【良人とみいひ】バカなさみしさ2
良人はみいひを先にタクシーに乗せ、自分が乗り込む一瞬前に、先ほど背の高い男が去って行った方向を盗み見た
案の定、男はまだ居て、柱に寄り掛かりながらスマホの画面を見ていた
良人がタクシーに乗り込み運転手に行き先を告げ、タクシーが旋回し始めると男は画面から顔を上げチラとタクシーの方を見た
良人は、相手に見ていると気付かれないよう顔の角度は変えず目の端でそれを確認し
「(見たか うらやましいだろ みいひを連れていいのは俺だから お前に、その権利はない)」
背中に視線を感じながら優越感に浸った
少し反省してそうな顔で遠くを見ているみいひの手をつなぎ、大丈夫だよとみせてあげようと思ったが、みいひがタクシーでいちゃつくのは運転手さんに失礼と言うだろうことを思い出して、やめた
ホテルの前に着いてタクシーを降りるとみいひは
「ここ、やだ」
と言った
「なんで」
硬い声で応える良人
「ここ、良人がSM部屋で拘束したホテルじゃん」
「大丈夫だから」
「大丈夫じゃないよ、私、そういうの怖いんだもん」
「体だけの関係みたいでいやなんだっけ?」
「うん」
「体だけの関係とかじゃないから大丈夫だから」
「わかんないじゃん、そんなの」
「は? どんだけ、俺が、 今日だって、俺が戻んなきゃ、みいひ、あの人に誘拐されてたんだからね?」
「それは、ごめん 面倒臭いことさせて あ、タクシー代」
みいひがせめてもの穴埋めをしようとタクシー代を渡す
「ありがと」
良人は格好付けて断ったりせず普通に受け取る
「てか、面倒臭いことさせるな、穴埋めしろとかじゃなくて 好きじゃなかったら、面倒な事わざわざしないでしょ?って話」
「わかんないよ? 好きじゃなくてもセックスしたいからで
、面倒なこともするかもしんないじゃん?」
「しないよ、そんなこと 面倒臭いじゃん そこまでしてセックスしたくないし てか、女の子がセックスとか言うんじゃないの!」
「じゃあ、なに、えっちとか言えばいいの? えっちってなんか、かわいくて甘くて愛情ありそうじゃん 性欲でやるのはえっちじゃなくてセックスって感じがする」
「もう! どっちでもいいし」
「どっちでもいいんだったら、セックスでもいいじゃん」
「女の子がセックスとか言わないの! って言ってるの」
「どっちでもよくないじゃん(笑)」
「いいから、行くよ」
「・・じゃあ、普通の部屋ね」
「・・」
返事しない怪しい良人
部屋を選ぶ精算機の前に立ち、横の部屋案内の写真を見ると、2つしかない普通の部屋は埋まっていて、拘束部屋と鏡張り三角木馬部屋しか空いてなかった
「え・・」
「みいひ、大丈夫」
良人が拘束部屋を選んでお金を入れようとする
「ちょっと、待って」
「え、こっちじゃない?」
「え? いや、無理無理無理無理」
三角木馬とか絶対痛そうだし、と思うみいひ
「じゃあ、こっちしかないじゃん」
「・・他のホテルとか?」
「今日、週末だよ? 空いてないでしょ 下手すると、他行って空いてなくて戻って来たらここも埋まってるよ? こっちでいいでしょ?」
「やだ」
「みいひ、そんなんじゃ、いつまで経っても乗り越えられないよ? 怖いんだったら、避けてないでぶつかっていかなきゃ!」
トラウマの一因の人がそれ言うかよ、という事を言う良人
「あのーー 後ろ詰まってんですけど・・」
いつの間にか後ろに並んでたカップルに言われ
「え? あ、すみません」
みいひが謝ってるうちに良人は清算を済ませ
「行くよ」
レシートを持って奥の拘束部屋に向かった
ドアを開けて
「どうぞ?」
と良人はみいひを促した
「(私、入りたいって言ってないのに、どうぞっておかしくない?)」
しかし、元はと言えば、自分がさみしさに流されて女風を依頼したことが発端で、セラピストが最寄り駅にいて、着けられでもして家を特定されないように居場所を求めている今な訳で、むしろ良人は自分に巻き込まれている訳で、これ以上抵抗するのは違う気がして、部屋に入った
