悟とニコ
「はあ・・・」
「悟君、どうしたニコ?鏡石なんか見つめちゃって」
「うわ!ニ、ニコ様?び、びっくりした・・・っていうか僕の名前覚えてくれてたんですね・・・あんまり人間に興味なさそうだったのに・・・」
「いやだなあ、もう。ニコってそんな薄情に見えるかな。まあ第一印象は確かに悪かったかもしれないよね。ずっと黙ってたタマゴだったし」
「いや・・・初対面そこからカウントなんですね・・・」
でも確かにニコ様、人間の尺度では測れない神様みたいな存在だなって思うこともあるけど、中学生のいろはさん達に責任を負わせようとしなかったり常識的な面もあればアイドルみたいなことを言ったり全然読めないんだよね・・・今だって僕に何で個人的に話してきたのか不思議だ。それともやっぱり・・・
「・・・僕も鏡石に願ってプリキュアになるんじゃないか・・・それを警戒して見に来てくれたんですかね・・・困りますもんね、これ以上力が分散しちゃうと・・・」
「え、ああ、それもあったのかなあ。でも今の鏡石はもう願いを叶える力がカラカラだからそれは無理だと思うけどねえ。単純にそろそろ悟君にもお礼を言おうと思ったらたまたまここで発見しただけだよ。何だか意味深なタイミングになっちゃって、ごめんニコ!」
「は、はあ・・・」
何だか家庭教師の薬師寺先生の同僚の聖さんって人にも前に会ったんだけど、その時の『あげ!』のノリに近い『ニコ!』だった。この人アイドルっていうか本質はギャルなのかもしれないな・・・
「・・・僕はてっきり鏡石にもニコ様と違った意思を持っていて人を選別して願いを叶えていると思ったんですけど、案外システムチックだったんですね。願いを叶えるためのエネルギーが設定されていて、そのエネルギーがたまたま溜まっているタイミングでいろはさんと猫屋敷さんが変身できた・・・逆に僕はもういくら頑張ってもプリキュアになれない・・・そういうことですよね?」
「うーん、ガオウ達を鎮められなかったのもニコの責任なんだけど、この鏡石の管理がずさんだったのもニコの責任なんだよねえ。正直に言うと何でカラカラだったはずの鏡石が急に本来の力を取り戻していろはちゃん達をプリキュアにしたのか、よく分からないんだよねえ。ほんと、メエメエや貴方達を責められる立場じゃないニコ。これが子供の見るアニメ番組の味方組織の長だったら倫理的によくないと色々叩かれそうニコ」
「い、いや・・・どうでしょう・・・ニコ様は結構頑張っている方だと思いますけど・・・」
それこそそういうアニメってたまにすごい無責任な大人が出てきてモヤモヤするから難しい問題だよね。子供達の冒険したいって心や変身願望を尊重しつつも大人としては子供を守りたいってリアリティをどう再現していくのか・・・そこらへん主人公が成人してても大丈夫な特撮ヒーローはジレンマの解消簡単そうだよね・・・あ、でも今週のガッチャード最終回の宝太郎君とお母さんの台詞はかなり良かったよね・・・って頭の中でかなり脱線してきているんだけど・・・
「・・・今起きている問題の根幹にまで遡ってみると、ニコがこの世界の生き物たちを信頼し過ぎて、無闇に鏡石を設置してしまって争いを起こしてしまったことが問題ニコ。無責任に神の力を下界の生き物たちに与えては争いの火種になる・・・ニコもスタープリンセス達のことを笑えないニコね」
・・・スタープリンセス、その名前も薬師寺先生から聞いたことがある気がするけど・・・それを頭の中で思い出す前にニコ様は話を続ける。
「・・・だからスタープリンセス達が最終的に行ったように、ニコも人間や動物の中でも『力の使い方を誤って喧嘩が起きてしまっても、仲直りできる』個体を選別して力を与えるのが良かったニコね。そういう言い方をするとそれはそれでいつか差別に繋がりそうだから必ずしも正解という訳ではないかもしれないけど、それでもかつてのニコは他の動物と人間達の感情をどんぶり勘定しすぎて見ようとしてなかったかもしれないニコね。案外ニコより鏡石の方がそういう選別をちゃんとしてくれて、プリキュアに変身しても大丈夫そうな子を選んでずっと力を蓄えていてくれてたかもしれないニコね。こっちの世界は物でも大切に扱われたら魂が宿るみたいだし」
