【ご都合主義シリーズ】超年下彼氏に溺愛される話12

「心配なんで、仕事終わったら毎日連絡くださいね」

宮崎に言われ、みいひはメッセージを入れるのが習慣化しつつあった

心配っていっても、高校生でも処女でもないんだし、狙われる対象でもないし、最悪狙われて何かあっても別に世間的にどうでもないんだろうなって思う

今まで散々やってきたおばさんが初見の人と一回多くセックスしたからってなんか問題あるの?って感じなんじゃないかな?

でも、心配が社交辞令でポーズだとしても、そういうかたちを採ってくれるのは嬉しい

終わったんで帰ります

メッセージを送ると

おつかれさま

とゆるキャラスタンプみたいのを送ってくれる

ふふっ(笑)かわいいスタンプ探してたところ想像するとかわいい

とかニヤけながら、そう送ると

俺のことかわいいとか言ってくれるのみいひさんくらいですよー

とちょっと甘えた感じを見せる

画面見ながらバッグ持って立ったら、良人に見られてた

え、なんで見てるの? その顔どういう表情?

いろいろな考えが一瞬で走り瞬間が長く感じられた

べ、別に、宮崎さんに甘やかされてだめ人間とかなってないし

とか心で言い訳しながら事務所を出た


電車で揺られながら思考をめぐらす


だけど、私、このままでいいの?


良人の為に良人から離れてあげた方がいいのは世間的に明らかだ

もう子ども産めないし


だけど、宮崎さんに甘やかされて居心地良くて、このままで私、いいのかな?


タタン、タタンと黒い夜の中を電車は走っていく


夜の中、家々の灯り

あの中の一つが宮崎さんと私のうちの灯りだったりするのかな?

ぼーっと考えてみたけど、よくわからない

窓には反射して写る疲れた自分の顔

私、甘やかされて依存して、今度は宮崎さんがいないとだめな自分になってくのかな・・

結局、誰といても私って愛されない不安から逃れられないのかもしれない

良人といるとだめになるんじゃなくて、誰といても不安なだけなのを良人のせいにしてただけ?


わかんないや


良人に会いたいなぁ


良人を思うと涙がじわっと出そうになって、あぁ、疲れて感覚なくなってたけど、私まだ何かを感じられる機能こわれてなかったんだ、心はまだ死んでなかったんだ、と思った


家の前に着くと良人がいた

玄関の横にしゃがんでた姿勢からよいしょと立ち上がって、おかえりなさいと言う

え?おかえりなさいとか言う人だっけあなた

とか思ってちょっと意外だった

「合鍵持ってんのに外で待ってたんだね」

「さすがに入ってたらまずいでしょ」

いや、急に先回りして待ってんのも充分まずい気するけど、そういう常識はあるのねと、なんかおかしくなった

「どうしたの?」

問いかけると、良人は私と話せるのが嬉しいって感じの目してこっちを見て

すぐに硬さを作って

「ちょっと打ち合わせ、よろしいですか?」

とビジネスライクに言う

なんだろ?

とか思いつつ

「中、どうぞ」

と玄関を開けた

職場の人対応で、スリッパどうぞと出して、ダイニングテーブルの前の椅子を引いた

「どうも」

と良人は座ってガサゴソと鞄から書類を出した

「ちょっとわかりづらいとこあったかなと思いまして、まとめてみました」

「こちらですが、選択をする際の判断材料が並べてあります  メリットとしては、まずアドバイザー機能をご利用いただけます 仕事でわからないことがあれば、いつでもお問い合わせください   最短ですと5分以内、最長でも翌日中には解答いたします ただ、こちら代行機能ではなく、あくまでもアドバイスを提示するものですのでご留意ください」

え?

「次に、注目していただきたいのは、料理ができるところです 和食、洋食、日本の家庭料理を中心に、季節を取り入れたメニューをお楽しみ頂けます ただ、こちら受注制ではなく、俗にいうシェフのお任せサラダ制、本日のおすすめ制になっておりますので、ご了承いただければと思います」

「次に、若さもアピールポイントかと思います おじさんずきですと物足りないかもしれませんが、まだ若いので介護問題などはしばらくお考えいただかなくて結構かと思います」

「そして、特筆すべきは抱き心地の面でございまして、 こちらは実際にご利用頂いた方から嬉しいお声をたくさん頂いております」

え?

「ちょ、ちょ、ちょっと待って これ職場で作ってないよね?!」

「大丈夫 家で作った」

家で仕事の後、こんな面倒なもん作ってたんかい(笑)

「若いので、この機能はしばらくお使い頂けるかと思います」

「次に、デメリットについてですが、マルチタスク型ではないので、仕事の指示を実行中ですと、プライベート機能は同時にはお使い頂けません もしくは、ハイパワーパフォーマンスを発揮する為、消費電力が大きくなっていまして、多少充電時間が長めになっていますので、充電中かなとご理解いただければ幸いです」

「あーー、すっごいわかりやすい説明(笑)」

「ありがとうございます(笑)」

「次に、月々のご利用料についてですが、基本的には無料となっております ただ、こちら台数が限定数1となっていますので、専属パートナー契約となりまして、メンテナンスは随時、ご利用者様で、というかたちになっております」

「メンテナンスについてですが、エネルギー交流循環式についてご説明いたします この方式は、お話ししたり、触れ合ったりする時にお互いがお互いをチャージする仕組みとなっております これが、科学で言うところの永久機関のようなものとなっています ご利用者様が抱き心地を味わって栄養補充されている時、同時に補充している側もご利用者様から流れて来る生命エネルギーで栄養補充される仕組みです」

「なにこれ! 良人、すごいじゃん!超わかりやすい!」

「ありがとうございます(笑) では、説明、以上となりまして、プラス面とマイナス面を比較いただきますと、ご利用いただかない手はないかと思いますが、いかがですか? どうお考えですか?」

ちょっとクロージング強引だな(笑)

でも、それも良人のかわいいところだよね

どうしても欲しいってことだもんね

「すいません 一旦他者さんとお試しスタートさせてしまったので、そちらをきちんとしてからとさせていただきます」

「宮崎?」

「うん、まぁ」

「わかった 待ってる」

と良人は説明に達成感を感じているように言い

「おじゃましました」

と帰って行った


そうだね、良人じゃないとだめかもね

みいひは、甘えじゃなく自立を選ばなきゃいけないのかもと今後の方向性を思案した


12話 終わり
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