カチャ
「これで、もう、みいひ誘拐されないから大丈夫」
良人が鍵を閉めて言った
「良人・・ ありがと」
みいひは、意外に本気で自分を心配してくれている良人の気持ちが温かくてうれしくて、ドアの前にいる良人を振り返って抱き付いた
みいひが良人の目を見上げると良人は、初めて自分から甘えてきたみいひにドキッとして胸がキュっと締め付けられた
無意識に顔が薄桃色に色付いたが、自分では顔に出てないバレてないと思って
「どういたしまして」
と平静を装ってマジレスした
顔を赤らめてるのに、余裕ある姿を見せようと、格好付けて冷静な振りして言う良人がかわいくて
「ふっ(笑)」
みいひは目で笑って、良人に触れるだけのキスをした
良人は、初めてみいひの方からキスをされて、今まで感じたことのない気持ちが溢れた
男として女の子を守れる行動が取れた自信、それを感じて女の子はこんなにうれしそうにかわいい愛情を見せるんだと知ったこと、そうさせたのは自分なのだという男として認められた満足感
「(みいひ、 かわいい、)」
自分に抱き付いているみいひをぎゅっと抱いて、触れているだけの小さな唇に舌を入れた
頭の理性が薄れ粘膜が触れる感覚に支配された
普段ほとんど無感情な心臓がドキドキと命を吹き返し、
下半身の分身は、甘い痺れを含みながら、血を集めて重く硬く屹立する
無意識にそれを大好きなみいひに押し付けると、快感神経が走っている裏筋が衣服の下でこすれて
「はぅん、」
勝手に吐息とも声ともつかないものが出てしまった
「、良人、 かわいい、」
みいひが優しいほほ笑みを溢れさせて、良人の背中を撫でてあげると
良人は、母性に包まれた安心感を感じ、自信が湧き、みいひをもっと気持ち良くさせたいという男が首をもたげた
「みいひ、好きだよ? セックスじゃなくて、えっち?しよ? かわいくて、甘くて、愛情あるやつ」
良人がみいひをきゅっと抱き締めながら、柔らかい声で言う
「良人ぉ・・」
みいひは、良人の目の奥をじっと見て、
「うれしいっ」
と抱き付きもたれた
良人は照れたのか顔を紅潮させたが、押されてよろけ
「おと、ととと」
と体勢を立て直すことに集中してる振りして誤魔化した
「(良人、かわいい、)」
みいひは口に出すと良人の男のプライドが傷付くかもしれないと思い、心の中だけで愛しさを噛み締めた
「で? かわいくて甘くて愛情あるえっちってどうやるの?」
部屋のソファーにどっかり座ると良人は開き直ったようにみいひに言った
みいひは、良人のあそこが男らしくしっかり立ったままなのに、言ってることは真逆な感じがして
「へ?」
と拍子抜けした色気のない声を出してしまった
「だって、そうでしょ? かわいいえっちって意味わかんないもん 赤ちゃん言葉でも使うのかな?とか 甘いえっちって、何? クリームとか塗って舐め合うとかかな?とか 愛情あるえっちって? むしろ、いつも愛情あるえっちしかしてないんだけど?」
良人はムードのないみいひの声を気にする素振りもなく、もっとムードなくマジレスした
「あは(笑) 良人、真剣に考えてくれてるの? かわいい」
「なに、空気読めって? 無理だし 俺、発達障害って言ったじゃん」
「ううん、そうじゃなくて 私の言ったこと流さないで受け止めて一所懸命考えてくれてるのがうれしいってこと 良人は良人のままでいいんだよ そのままの良人好きになったんだから」
みいひが本心から言うと、良人はそんなこと言われたのが初めてでしばし読み込み中の顔をした後
「みいひ、俺のこと超好きじゃん(笑)」
と冗談ぽく余裕振った
「別に~(笑)」
みいひは、冗談ぽく照れ隠ししてるのかなと冗談ぽく返した
「誤魔化してもバレてるよ」
冗談なのに意外に執こいので本気だとわかり、みいひは
「どうかね?(笑)」
とはぐらかした
「あのね、私、あこがれてることがあってね、」
みいひが素直な声で言うと、良人は
「なぁに?」
と素直な目でみいひを見た
