翡翠の薔薇19
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ギャリーの整った顔を見つめてまるで人形の様だと思った
「…綺麗」
羨ましい程のきめの細かい肌
長い睫毛
薄くて形のいい唇
外国人特有の高い鼻、白い肌
日本人なら誰もが憧れる容姿
自分も黄色人種の日本人の中でもそれなりには白い方だし鼻も少しは高い方だけど外国人には敵わない
「…ふわふわだ……」
血で汚れたタンクトップにまだ溢れ出てくる新たな血を拭いた
頬をつついてみるとやっぱり男性特有の骨ばった感じはあるけど想像以上に柔らかい
唇も触ってみるとふにふにしてる
正直これ癖になる、ずっと触ってて飽きない
ギャリーが起きたらまた試してみよう
「…リンゴみたいに真っ赤な乙女になりそう」
そう言ってニヤニヤと笑っている自分は普通に一人で人通りのある道でいたら職質されるだろうな
血が垂れてきそうになったから手を引こうとした時、今更重大な事に気付いた
「………息、ある…?」
今上唇を触っているけど息が当たるはず
何も感じないのは自分の指が寒さでバカになったのかそれとも、
急いで耳を近づけ確かめる
「………」
いくら集中して耳を澄ますけど何も聞こえない
「………」
やばい、これはやばい
いつから?
心臓、心臓は?
胸に耳を押し当てしばらく静かに聞いてみても何も聞こえない
「ギャリー?」
信じられない
いつから?
ワタシのせい?
起こす以前の問題じゃねぇ
とりあえず何か行動しなければ
何を
息をしていない、心臓が止まっている
こういう時は確か
アレだ
人工、人工の…
呼吸…
落ち着け
人工呼吸器じゃなくて
そんな設備ここには整ってないから
人工の、心臓の、
心肺蘇生っ
「1,2,3,4,5……」
何回だったか忘れたけど確か30回程度だったと思う…っ
次、確か舌が気道を塞がないように顔を上に向かせるはず
「…本邪魔っ」
薄いがクッション代わりに上着だけ残して
本の事なんて知らないっ
どこかに投げ捨てた
上向かせたら鼻つまんで2回息を吹き込む
「すぅ……ーっ、すぅ…ーっ」
…もう一回っ
正しい手順か知らないけどコレに頼るしかないっ!
「1,2,3,4,5……」
あの時グズグズして脈なんか測ってないで呼吸確認しときゃ良かったのにバカッ!!
バカッ
ばかっ
救いようのない…バカッ
「…すぅ、-っ」
何回繰り返してもギャリーの反応はなくて…
バカなワタシは酸欠気味になってきている
「はぁ……1,2,3,4……はぁっ、」
次に人工呼吸で呼吸を整えている時だった
「キャハハハハッ」
「っ!!?」
不気味な高い笑い声が部屋に響いた
ワタシとギャリー以外この部屋にはいないはず
だが後ろを振り返ってみると肌の青い、ぼさぼさ頭の黒髪のあの人形が赤い眼でこちらを見つめている
驚きのあまり声すら出せず見つめ合っていると人形が喋りだした
「死んじゃってるね!青い人!」
怖くて認めなかった事をこんな奴にこんな形で言われるなんて…
胸の奥に穴が開いたような虚無感を感じた
「………」
「そんな事をしても青い人は生き返らないよ?」
なんだ、何なんだ、何が言いたいんだ…?
「………少しの、可能性にもかけて…」
「そんな可能性ないよ」
「え、」
すぐに真っ向から否定されて、なんだか、押しつぶされそう
「だって青い人とっくに死んでるんだもん、今更そんなので生き返らないよ」
「…なぜ知っている……」
「それよりもさ、青い人、生き返らせたいんでしょ?」
質問には答えず、そう言うと人形は手を後ろで組んで左右にゆらゆらと…まるで楽しみを待つ子供のような仕草をする
「………ぇ、あ…うん…」
「”ボク達”なら、できるよ!」
「……ボク達?…できる、の?」
「できるよ!その”青いの”くれるんならね」
ギャリーを、生き返らせることが、できる?
「……生き返らせたい、青いのって、なに?」
まさか、薔薇……とか言うんじゃないよね?
生き返らせたいと言ってしまったけれど、本当にコイツを信用してもいいのか?
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