群青の空に愛を唄う。
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〈リーグ優勝の日のお話〉
78「9回、颯一ね。」
『はい⋯⋯』
ですよね。絶対的守護神はベンチ入りしてないし。
他のピッチャー陣にそれぞれトレーナーさんがついていて、私だけ担当してなかったですもんね。
つまりそういうことですよね⋯⋯。
本拠地でのリーグ優勝がかかった1戦。
そのラストは、彼に託された。
彼の状態を操るのは、紛れもなく、わたし。
トレーナーとして調整を手伝いながら、
メンタルトレーナーとして、彼の心の様子までちゃんと確認する。
⋯⋯⋯うん。ストライク入ってる。大丈夫。
WBCの決勝のときはほんとに心臓とまったもん。
ストライク1球も入らなかったからね。
ここからはメンタルトレーナーとしての仕事。
ブルペンに電話が入ったから、そろそろ。
21 「あーやばい。手震えてきた。」
『⋯⋯⋯よし。想像して?』
彼の手を握り、目を見て、想いが伝わるように。
『 “今まで通り” でいい。もし打たれたとしても、あなたの後ろには鉄壁で最強の野手陣がいる。』
『だから自信をもって、マウンドに上がって。』
63「うん。⋯⋯あのさ」
『どした?』
63 「優勝したら⋯⋯」
途端に、彼の目が据わる。
何を言われるのかと少し身構えた。
21「──────────付き合って?」
なんて、漫画みたいなセリフ。
もちろん答えは決まっていて。
多分この人は、私の想いを知って言ってる確信犯。
『ふふっ。優勝したらね。』
その数十分後。
京セラドームに、高々とグローブが舞い上がった────。
(「んで、返事は?」)
(『言わなくても知ってるでしょ?』)
(「やだ、ちゃんと言って!」)
(『⋯⋯ちゃんと幸せにしてください』)
(「よっしゃっ!」)