「私が子どもの頃、チャーミーグリーンっていう食器洗剤があってね そのCMで、チャーミーグリーンを使うと手が荒れないから手をつなぎたくなるって、おじいちゃんとおばあちゃんが手つないで散歩してたの 知ってる?」
「知らない」
「そっか、やっぱ、良人がテレビ見る頃には終わっちゃってたんだね」
「うん かも」
「それでね、あぁ、こういういつまでも仲良しなカップルになりたいなぁって思ったの」
「ふぅん」
「それとね、もういっこ憧れてることがあってね、」
「うん」
「性欲が出る前の子どもみたいな恋がしたいなって思ったの、」
「うん ?」
「子どもの頃って、本当に何の損得も駆け引きもなくただ純粋に好きになったじゃん だけど、大人になったら仕事できるとか職業なんだとか、生活できるかって要素で判断したり、 もっと前の段階で、性欲があるとセックスできるかで判断して、本来、小学生の性欲ない頃に出会ってたら興味持たない仲良くならない人でも、やれそうだからって関わったり好きな振りしたり、自分すら好きと錯覚して付き合ったりしたりする訳じゃない? それで、した後、あ、好きじゃかったわ、性欲だったわ、って気付いたりする訳じゃない? なんか、そういうのじゃなくて、もし小学生の時に出会ってても好きになるような好きがいいなぁって思ったの」
「あぁ、そういうこと」
「うん」
「みいひは? 小学生同士で俺と会っても好き?」
「多分、好きだと思う」
「良人は?」
「小学生のみいひ見たことないから、わかんない」
「ふっ(笑) 普通そこは調子合わせて、俺も多分、好きだと思うって言うとこでしょ(笑)」
「やってないことわかんないもん」
「そうだね(笑) 良人のそういう嘘がないところいいよね」
多分良人は嘘付けないから、性欲じゃなくて、本当に私を好きなんだろうなって、みいひは思う
けど、とは言え良人も男だから性欲あるからそこはわかんないよね、とも思ったりもする
「おばあちゃんのみいひか、、、わかんない、見てないからわかんない」
「だよね(笑) 私も、おじいちゃんの良人、想像つかないもん でも、私たち親子ぐらい年離れてるから、私、良人がおじいちゃんになるの見る前に死ぬから、想像つかなくて当たり前か」
「20年経ったら、みいひが年金暮らしで、俺は働き盛りの係長くらいにはなってるのかな? や、個人事業の方が伸びて独立してんのかな? わかんない」
「結婚して子どもいて、いいパパになってたりするかもよ」
「多分ない 俺、結婚とか向いてない気する」
「わかんないよ、今は若いからそうでも、ちょっと年取ったら、自分の子孫残したいって本能が湧いてくるんじゃない?」
「かなぁ? わかんない でも、今思わないから、明日も思わなくて、そんな日が毎日続いて10年後も変わってない気する」
「・・確かに 良人、ルーティン強めっていうか 職場に入ってから、ずっと同じ店のハンバーグランチ食べてたって言ってたもんね」
「うん 普通に旨いし 安いし 変える必要ないし」
「飽きるって何?って感じ?」
「うん スーツも3つを7年着てるよ」
「そうなの?(笑)」
「破けないし」
「あは(笑)」
「だから、今、みいひ好きじゃん 明日も好きじゃん? ずっと、そういう日が続いて、10年とか経つっていう気もする ばあちゃんとか、初めて会った時から好きで、30年くらい経っても今も普通に好きだし 飽きたから別れるとかそういうの意味わかんない 最初から好きじゃなかったんじゃないの?って思う」
「あ~ そんな感じかぁ 確かに、家族とかだと、このお母さんもう飽きたとかないもんね」
「うん だから、今時点でみいひと別れるとか想像できない みいひと子ども持ったらどんな感じかなぁ?とかは考えるけど 他の人と付き合う自体想像できないから、みいひが、私といても未来がないから他の子と付き合って結婚して子ども持った方がいいって前言ってたけど、それも全然想像できないから、私と未来どっち選ぶかちゃんと考えてくれた?って前聞かれたけど、わかんないで終わったし みいひが俺の前からいなくなったら、その時点からは他の選択肢も考えるかもしれないけど 多分、そのうち~とか言って10年くらい経ってそうじゃん」
