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小さな命と、ふたりの時間


「ま、ま…?」

なにか違和感を感じたのだろう。夕柊は顔をあげ、母親の顔を撫でた。
泣いていることに、気づいていたようだ。

うつむいていたため、柊吾には気づかれていなかったが、夕柊の手についた水滴で、紅葉が泣いていることに気づいた。

「……泣いてるのか?」

柊吾は紅葉を抱きしめる。もちろん、間に夕柊がいるため、気を使ったハグで。

「まま、ないない」

“ないない”とは、夕柊の「泣かないで」という意味だ。
優しい息子に頬を撫でられ、紅葉の感情はさらに高まった。
あまりにも幸せで、自分以外の人生を歩んでいるのではないかと錯覚するほどだった。

「夕柊…ママのこれは、嬉しいの涙なんだ……大丈夫なんだよ」
「だーじょーぶ?」
「うん。大丈夫」

「紅葉」
「…はい」
「俺にはお前が必要なんだ。もう一度、俺と一緒になってくれないか?」

息が、詰まった。
何度も頷き、返事をした。





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