高校生の恋愛(仮)
「メイド喫茶。メイド喫茶がいんじゃね」
「俺‼コスプレ喫茶がいいと思うんだっ」
「はい男子黙れー」
やる気の無い男子のたわいもない冗談に付き合うつもりもなく、委員長が彼らを一蹴する。
夏もそろそろ終わる頃、教師に「お前ら文化祭の出し物テキトーに決めとけよ」という指示で、俺たちはテキトーに出し物を決めることになった。
「あの……」
みんなの前で手を上げるなんて恥ずかしい。だけど、決めたんだ!
テマリは勇気を出して手のひらを委員長に向けた。
「写真展なんて……どうかな?」
教師の熱量は生徒にも反映する。文化祭の催しについてほどよく冷めている生徒たちは満場一致で写真展に票を入れた。
***
「で、お前は何してるんだ」
「日野君を撮っています」
日野君は僕の頭をわしづかみにし、ぶんぶん左右にふった。ヤバイ嬉しい楽しい。
「なんで、俺を撮るんだよ」
「しゃ、写真展では、好きなものを展示することになってるんです、一人5枚」
「俺はモノじゃねぇ。カエレ!」
「ぐっふ!」
腹にエルボーを食らい、膝がガクッと折れる。
「はぁ、はぁ、良いエルボー…さすがです……好き……かっこいい……」
「なんで毎日オレに殴られてんのに、そんなかんじなんだ?頭おかしいんじゃないのか」
「日野君にされることなら、僕、なんでもうれしいんです。殴りたかったら、もっと殴っていいですよ」
「き、気持ち悪ぃこと言うなよ……ああもうどっか行けよ」
「僕もこの部員です。どこに行けっていうんですか?」
「俺は認めてないっつーの」
「あ!日野君!どこにいくんですかっ?」
「てめーといたくないから帰んの」
「だ、だめ!なら僕が帰るから……!日野君は部活がんばってください……お、お腹いたくなってきたし」
「そーかよ」
日野君はどさっと荷物を置いて、タブレットの電源をつけた。
今日はムエタイの動画を観戦するみたいだ。すごく見たかったけど、日野君の邪魔にはなりたくないから、帰ろう。
《赤コーナーの選手、素早く前に出て左ジャブを突き込む!
青コーナーの選手、一歩下がってタイミングを計る!見事にジャブをかわし、続けて右ローキックしたぁぁ!》
熱い実況が耳に聞こえて、ぴくりと体が固まっちゃった。
だ、だめだ…‥帰らないと……。
《互いに距離を詰め、膝の打ち合いにぃぃ!赤コーナーが勢いよく右膝を突き出すが、青コーナーも負けじと左膝で迎撃!》
少しだけ、少し見るだけ……。
幸い日野君は動画に集中していたから、バレることなくムエタイの動画を観戦することができた。
「ああ!そこ!打ちまくれ!!……あっ」
日野君が振り返った。すん~ごい怒ってる。
「あ、あの。そそそ、その、えっと…っ」
「テメェ………邪魔すんなっつったろ!」
拳にハー、息を吹きかけてる。いつもは手加減してくれてるから大丈夫だったけど、本場ボクシング仕込みの本気殴りはさすがに耐えられないよ!
「ごごごっ、ごめんなさーい!」
急いで部室から出た。追ってきてくれるなら、殴られてもいいかなと思って振り返ったけど、日野君は追っかけてきてはくれなかった。
ションボリしたけど、仕方ない。どうやったら好きになってもらえるんだろう?僕はこんなに日野君のことが好きなのに。
下を向いて歩いていたら、もうアパ―トについちゃった。
慣れた階段を登って、部屋を開けようとしたら、中から喧嘩をしてる両親の声が聞こえた。
喧嘩してる時に入ると八つ当たりされることがあるから、入るのはやめとこ。
ぼーっと座ってるのは、得意だし、壁のシミでも数えて時間をつぶそう。
そうして暇つぶしをしてたら、空が真っ暗になっちゃった。
「シミ、数えられなくなっちゃった」
「おい、三浦」
「!」
日野君の声……?
「なにやってんの、そこで…‥」
その時、ひときわ大きな声で、「良いわよ!そっちがその気なら、離婚してやるから!」ってお母さんが怒鳴った。
すごく気まずくて、僕は笑ってごまかすしかなかったんだ。
「えぇ~っと、……はは、どうしたの?日野君」
「お前、なにカバン忘れてんだよ。宿題どうするつもりだ」
日野君が、僕の学生カバンを届けに来てくれた!
