3話 5月16日
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春大会が終わってから、しばらく経った。
相変わらず糞チビはビビリだし、糞猿はやかましいし、糞デブは食ってばっかだし、糞マネはいちいち突っかかってきやがる。
入部試験で新たに部員になったヤツらも、まだまだ基礎がなってねえ。
それでも、二人のときと比べて遥かに練習はしやすくなったためか、以前のようなどうしようもないイラつきは多少マシになった。
だが、イラつきが緩和された理由はそれだけじゃねえ。
甘川だ。
元々はさほど期待しちゃいなかったが、最近のアイツはめざましく進歩している。
俺が一言掛ければ気付いて次の行動に移るし、徐々に言わなくても先回りするようになってきた。
わからずにウロウロしてた初めの頃が嘘みてえだ。
立派なマネージャーになる、とデカい口叩いただけのことはある。
糞マネとも相性が良いみてえで、ちゃっちゃと仕事をこなしていく光景は見てて気持ち良いくらいだ。
思わぬ逸材が手に入ったもんだ。
それはそうと、甘川と一緒に帰ったあの日に感じたもの……この正体が何なのか、いまだにつかめてねえ。
思い出すとあの時と同じように、温かいような、むずがゆいような気持ちになる。
アメフトの試合のときや、練習のときのような感覚とは全く別物だ。
考えてもわからねえ……一体何なんだこ
「ヒル魔ってば!!」
「あ!?」
糞デブのでかい声で急に現実に引き戻された。
周りを見ると、生徒共が次々と教室を出て行っている。
俺はどうやら、終業のチャイムが鳴ったことにも、糞デブが呼んでたことにも気付かなかったらしい。
「んだよ、耳元ででけえ声出してんじゃねえ糞デブ!」
自分が聞いてなかったことは棚に上げて、糞デブを一方的に責める。
もはや日常茶飯事のやり取りだが。
「んで何だよ?」
「僕この後居残りしなきゃいけないから、今日は先に練習行ってて~」
「チッ、しゃーねえな。とっとと終わらせて来いよ」
申し訳なさそうにしていた糞デブにそう言い捨てて、一人でさっさと部室に向かった。