・・・他の生き物たちをどんぶり勘定で見てしまう、か。僕はたまにニコ様の神様視点で人間を一括で眺めてしまう、そんな規模の大きい目線が怖いなって思うけど、人間の僕も多種族にはそういう目線で見てしまっているところもあると思うから人のことは言えないかもしれないよね。同じ人間の中でも、外国人は皆同じ顔に見えてしまったり、無知というのは時に残酷な差別をしてしまうものだ。むしろ少しでも歩み寄ろうとしている今のニコ様はだいぶ優しい神様なのかもしれないね。
「だからニコ目線で見てももしかしたら君ならプリキュアになってニコの代りに怒れる魂を鎮める巫女の役を代行してもらってもいいかな・・・って思う反面、そんないい加減な神様の力に頼らないでも人間のままでこの問題を解決してほしいと思うニコ。本来ならニコガーデンが干渉しないで自力で解決するのが一番ニコからね・・・まあ結局色んな要素が混ざって世界は作られるからそう簡単じゃないかもしれないけど・・・」
・・・僕もプリキュアになりたい、そう思ってたまにこの鏡石の前にきてしまっていたけど、そうか・・・
「・・・人間のままでこの問題を解決することは、神様の力に頼らないって意味でも大切なのかもしれないですよね」
「・・・分かってくれて嬉しいニコ、悟君。こういう言い方は残酷なのかもしれないけど・・・」
・・・そこはニコ様に言わせないで、それこそ人間代表して僕が言うことにしよう。これ以上神様のせいにするのも申し訳ないからね。今の時代の人間、結構すごいんですよってところをニコ様に見せて安心させないと。
「僕はあなたの力を借りなくても、動物たちと仲良くなってみますよ。大福とだって、喋れなくてもマブダチなんですから」
「・・・ありがとう、悟君。お礼にニコのライブの最前列のチケット手配するニコ」
「え・・・いや、それは・・・」
「いらないニコ?」
「いや!是非!ありがたくいただきます!ニコ様!」
・・・やっぱりこの人も読めない人だな・・・でもそれで良いのかもしれない。これからゆっくりニコ様のことも知っていこう。
「悟君、どうしたニコ?鏡石なんか見つめちゃって」
「うわ!ニ、ニコ様?び、びっくりした・・・っていうか僕の名前覚えてくれてたんですね・・・あんまり人間に興味なさそうだったのに・・・」
「いやだなあ、もう。ニコってそんな薄情に見えるかな。まあ第一印象は確かに悪かったかもしれないよね。ずっと黙ってたタマゴだったし」
「いや・・・初対面そこからカウントなんですね・・・」
でも確かにニコ様、人間の尺度では測れない神様みたいな存在だなって思うこともあるけど、中学生のいろはさん達に責任を負わせようとしなかったり常識的な面もあればアイドルみたいなことを言ったり全然読めないんだよね・・・今だって僕に何で個人的に話してきたのか不思議だ。それともやっぱり・・・
「・・・僕も鏡石に願ってプリキュアになるんじゃないか・・・それを警戒して見に来てくれたんですかね・・・困りますもんね、これ以上力が分散しちゃうと・・・」
「え、ああ、それもあったのかなあ。でも今の鏡石はもう願いを叶える力がカラカラだからそれは無理だと思うけどねえ。単純にそろそろ悟君にもお礼を言おうと思ったらたまたまここで発見しただけだよ。何だか意味深なタイミングになっちゃって、ごめんニコ!」
「は、はあ・・・」
何だか家庭教師の薬師寺先生の同僚の聖さんって人にも前に会ったんだけど、その時の『あげ!』のノリに近い『ニコ!』だった。この人アイドルっていうか本質はギャルなのかもしれないな・・・
「・・・僕はてっきり鏡石にもニコ様と違った意思を持っていて人を選別して願いを叶えていると思ったんですけど、案外システムチックだったんですね。願いを叶えるためのエネルギーが設定されていて、そのエネルギーがたまたま溜まっているタイミングでいろはさんと猫屋敷さんが変身できた・・・逆に僕はもういくら頑張ってもプリキュアになれない・・・そういうことですよね?」
「うーん、ガオウ達を鎮められなかったのもニコの責任なんだけど、この鏡石の管理がずさんだったのもニコの責任なんだよねえ。正直に言うと何でカラカラだったはずの鏡石が急に本来の力を取り戻していろはちゃん達をプリキュアにしたのか、よく分からないんだよねえ。ほんと、メエメエや貴方達を責められる立場じゃないニコ。これが子供の見るアニメ番組の味方組織の長だったら倫理的によくないと色々叩かれそうニコ」
