【ご都合主義シリーズ】超年下彼氏に溺愛される話2

仕事から帰り軽くシャワーを浴びたみいひは、新しいシャンプーのアロマを味わいながらタオルでガシガシ髪を拭いていると、脱衣所の向こうで鳴る電話の呼び出し音をかすかに耳に感じた

誰かなと考える間もなく良人だと思った

業務携帯ならまだしも、個人携帯に掛けてくる関係の人は良人くらいしかいない

実家の家族の番号も入ってはいるが、数カ月に一度食事に行くくらいだし、メールで事前に日時を決めておくので、急に電話が掛かってくることはほぼない

下着だけ着けてとりあえずダイニングテーブルの上のスマホを取った

「もしもし?」

「あ、みいひだぁ」

なんか面倒だなと感じさせる良人の声

「私の携帯に掛けたなら私が出るのは当たり前の結果じゃない?」

「そうだけど みいひの声だなぁって思っただけ」

良人が甘ったるく答える

「だから、私の携帯だから当たり前なんだって(笑)」

みいひは良人が自分の声を聞けてうれしいと、自分の声をかわいいと思っているであろうことを感じて、胸が温かくなったが、喜ぶのは恥ずかしいので、理路整然と答えた

「みいひぃ、俺、酔っ払っちゃったぁ」

「みたいだね」

甘ったるくグダグダな良人と対照的に冷静に答えるみいひ

「迎えに来てぇ」

「え~」

「○○駅で待ってるぅ」

「えー 面倒い」

「酷い~」

「酷くないよ 飲み代でお金使っちゃったの? タクシーアプリでタクシー呼んであげるから、それ乗っていいよ」

「みいひ、優しい♡ でも、そういうの他の人にしたら駄目だよ? 世の中には人にお金たかる人だっていっぱいいるんだから」

「や、今たかってる良人に言われたくないんだって(笑)」

「たかるとか酷い~ 俺はみいひに会いたいから、一緒に帰りたいから言ってるのにー」

「だって、私たち同じ職場で働いてるんだから、一緒に帰ろうとか、飲みに行こうとか、言えば良かったじゃん」

「そうなんだけど、みいひ、外で飲むの嫌がるじゃん」

「それはまあそうなんだけど」

「だって、私たちが付き合ってるの知ったら、周りの人たち仕事やりづらくなるかもしれないじゃん」

「そうやってまたみいひは 」

「周りの事ばっかり考えて」

良人の言葉に 、それはあなたのためでもあるんだって、と思うみいひ

「てかさー、短時間で酔っ払い過ぎじゃない?」

「良人が帰るとこ、私見てたんだけど」

「あの後から飲んでそんだけ酔っ払っちゃったの?(笑)」

「そうだよ?」

「俺が外回りから帰って来たら、みいひが係長とリーダーに囲まれて話してたから 、また愛想振りまいてんなって、ムカついて帰って来た」

「いやそれは 、難しい案件の対処のパターン教えてくれてたから」

「話し振った切って帰るのも失礼だしさ」

「出たよ」

「そんだったらさ、俺の事迎えに来てくれてもいいよね?

他人に振りまく愛はあって、俺にくれる愛はないってこと?

俺がみいひの彼氏なのに」

「分かったよ 行けばいいんでしょう?  てか私、車とかないんだからね 私の最寄り駅から電車で行って、良人の最寄り駅に電車で一緒に帰るだけだよ あんま意味ないよ?」

みいひが、自分を独占したがる良人にきゅんとしてるのを隠しながら言うと

「待ってる!」

良人はみいひの言葉に被せ気味に勢い良く答え

みいひは電話を切りながら笑ってしまった


みいひが駅に着くと良人はのたのた歩いて来て、止まるであろう位置で止まらず、みいひに覆うように被さった

「ちょ、近っ」

「みいひ、シャンプーのにおい新しくした?」

ほぼ同時に二人は喋った

「シャンプーのにおいは新しくしてない シャンプーは新しくした」

みいひがわざと正しく話しても良人は突っ込みもせず

「いいにおい♡」

とみいひにくっ付いてくる

職場で最後に見た時よりワイシャツもスーツのズボンもちょっとヨレってるデレた良人がかわいくて、みいひはきゅんとして、一緒にデレてしまいたい気持ちが湧いたが、しっかり抑え込んで

「やっぱタクシー呼んどいたからそれで帰ろ」

と良人を先導した

良人をタクシーの後部座席に押し込むと、のたのた乗り込んだ良人は、奥まで入って座るとみいひに向かってハグ待ちで両手を広げた

かわいぃととろけそうに良人の胸に飛び込みたくなったみいひだが、0,1秒に満たない瞬間で気を取り直して、良人を見て顔をしかめ、ダメダメと顔の前で手を振って見せた

様子を察した良人が

(なんで?)

と険しい顔で口パクで訊いてくるから

(運転手さんに失礼だよ)

と、みいひもジェスチャーと口パクで答えた

(大丈夫だよ)

(だめだって 誰かに見られて良人の評判落としたくないから!)

みいひが険しい顔でコショコショ声で答えると、良人はズキュンと打ち抜かれて

(みいひはいつもそうやって俺を守ってくれようとしてるよね)

良人もコショコショ声で答えた

(手だったらつないでいい?)

