ゲイリーと親友関係にあった人だと記されていたな』
『……そうか……チェイニー、か…』
『その名前が気になるのか?』
『…いや、産まれてくる子供につけようと思っていたんだが…やめたよ、次の候補にした名前にする』
『そうかそうか…』
『父さんには最初に教えておくよ、まだ彼女に話してないからこれに決まるかわからないけど……ギャリーと名付けようかと思ってる』
ギャ「!!?」
『……』
『この家の歴史の事は父さんみたいに深くまでは知らないけど先祖の名前くらいは知っている
有名だった画家のゲイリーからとった、子供にも何か好きな事を磨いて有名になるような偉大な子になってほしいからな』
『………ジョージ、お前にしてはなかなか良いネーミングセンスじゃないか…』
年配の男性は目を丸くして信じられないという顔をしている
『…父さん、それバカにしてる?』
そう言うと年配の男性は突然かっかっか!、と大きな声で笑った
『まぁ、半分な……だが、お前は自慢の息子だよ…私の誇りだ』
『………』
『さあさ、休憩したから私は続けるよ、邪魔しないでおくれ』
そして筆を取る年配の男性に男が慌てて声をかけた
『と、父さんっ』
『早くこれを終わらせて…ギャリーに会うまで死ぬに死にきれんからの』
しばらくぽかんとしていた男だが、次に嬉しそうに笑う
『……まだ決まった訳じゃないんだってば』
軽食でも持ってくるよ、と男がドアの取っ手に手を置いた
ギャ「!!」
その時体が勝手に動いた
特に何も考えはないが、もしかしたらしばらく会えなかった父と話したかったのかもしれない
ギャ「待って、父さんっ!」
その人の肩を掴んで引き止める
振り返った相手は酷く驚いていた
ギャ「どういう事なんだっ、ゲイリーってミランダって人が言っていた人の事か!?
俺の家に何か関係があるのか!?
爺ちゃんの事を何も話さなかったのもそれが関係していたから隠したかったのか!?」
『………おまえ、誰だ?』
言われてはっと我に返った
そうだ…二人の会話では自分はまだ産まれていない時だと思う
二人からしたらいきなり見知らぬ男がいつの間にか部屋にいて突然怒鳴り散らしているようにしか見えない
ギャ「…え、あ、ご、ごめんなさい」
『見覚えのない顔だけど、キミは誰だい?』
後ろから声がかかり、振り返ると筆を持った年輩の男が特に警戒した様子もなく笑っている
ギャ「あ、あぁ、そうよね…」
自分はこの二人を知っているが二人はまだ自分を知らない
自分はギャリーだと名乗っても信じてはもらえないだろうな
ギャ「アタシは……ギャリー、美術大学に通ってるわ」
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落ちていく##NAME1##を抱きしめて
一緒に落ちていったと思う
あの時##NAME1##に触れられたことに安心して目を閉じた
ギャ「………ん、」
重い瞼を開けると見慣れない天井が見えた
それとアクリル絵の具独特の匂いがこの部屋に充満している
体を起こして周りを見ると古い木造建築の小さな部屋
自分の目の前で左右の窓から入る太陽の光を浴びてその真ん中に座っている一人の男性
自分より年上の40後半から50くらいの男性はキャンバスに何かを描いている
ギャ「…あの……」
話を聞こうと思って口を開いたがすぐにドアの開閉音で遮られた
『父さん、まだそんな事やっていたのか』
部屋に入ってきたのは男だった
その男を見た瞬間心臓が一度大きく跳ねた
『…あぁなんだ、お前か』
『最近ずっと描き続けているじゃないか、少しくらい休んだらどうだ?』
男は部屋の入り口に立ったまま話しかけている
『孫が産まれたらそうするとしよう』
どうやら二人はこちらに気付いていない様子だ
『後一か月後の予定だ』
その言葉に年配の男性は持っていた筆を置き、初めて入り口に立つ男を見た
『……子を授かったのか、彼女?』
『あぁ…何回も伝えに来たんだが、父さん、ずっとこの部屋から出てこないから言えなかったんだ』
『…そうか、すまんな』
『いや、いいさ……』
『子供は……』
『順調だよ、何の障害もみられないし元気に育ってる…男の子だ』