「え、 そしたら、私がここに居座るの良人の為にならないじゃん」
「別にいいよ 多分、俺、誰も好きにならないから みいひと別れても誰とも結婚しないと思うから」
「でも、良人、優しいから、良人がそうしなくても、結婚適齢期の女の子が目ぇ付けて寄ってくると思うよ」
「う~ん この前も飲み会で、そんな感じで連絡先渡されたけど、連絡してないもん 最初の1回をしようと思わないから、そんな日が続いてずっとしないよね」
「あぁ、そうなんだぁ 高田さんは? 高田さんは連絡してたよね」
「うん、してた けど、なんか、なんとなくしなくなった あ!そうだ なんか話しても伝わった感じしないのが物足りなかったんだ 思い出した」
「そうなんだ」
「っていうか、今まで、好きになって付き合ったりしても、ずっとそんな感じで、 女の子ってそういうもんなんだって思ってた そんで、みいひに会って、びっくりした この人、女なのに話し通じる!って」
「あー(笑) 私、脳味噌、男だから(笑)」
「そうなの?」
「そうみたい 感情より役割意識の方を採用するから 長女だしね」
「ふーん よくわかんないけど」
「長女は、自分の甘えたさより弟や妹のお姉ちゃんじゃなきゃならないし、親の期待にも応えなきゃいけないし 家族みんなを守ってあげなきゃいけないからね」
「そうなんだ だから、みいひ甘えないかわい気のない子になっちゃったんだ?(笑)」
「良人ぉ!(笑)」
「冗談」
「わかってるし(笑)」
「はは(笑)」
【何の山も意味も落ちもなく
ダラダラと続くこここそが一番おいしい本編です(笑)
↑ただ自己満で書いてるだけ】
こういう、付き合った二人がお互いの歴史から持った考えを吐露し合うのって、なんかいいよねぇ
3に続く
案の定、男はまだ居て、柱に寄り掛かりながらスマホの画面を見ていた
良人がタクシーに乗り込み運転手に行き先を告げ、タクシーが旋回し始めると男は画面から顔を上げチラとタクシーの方を見た
良人は、相手に見ていると気付かれないよう顔の角度は変えず目の端でそれを確認し
「(見たか うらやましいだろ みいひを連れていいのは俺だから お前に、その権利はない)」
背中に視線を感じながら優越感に浸った
少し反省してそうな顔で遠くを見ているみいひの手をつなぎ、大丈夫だよとみせてあげようと思ったが、みいひがタクシーでいちゃつくのは運転手さんに失礼と言うだろうことを思い出して、やめた
ホテルの前に着いてタクシーを降りるとみいひは
「ここ、やだ」
と言った
「なんで」
硬い声で応える良人
「ここ、良人がSM部屋で拘束したホテルじゃん」
「大丈夫だから」
「大丈夫じゃないよ、私、そういうの怖いんだもん」
「体だけの関係みたいでいやなんだっけ?」
「うん」
「体だけの関係とかじゃないから大丈夫だから」
「わかんないじゃん、そんなの」
「は? どんだけ、俺が、 今日だって、俺が戻んなきゃ、みいひ、あの人に誘拐されてたんだからね?」
「それは、ごめん 面倒臭いことさせて あ、タクシー代」
みいひがせめてもの穴埋めをしようとタクシー代を渡す
「ありがと」
良人は格好付けて断ったりせず普通に受け取る
「てか、面倒臭いことさせるな、穴埋めしろとかじゃなくて 好きじゃなかったら、面倒な事わざわざしないでしょ?って話」
「わかんないよ? 好きじゃなくてもセックスしたいからで
、面倒なこともするかもしんないじゃん?」
「しないよ、そんなこと 面倒臭いじゃん そこまでしてセックスしたくないし てか、女の子がセックスとか言うんじゃないの!」
「じゃあ、なに、えっちとか言えばいいの? えっちってなんか、かわいくて甘くて愛情ありそうじゃん 性欲でやるのはえっちじゃなくてセックスって感じがする」
