1話 3月18日
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春。
それは、部員を捕獲するのにうってつけの季節……。
アメフト部部長、ヒル魔妖一。
ここ泥門高校で、合格者を次々とあの手この手でアメフト部に勧誘している真っ最中だ。
「どいつもこいつもビビりやがって。もっとマシなヤツはいねえのか」
「ふう、ふう……あ、あんまり手応えないね~」
走り回って疲れているらしい息切れしている隣の糞デブは、同じアメフト部の栗田良寛。
泥門のアメフト部は現在三人のみ……実質活動できるのはその内二人だけだ。
部員を増やすためにコイツと二人で、片っ端から合格者を胴上げ、連絡先を騙し取る、住所を調べ上げる……を繰り返している。
今年は定員割れのため全ての生徒が合格しているらしいが、それでもなかなか使えそうなヤツは見つからねえ。
そもそもアメフトは、はっきり言って認知度が低い。
アメフトとラグビーの区別が付いちゃいねえヤツなんてざらにいやがるし、怪我をするイメージも強いのか、ロクに知りもしねえくせに最初から敬遠するヤツも少なくねえ。
大半は野球部やサッカー部、バスケ部なんかに入りがちだろう。
俺からすりゃこんなに面白えスポーツはねえんだがな。
「ね、ねえヒル魔、ちょっとだけ休憩しない?」
「あ? 何言ってやがんだ糞デブ。さっき始めたばっかだろうが」
「って言っても結構な人数に声掛けてるよ。お願い、ちょっと休憩したらすぐ再開するから~!」
「チッ、しゃあねえな……一旦部室に戻んぞ」
本当にこの糞デブは体力ねえな。それでも運動部か?
大会のために少しでも鍛えなきゃならねえってのによ。
まぁやんなきゃいけねえこともあるし、休憩がてら進めるか……。
「なあなあ、さっきの子超美人だったよな! スタイルも良いし!」
「俺タイプだわ~。にしても、あんなとこに何の用事があんのかね」
「用事あっても校舎裏なんか普通行かねえよな」
校舎裏。それはアメフト部の部室がある場所だ。
聞こうとして聞いたわけじゃねえが、馴染みのある単語だったためか耳が勝手に受け入れる。
だが特に重要な情報でもなかったため、すれ違いざまの糞男共の話は右から左へと流れていった。
合格者の住所に勧誘チラシを送りつけたり、連絡先に電話を掛けまくったりと、他にもやらなきゃならねえことは山積みだ。
糞デブを引き続きこき使うためにも、しばらく部室で休憩を取ることにした。
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