「い、いや・・・どうでしょう・・・ニコ様は結構頑張っている方だと思いますけど・・・」
それこそそういうアニメってたまにすごい無責任な大人が出てきてモヤモヤするから難しい問題だよね。子供達の冒険したいって心や変身願望を尊重しつつも大人としては子供を守りたいってリアリティをどう再現していくのか・・・そこらへん主人公が成人してても大丈夫な特撮ヒーローはジレンマの解消簡単そうだよね・・・あ、でも今週のガッチャード最終回の宝太郎君とお母さんの台詞はかなり良かったよね・・・って頭の中でかなり脱線してきているんだけど・・・
「・・・今起きている問題の根幹にまで遡ってみると、ニコがこの世界の生き物たちを信頼し過ぎて、無闇に鏡石を設置してしまって争いを起こしてしまったことが問題ニコ。無責任に神の力を下界の生き物たちに与えては争いの火種になる・・・ニコもスタープリンセス達のことを笑えないニコね」
・・・スタープリンセス、その名前も薬師寺先生から聞いたことがある気がするけど・・・それを頭の中で思い出す前にニコ様は話を続ける。
「・・・だからスタープリンセス達が最終的に行ったように、ニコも人間や動物の中でも『力の使い方を誤って喧嘩が起きてしまっても、仲直りできる』個体を選別して力を与えるのが良かったニコね。そういう言い方をするとそれはそれでいつか差別に繋がりそうだから必ずしも正解という訳ではないかもしれないけど、それでもかつてのニコは他の動物と人間達の感情をどんぶり勘定しすぎて見ようとしてなかったかもしれないニコね。案外ニコより鏡石の方がそういう選別をちゃんとしてくれて、プリキュアに変身しても大丈夫そうな子を選んでずっと力を蓄えていてくれてたかもしれないニコね。こっちの世界は物でも大切に扱われたら魂が宿るみたいだし」
・・・他の生き物たちをどんぶり勘定で見てしまう、か。僕はたまにニコ様の神様視点で人間を一括で眺めてしまう、そんな規模の大きい目線が怖いなって思うけど、人間の僕も多種族にはそういう目線で見てしまっているところもあると思うから人のことは言えないかもしれないよね。同じ人間の中でも、外国人は皆同じ顔に見えてしまったり、無知というのは時に残酷な差別をしてしまうものだ。むしろ少しでも歩み寄ろうとしている今のニコ様はだいぶ優しい神様なのかもしれないね。
「だからニコ目線で見てももしかしたら君ならプリキュアになってニコの代りに怒れる魂を鎮める巫女の役を代行してもらってもいいかな・・・って思う反面、そんないい加減な神様の力に頼らないでも人間のままでこの問題を解決してほしいと思うニコ。本来ならニコガーデンが干渉しないで自力で解決するのが一番ニコからね・・・まあ結局色んな要素が混ざって世界は作られるからそう簡単じゃないかもしれないけど・・・」
・・・僕もプリキュアになりたい、そう思ってたまにこの鏡石の前にきてしまっていたけど、そうか・・・
「・・・人間のままでこの問題を解決することは、神様の力に頼らないって意味でも大切なのかもしれないですよね」
「・・・分かってくれて嬉しいニコ、悟君。こういう言い方は残酷なのかもしれないけど・・・」
・・・そこはニコ様に言わせないで、それこそ人間代表して僕が言うことにしよう。これ以上神様のせいにするのも申し訳ないからね。今の時代の人間、結構すごいんですよってところをニコ様に見せて安心させないと。
「僕はあなたの力を借りなくても、動物たちと仲良くなってみますよ。大福とだって、喋れなくてもマブダチなんですから」
「・・・ありがとう、悟君。お礼にニコのライブの最前列のチケット手配するニコ」
「え・・・いや、それは・・・」
「いらないニコ?」
「いや!是非!ありがたくいただきます!ニコ様!」
・・・やっぱりこの人も読めない人だな・・・でもそれで良いのかもしれない。これからゆっくりニコ様のことも知っていこう。
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