(だめだよ? 外では我慢して)

(わかったよ)

良人が名残惜しそうにずっと見てくるので、みいひは見られ過ぎて恥ずかしくなって、気付かない振りして良人とは反対側の窓の外の街の灯りを見てやり過ごした

良人は座席の奥に寄り掛かった姿勢から体勢を起こし、みいひの方に少しだけズリ寄って座り、みいひのTシャツから出てる白い二の腕をやわやわと揉んだ

良人の温かい手に、自分の二の腕の脂肪の冷たさに気付き、早く良人の体温に包まれたいと思ってしまい、みいひは下半身の大事な部分がきゅんとするのを感じた

タクシーが良人の住むアパートの前に着くと、みいひは

「ここで大丈夫です ありがとうございます」

運転手に丁寧に伝えた

タクシーが去ると良人は早速手をつないでできて、もういいでしょ?と言うように、みいひの目をのぞき込んできた

そんなことしなくてもあとちょっとで家に着くのにと、少しでも待てなくて、1秒でも早く手をつないでこようとする良人がみいひは愛おしく

握ってきた良人の手をきゅっと優しく握り返し、目にほほ笑んで見せた

良人は、みいひの笑みにうれしそうに目で笑って返した

部屋に入ると良人は、すぐにみいひをハグして

「俺のみいひだよ?」

と左耳に囁く

みいひはその声にゾクゾクと鳥肌が広がるのを感じながら、もう職場でも外でないから、抑え込まないでいいんだと、良人の体に腕を回して抱き締めた

「良人の体、あったかい」

「ビール飲んで体温上がった」

みいひのうわごとのような言葉にマジレスする良人

みいひをハグからもっと強い力でぎゅっと締め上げ

「ぅ、うん、良人ぉ」

みいひが幸せな圧迫に甘いうめきを上げるのを満足気に聞きながら、みいひの脚の間に片脚で割り入ってぐりぐりとみいひの股間を刺激した

「ぅ、ん・・」

良人がみいひを見るとみいひは目を閉じて気持ち良さそうなうめき声を出す

ちょっとSっ気のある良人は、自分がしたことがみいひを感じさせていることに喜びを覚えて

「気持ちいい?」

耳元に囁く

じゃっかんMっ気のあるみいひは、良人の攻めに男を感じてゾクゾクしながら

「そんなことないもん」

と強がる

「嘘だ 声出てたもん」

と良人はなおもぐりぐりと脚でみいひを刺激する

「ゃ、あ」

「やじゃなくて、気持ちいいでしょ?」

良人が責めると

みいひは目をつむったまま曖昧にいやいやと首を振る

「だめだよ? みいひ ちゃんと言わないとわかんないよ?」

「気持ちいいって言わないと」

良人がみいひの反応を見逃すまいと顔を見ながら言う

みいひはちゃんと開かない目を開けて良人を見上げいやいやと首を振る

自分の思い通りの反応を返さないみいひにちょっとイラつきながら

「じゃあ、もうおしまいっ みいひが気持ちいいのかもわかんないし どこをどうしていいのかもわかんないから おしまいっ」

良人はハグをほどき両手の平を自分の顔の横に開いて見せる

みいひは、絶対わかってるくせに言わせようとする良人をジトっと見て口元を膨らませる

「ふっ(笑)」

良人はその顔を見て、自分の方が優位に立っているのを感じながら笑った

マウント取られたみいひはムカついて、更に小鼻まで膨らませた

「鼻、膨らんでる(笑)」

良人はおかしくて笑ってしまって

みいひは、職場で真顔ばっかり作ってる良人が子どもみたいに笑ってるのがかわいくて、マウント取られてたのは置いといて、楽しくて良かったねと目で笑って見せた

すると良人もみいひを見てうれしそうにほほ笑んで、愛しくみいひをハグした

ハグというよりは、愛しくて近づきたくて体を触れさせたくて寄った結果、ハグになったという感じだった

「外じゃないから手ぇつないでいいでしょ?」

良人はみいひの手を引いて奥にあるベッドまで連れて行くと自分が先に乗ってみいひを引っ張った

良人の上に勢い良く乗ってしまって、みいひは

「ごめんっ 重いよね? 大丈夫?」

と良人から降りようとする

「ぜぇんぜぇん」

良人は降りようとするみいひに腕を回して制し、上に乗ったみいひを愛しく見ながら

「みいひより大っきいから大丈夫」

と余裕を見せてほほ笑む

子どもっぽいのに男の余裕を見せようとしてくる良人がかわいくて、みいひはじゃあ頼ってみせてあげた方がいいのかな?と、ぴたっと良人に甘えるようにくっ付いた

良人はみいひの反応に満足そうにほほ笑んで、温かい手でみいひの背中を優しく撫ぜた

「みいひ 迎えに来てくれてありがとう」

「・・・」

いいよとか言うのかと思ったら、そうでもなくて黙ってるみいひに

「面倒臭い?」

良人が問うと

「なんかさ、良人って、やっぱり、愛されて育った一人っ子だよね 自分が求めたら、きっと人は来てくれるって信じてるじゃん?」

「わかんない そうかな?」

「そうだよ 私だったら、面倒だろうな、忙しいかもしれないだろうしって思うし なによりそれより、来てって言って断られると傷付くから、断られるのがこわくて来てって言う方を選べないと思う」

「え そうなの?」

「うん 私、4人きょうだいの長女だったからね 迎え来てって言っても、小さい弟妹がいるからってお母さん来れなかったからね」

良人は、深刻に受け止めたようで、みいひの背中を撫でていた手は止まり黙ってしまった

「あ、今はもう大丈夫だからね? 心配しないで大丈夫だよ?」

自分のことで人を重くさせたくないみいひが良人を安心させようとして言うと

「っ、よいしょ」

良人はみいひを自分の上から降ろして体勢を反転させ覆い被さって

みいひの髪を手櫛で何度か梳いた後、いい子いい子と言うように撫でて、大切なものを温めるようにみいひを包んだ

みいひは、固くなっていた心臓がほぐれるのを感じながら

「良人? ありがとう(笑)」

優しい笑みを浮かべ、自分より年下なのに自分を守ろうとしてくれている良人にねぎらいの言葉を伝えた


おしまい

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