「もう! どっちでもいいし」
「どっちでもいいんだったら、セックスでもいいじゃん」
「女の子がセックスとか言わないの! って言ってるの」
「どっちでもよくないじゃん(笑)」
「いいから、行くよ」
「・・じゃあ、普通の部屋ね」
「・・」
返事しない怪しい良人
部屋を選ぶ精算機の前に立ち、横の部屋案内の写真を見ると、2つしかない普通の部屋は埋まっていて、拘束部屋と鏡張り三角木馬部屋しか空いてなかった
「え・・」
「みいひ、大丈夫」
良人が拘束部屋を選んでお金を入れようとする
「ちょっと、待って」
「え、こっちじゃない?」
「え? いや、無理無理無理無理」
三角木馬とか絶対痛そうだし、と思うみいひ
「じゃあ、こっちしかないじゃん」
「・・他のホテルとか?」
「今日、週末だよ? 空いてないでしょ 下手すると、他行って空いてなくて戻って来たらここも埋まってるよ? こっちでいいでしょ?」
「やだ」
「みいひ、そんなんじゃ、いつまで経っても乗り越えられないよ? 怖いんだったら、避けてないでぶつかっていかなきゃ!」
トラウマの一因の人がそれ言うかよ、という事を言う良人
「あのーー 後ろ詰まってんですけど・・」
いつの間にか後ろに並んでたカップルに言われ
「え? あ、すみません」
みいひが謝ってるうちに良人は清算を済ませ
「行くよ」
レシートを持って奥の拘束部屋に向かった
ドアを開けて
「どうぞ?」
と良人はみいひを促した
「(私、入りたいって言ってないのに、どうぞっておかしくない?)」
しかし、元はと言えば、自分がさみしさに流されて女風を依頼したことが発端で、セラピストが最寄り駅にいて、着けられでもして家を特定されないように居場所を求めている今な訳で、むしろ良人は自分に巻き込まれている訳で、これ以上抵抗するのは違う気がして、部屋に入った
カチャ
「これで、もう、みいひ誘拐されないから大丈夫」
良人が鍵を閉めて言った
「良人・・ ありがと」
みいひは、意外に本気で自分を心配してくれている良人の気持ちが温かくてうれしくて、ドアの前にいる良人を振り返って抱き付いた
みいひが良人の目を見上げると良人は、初めて自分から甘えてきたみいひにドキッとして胸がキュっと締め付けられた
無意識に顔が薄桃色に色付いたが、自分では顔に出てないバレてないと思って
「どういたしまして」
と平静を装ってマジレスした
顔を赤らめてるのに、余裕ある姿を見せようと、格好付けて冷静な振りして言う良人がかわいくて
「ふっ(笑)」
みいひは目で笑って、良人に触れるだけのキスをした
良人は、初めてみいひの方からキスをされて、今まで感じたことのない気持ちが溢れた
男として女の子を守れる行動が取れた自信、それを感じて女の子はこんなにうれしそうにかわいい愛情を見せるんだと知ったこと、そうさせたのは自分なのだという男として認められた満足感
「(みいひ、 かわいい、)」
自分に抱き付いているみいひをぎゅっと抱いて、触れているだけの小さな唇に舌を入れた
頭の理性が薄れ粘膜が触れる感覚に支配された
普段ほとんど無感情な心臓がドキドキと命を吹き返し、
下半身の分身は、甘い痺れを含みながら、血を集めて重く硬く屹立する
無意識にそれを大好きなみいひに押し付けると、快感神経が走っている裏筋が衣服の下でこすれて
「はぅん、」
勝手に吐息とも声ともつかないものが出てしまった
「、良人、 かわいい、」
みいひが優しいほほ笑みを溢れさせて、良人の背中を撫でてあげると
良人は、母性に包まれた安心感を感じ、自信が湧き、みいひをもっと気持ち良くさせたいという男が首をもたげた
「みいひ、好きだよ? セックスじゃなくて、えっち?しよ? かわいくて、甘くて、愛情あるやつ」
良人がみいひをきゅっと抱き締めながら、柔らかい声で言う
「良人ぉ・・」
みいひは、良人の目の奥をじっと見て、
「うれしいっ」
と抱き付きもたれた
良人は照れたのか顔を紅潮させたが、押されてよろけ