『……そうか、そうかそうか…、それならばそれまでに決着をつけとかなきゃならんな』
『父さん、その事なんだけどさ……もうやめよう、ただの迷信だ、ただの偶…』
『偶然じゃないんだよ、それがな
私も…お前の年の頃そう思ってた、父とそれで何度ももめた、父が事故で死んだ時まさかと思いバカにしながらもこの家の歴史を調べたんだ
はるか昔からこの家は続いているが、それと同じく突然の病死や不可解な事故も続いている……今もな
私の父も爺さんも皆同じ事をやってそれを完成させる前に死んでいる』
『…それがその絵だというのは父さんが話してくれたよ』
『そう、今は残りこの一枚……あと一か月しかないが私ならきっと完成できる
完成させたら…お前に、孫にもこんな事背負わせなくて済むんだ』
『…』
『迷信か私の頭がおかしくなっているんだろうか…どうでもいい
お前や孫達が私や私の父のようになってほしくないからだ
その望みがこれしかないんだ
孫が産まれるその日までに、必ず終わらせる』
『………』
沈黙が流れるがそれをすぐに破ったのは年配の男性だった
『あぁすまない、そこのプレートを取ってくれないか』
『…あぁ……、チェイニー・C・チェイン…?』
指定されたプレートに書いてある名前を見て少し驚いたような声を出した
『何百年も前の人物だ……チェイニー・クレイグ・チェイン、この家の初めての絵描きとして有名だった先祖ゲイリーと親友関係にあった人だと記されていたな』
『……そうか……チェイニー、か…』
『その名前が気になるのか?』
『…いや、産まれてくる子供につけようと思っていたんだが…やめたよ、次の候補にした名前にする』
『そうかそうか…』
『父さんには最初に教えておくよ、まだ彼女に話してないからこれに決まるかわからないけど……ギャリーと名付けようかと思ってる』
ギャ「!!?」
『……』
『この家の歴史の事は父さんみたいに深くまでは知らないけど先祖の名前くらいは知っている
有名だった画家のゲイリーからとった、子供にも何か好きな事を磨いて有名になるような偉大な子になってほしいからな』
『………ジョージ、お前にしてはなかなか良いネーミングセンスじゃないか…』
年配の男性は目を丸くして信じられないという顔をしている
『…父さん、それバカにしてる?』
そう言うと年配の男性は突然かっかっか!、と大きな声で笑った
『まぁ、半分な……だが、お前は自慢の息子だよ…私の誇りだ』
『………』
『さあさ、休憩したから私は続けるよ、邪魔しないでおくれ』
そして筆を取る年配の男性に男が慌てて声をかけた
『と、父さんっ』
『早くこれを終わらせて…ギャリーに会うまで死ぬに死にきれんからの』
しばらくぽかんとしていた男だが、次に嬉しそうに笑う
『……まだ決まった訳じゃないんだってば』
軽食でも持ってくるよ、と男がドアの取っ手に手を置いた
ギャ「!!」
その時体が勝手に動いた
特に何も考えはないが、もしかしたらしばらく会えなかった父と話したかったのかもしれない
ギャ「待って、父さんっ!」
その人の肩を掴んで引き止める
振り返った相手は酷く驚いていた
ギャ「どういう事なんだっ、ゲイリーってミランダって人が言っていた人の事か!?
俺の家に何か関係があるのか!?
爺ちゃんの事を何も話さなかったのもそれが関係していたから隠したかったのか!?」
『………おまえ、誰だ?』
言われてはっと我に返った
そうだ…二人の会話では自分はまだ産まれていない時だと思う
二人からしたらいきなり見知らぬ男がいつの間にか部屋にいて突然怒鳴り散らしているようにしか見えない
ギャ「…え、あ、ご、ごめんなさい」
『見覚えのない顔だけど、キミは誰だい?』
後ろから声がかかり、振り返ると筆を持った年輩の男が特に警戒した様子もなく笑っている
ギャ「あ、あぁ、そうよね…」
自分はこの二人を知っているが二人はまだ自分を知らない
自分はギャリーだと名乗っても信じてはもらえないだろうな
ギャ「アタシは……ギャリー、美術大学に通ってるわ」
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