「わっ、あ、ありがとう!忘れてたの、全然気づかなかった!」
「俺‼コスプレ喫茶がいいと思うんだっ」
「はい男子黙れー」
やる気の無い男子のたわいもない冗談に付き合うつもりもなく、委員長が彼らを一蹴する。
夏もそろそろ終わる頃、教師に「お前ら文化祭の出し物テキトーに決めとけよ」という指示で、俺たちはテキトーに出し物を決めることになった。
「あの……」
みんなの前で手を上げるなんて恥ずかしい。だけど、決めたんだ!
テマリは勇気を出して手のひらを委員長に向けた。
「写真展なんて……どうかな?」
教師の熱量は生徒にも反映する。文化祭の催しについてほどよく冷めている生徒たちは満場一致で写真展に票を入れた。
***
「で、お前は何してるんだ」
「日野君を撮っています」
日野君は僕の頭をわしづかみにし、ぶんぶん左右にふった。ヤバイ嬉しい楽しい。
「なんで、俺を撮るんだよ」
「しゃ、写真展では、好きなものを展示することになってるんです、一人5枚」
「俺はモノじゃねぇ。カエレ!」
「ぐっふ!」
腹にエルボーを食らい、膝がガクッと折れる。
「はぁ、はぁ、良いエルボー…さすがです……好き……かっこいい……」
「なんで毎日オレに殴られてんのに、そんなかんじなんだ?頭おかしいんじゃないのか」
「日野君にされることなら、僕、なんでもうれしいんです。殴りたかったら、もっと殴っていいですよ」
「き、気持ち悪ぃこと言うなよ……ああもうどっか行けよ」
「僕もこの部員です。どこに行けっていうんですか?」
「俺は認めてないっつーの」
「あ!日野君!どこにいくんですかっ?」
「てめーといたくないから帰んの」
「だ、だめ!なら僕が帰るから……!日野君は部活がんばってください……お、お腹いたくなってきたし」
「そーかよ」
日野君はどさっと荷物を置いて、タブレットの電源をつけた。
今日はムエタイの動画を観戦するみたいだ。すごく見たかったけど、日野君の邪魔にはなりたくないから、帰ろう。
《赤コーナーの選手、素早く前に出て左ジャブを突き込む!
青コーナーの選手、一歩下がってタイミングを計る!見事にジャブをかわし、続けて右ローキックしたぁぁ!》
熱い実況が耳に聞こえて、ぴくりと体が固まっちゃった。
だ、だめだ…‥帰らないと……。
《互いに距離を詰め、膝の打ち合いにぃぃ!赤コーナーが勢いよく右膝を突き出すが、青コーナーも負けじと左膝で迎撃!》
少しだけ、少し見るだけ……。
幸い日野君は動画に集中していたから、バレることなくムエタイの動画を観戦することができた。
「ああ!そこ!打ちまくれ!!……あっ」
日野君が振り返った。すん~ごい怒ってる。
「あ、あの。そそそ、その、えっと…っ」
「テメェ………邪魔すんなっつったろ!」
拳にハー、息を吹きかけてる。いつもは手加減してくれてるから大丈夫だったけど、本場ボクシング仕込みの本気殴りはさすがに耐えられないよ!
「ごごごっ、ごめんなさーい!」
急いで部室から出た。追ってきてくれるなら、殴られてもいいかなと思って振り返ったけど、日野君は追っかけてきてはくれなかった。
ションボリしたけど、仕方ない。どうやったら好きになってもらえるんだろう?僕はこんなに日野君のことが好きなのに。
下を向いて歩いていたら、もうアパ―トについちゃった。
慣れた階段を登って、部屋を開けようとしたら、中から喧嘩をしてる両親の声が聞こえた。
喧嘩してる時に入ると八つ当たりされることがあるから、入るのはやめとこ。
ぼーっと座ってるのは、得意だし、壁のシミでも数えて時間をつぶそう。
そうして暇つぶしをしてたら、空が真っ暗になっちゃった。
「シミ、数えられなくなっちゃった」
「おい、三浦」
「!」
日野君の声……?
「なにやってんの、そこで…‥」
その時、ひときわ大きな声で、「良いわよ!そっちがその気なら、離婚してやるから!」ってお母さんが怒鳴った。
すごく気まずくて、僕は笑ってごまかすしかなかったんだ。
「えぇ~っと、……はは、どうしたの?日野君」
「お前、なにカバン忘れてんだよ。宿題どうするつもりだ」
日野君が、僕の学生カバンを届けに来てくれた!
「わっ、あ、ありがとう!忘れてたの、全然気づかなかった!」