「おと、ととと」
と体勢を立て直すことに集中してる振りして誤魔化した
「(良人、かわいい、)」
みいひは口に出すと良人の男のプライドが傷付くかもしれないと思い、心の中だけで愛しさを噛み締めた
「で? かわいくて甘くて愛情あるえっちってどうやるの?」
部屋のソファーにどっかり座ると良人は開き直ったようにみいひに言った
みいひは、良人のあそこが男らしくしっかり立ったままなのに、言ってることは真逆な感じがして
「へ?」
と拍子抜けした色気のない声を出してしまった
「だって、そうでしょ? かわいいえっちって意味わかんないもん 赤ちゃん言葉でも使うのかな?とか 甘いえっちって、何? クリームとか塗って舐め合うとかかな?とか 愛情あるえっちって? むしろ、いつも愛情あるえっちしかしてないんだけど?」
良人はムードのないみいひの声を気にする素振りもなく、もっとムードなくマジレスした
「あは(笑) 良人、真剣に考えてくれてるの? かわいい」
「なに、空気読めって? 無理だし 俺、発達障害って言ったじゃん」
「ううん、そうじゃなくて 私の言ったこと流さないで受け止めて一所懸命考えてくれてるのがうれしいってこと 良人は良人のままでいいんだよ そのままの良人好きになったんだから」
みいひが本心から言うと、良人はそんなこと言われたのが初めてでしばし読み込み中の顔をした後
「みいひ、俺のこと超好きじゃん(笑)」
と冗談ぽく余裕振った
「別に~(笑)」
みいひは、冗談ぽく照れ隠ししてるのかなと冗談ぽく返した
「誤魔化してもバレてるよ」
冗談なのに意外に執こいので本気だとわかり、みいひは
「どうかね?(笑)」
とはぐらかした
「あのね、私、あこがれてることがあってね、」
みいひが素直な声で言うと、良人は
「なぁに?」
と素直な目でみいひを見た
「私が子どもの頃、チャーミーグリーンっていう食器洗剤があってね そのCMで、チャーミーグリーンを使うと手が荒れないから手をつなぎたくなるって、おじいちゃんとおばあちゃんが手つないで散歩してたの 知ってる?」
「知らない」
「そっか、やっぱ、良人がテレビ見る頃には終わっちゃってたんだね」
「うん かも」
「それでね、あぁ、こういういつまでも仲良しなカップルになりたいなぁって思ったの」
「ふぅん」
「それとね、もういっこ憧れてることがあってね、」
「うん」
「性欲が出る前の子どもみたいな恋がしたいなって思ったの、」
「うん ?」
「子どもの頃って、本当に何の損得も駆け引きもなくただ純粋に好きになったじゃん だけど、大人になったら仕事できるとか職業なんだとか、生活できるかって要素で判断したり、 もっと前の段階で、性欲があるとセックスできるかで判断して、本来、小学生の性欲ない頃に出会ってたら興味持たない仲良くならない人でも、やれそうだからって関わったり好きな振りしたり、自分すら好きと錯覚して付き合ったりしたりする訳じゃない? それで、した後、あ、好きじゃかったわ、性欲だったわ、って気付いたりする訳じゃない? なんか、そういうのじゃなくて、もし小学生の時に出会ってても好きになるような好きがいいなぁって思ったの」
「あぁ、そういうこと」
「うん」
「みいひは? 小学生同士で俺と会っても好き?」
「多分、好きだと思う」
「良人は?」
「小学生のみいひ見たことないから、わかんない」
「ふっ(笑) 普通そこは調子合わせて、俺も多分、好きだと思うって言うとこでしょ(笑)」
「やってないことわかんないもん」
「そうだね(笑) 良人のそういう嘘がないところいいよね」
多分良人は嘘付けないから、性欲じゃなくて、本当に私を好きなんだろうなって、みいひは思う
けど、とは言え良人も男だから性欲あるからそこはわかんないよね、とも思ったりもする
「おばあちゃんのみいひか、、、わかんない、見てないからわかんない」
