翡翠の薔薇19
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「…これが、キミの言う”青いの”か?」
「うん、そう!ちょうだい!そしたら青い人助けてあげる!」
人形は短い腕をこちらに伸ばして欲しいとねだっている
ーーーーー
”…諦めよう、”
そう思った
青色は好きだ
けどワタシにあう色ではない
だから、せめて白がとても似合っているイヴの喜ぶ姿見て
自分がやったように…こうやってギャリーから結んでもらって自分も青色が似合っていたらいいのに
なんてバカな考え押し込んでいたのに…
ーーーーー
なんでわざわざ拾って来たんだよ
「………」
「ねえ?ちょうだい?」
「…いや、あげない」
「え?」
「これは大切な人が持って来たんだ、これをどうするかは持ち主次第…ワタシが簡単に捨ててイイ物じゃない」
血で汚れてしまわないうちに青いリボンをギャリーのコートのポケットに戻した
「くれないの?青い人助けないよ?」
「そうだね、いらないよ」
「さっきの事をずっとやっても助からないよ?死んでるんだよ?」
「キミの力を借りずとも…ワタシは絶対にコイツを助ける」
「無理だよ」
「くどい、誰が決めたそんな事」
否定しながら近づいてくる人形に腹が立ってついきつく言ってしまったが後悔はない
むしろすっきりした
それに何故か今、こいつを助けられる気がする
「………そう。じゃあ、いいよ」
人形は後ろを向いて、あの寒い廊下に続くドアへ向かう
「死んだのはお前のせいだからな」
ドアから顔だけを出してそう言い放つとドアの向こうへ姿を消し、勢いよく閉まった
「………」
あんな言葉、どこで覚えたんだろうか…
相変わらず、ぱちぱちと暖炉の火が燃える音が鳴る中、ギャリーに視線を戻す
血の気のない顔は確かに、人形が言った通り死んでいるのだろう
だけど、なぜかあの人形の力を借りなくても助けられるとどこか確信めいたものがある
「……………死んでいるんじゃないのか?」
ギャリーの手に握られている薔薇を見て疑問が口に出た
息もしてない、心臓も動いてない
確かにギャリーは今死んでいるはず
なのに青い薔薇はちゃんと10枚ある
花弁だって萎れてない
おかしい
なぜ…?
「……薔薇…」
口をついて出たが特に何も閃かない
何気なく自分の薔薇を手に取る
残りは4枚、花弁も少し萎れている
ふとギャリーの唇に目がいった
花弁を1枚、むしり取る
「っ…」
苦しさで息が詰まる
萎れているけど透き通っている翡翠色の不思議な花は血まみれの手のせいで汚れてしまった
そんなの気にせずその花弁をギャリーの口の中へ突っ込んだ
そしてもう1枚、むしり取って口に入れた
引き抜く時、人差し指から垂れた血が少しだけ開いたままの口の中に落ちた
血が垂れた指を見て自分の唇に塗る
血の口紅をつけた唇でギャリーにキスをした
しばらく触れるだけのキス
なぜか、だんだんと意識が遠のいていく
何も考えず、キスをしたまま意識を手放した