「だよね(笑) 私も、おじいちゃんの良人、想像つかないもん でも、私たち親子ぐらい年離れてるから、私、良人がおじいちゃんになるの見る前に死ぬから、想像つかなくて当たり前か」
「20年経ったら、みいひが年金暮らしで、俺は働き盛りの係長くらいにはなってるのかな? や、個人事業の方が伸びて独立してんのかな? わかんない」
「結婚して子どもいて、いいパパになってたりするかもよ」
「多分ない 俺、結婚とか向いてない気する」
「わかんないよ、今は若いからそうでも、ちょっと年取ったら、自分の子孫残したいって本能が湧いてくるんじゃない?」
「かなぁ? わかんない でも、今思わないから、明日も思わなくて、そんな日が毎日続いて10年後も変わってない気する」
「・・確かに 良人、ルーティン強めっていうか 職場に入ってから、ずっと同じ店のハンバーグランチ食べてたって言ってたもんね」
「うん 普通に旨いし 安いし 変える必要ないし」
「飽きるって何?って感じ?」
「うん スーツも3つを7年着てるよ」
「そうなの?(笑)」
「破けないし」
「あは(笑)」
「だから、今、みいひ好きじゃん 明日も好きじゃん? ずっと、そういう日が続いて、10年とか経つっていう気もする ばあちゃんとか、初めて会った時から好きで、30年くらい経っても今も普通に好きだし 飽きたから別れるとかそういうの意味わかんない 最初から好きじゃなかったんじゃないの?って思う」
「あ~ そんな感じかぁ 確かに、家族とかだと、このお母さんもう飽きたとかないもんね」
「うん だから、今時点でみいひと別れるとか想像できない みいひと子ども持ったらどんな感じかなぁ?とかは考えるけど 他の人と付き合う自体想像できないから、みいひが、私といても未来がないから他の子と付き合って結婚して子ども持った方がいいって前言ってたけど、それも全然想像できないから、私と未来どっち選ぶかちゃんと考えてくれた?って前聞かれたけど、わかんないで終わったし みいひが俺の前からいなくなったら、その時点からは他の選択肢も考えるかもしれないけど 多分、そのうち~とか言って10年くらい経ってそうじゃん」
「え、 そしたら、私がここに居座るの良人の為にならないじゃん」
「別にいいよ 多分、俺、誰も好きにならないから みいひと別れても誰とも結婚しないと思うから」
「でも、良人、優しいから、良人がそうしなくても、結婚適齢期の女の子が目ぇ付けて寄ってくると思うよ」
「う~ん この前も飲み会で、そんな感じで連絡先渡されたけど、連絡してないもん 最初の1回をしようと思わないから、そんな日が続いてずっとしないよね」
「あぁ、そうなんだぁ 高田さんは? 高田さんは連絡してたよね」
「うん、してた けど、なんか、なんとなくしなくなった あ!そうだ なんか話しても伝わった感じしないのが物足りなかったんだ 思い出した」
「そうなんだ」
「っていうか、今まで、好きになって付き合ったりしても、ずっとそんな感じで、 女の子ってそういうもんなんだって思ってた そんで、みいひに会って、びっくりした この人、女なのに話し通じる!って」
「あー(笑) 私、脳味噌、男だから(笑)」
「そうなの?」
「そうみたい 感情より役割意識の方を採用するから 長女だしね」
「ふーん よくわかんないけど」
「長女は、自分の甘えたさより弟や妹のお姉ちゃんじゃなきゃならないし、親の期待にも応えなきゃいけないし 家族みんなを守ってあげなきゃいけないからね」
「そうなんだ だから、みいひ甘えないかわい気のない子になっちゃったんだ?(笑)」
「良人ぉ!(笑)」
「冗談」
「わかってるし(笑)」
「はは(笑)」
【何の山も意味も落ちもなく
ダラダラと続くこここそが一番おいしい本編です(笑)
↑ただ自己満で書いてるだけ】
こういう、付き合った二人がお互いの歴史から持った考えを吐露し合うのって、なんかいいよねぇ
3に続く
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