見てるだけじゃつまらない
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「ねぇ隊長。」
「どうした。ナマエ」
帰ってきた隊長の背中に問いかける。よく見ると砂埃が付いていて、訳を聞いても心配ないの一点張りだった。
「私のリボルバー、知りません?」
本題に入るが、正直もう見つかるとは期待していなかったから大層投げやりな声に聞こえただろう。ちら、と見やると隊長は私に背を向けて固まったまま動かなかった。その挙動で私は大方の事情を察した。多分持っていったんだな、この人。
「…返す。」
そうぶっきらぼうに言った彼から手渡されたのは思わずうっとりしてしまうほど見事な装飾が施されたあの見慣れたリボルバー。残念な所と言えばやはり使われてしまったことだろうか。今まで観賞用として大事に保管してあったので狙撃用なんかには向かないと思っていたけれど、隊長に使われたんなら銃冥利に尽きるってものかも。なんて考えていると
「…あー…」
と隊長が気まずそうに口を開いた。珍しくしおらしそうにしている彼になんだか驚いてしまってしばらく黙っていたが、向こうも意味の無い言葉を発し続けるばかりでとうとうこちらから要件を聞いてしまった。隊長はしばらくの間私と目線を合わせたかと思うと小さな声で呟いた。
「…ジャムった。」
「え、」
「すまん。」
相も変わらず飄々としているその様はもう尊敬にすら値する。私のお気に入りをジャムらせた?冗談じゃない、これにどれだけ私がつぎ込んだと!徐々に事実を認識していくとともにふつふつと怒りが湧いてくる。
「隊長、私言いましたよね。」
「な、なにを。」
予想外の私の反応に若干気圧されているが構わず続ける。
「これ、すーっごく大事なんだって。コレクシ
ョン見せた時に言いましたよね。」
「聞いたな。」
このセリフで私の沸点が大爆発した。
「じゃあなんで使ったんですかッ!隊長のアホ、ヤマネコ、ウェスタンバカ!」
「い、いや悪かった…。ほらまた買ってやる。」
「私はこの銃が好きなんです!」
ああもう。同じ銃マニアでも隊長は自分の専門にしか興味が無い、私のようなコレクター気質の人とは分かり合えないのだ。少しだけ涙ぐんでいると拍車の音が聞こえて、顔を上げると隊長が目の前にいた。
「お前に許可を取らずに勝手に持ち出したのは悪かった…」
「そうですね。」
うぐ、と言葉に詰まる隊長を見てそろそろ許してあげようという気になる。部下に謝るだけこの世界では良い上官だ。そんな考えは次に発せられた発言で吹き飛んで行った。
「…しかし見るだけとは…使用できないなんてもったいない銃だ。」
「……!隊長…」
「な、なんだ。」
「隊長のブーツの拍車もぎ取っていいですか。」
しばらく取っ組み合いを続けた結果、その日は口をきくことはなかった。
END
「どうした。ナマエ」
帰ってきた隊長の背中に問いかける。よく見ると砂埃が付いていて、訳を聞いても心配ないの一点張りだった。
「私のリボルバー、知りません?」
本題に入るが、正直もう見つかるとは期待していなかったから大層投げやりな声に聞こえただろう。ちら、と見やると隊長は私に背を向けて固まったまま動かなかった。その挙動で私は大方の事情を察した。多分持っていったんだな、この人。
「…返す。」
そうぶっきらぼうに言った彼から手渡されたのは思わずうっとりしてしまうほど見事な装飾が施されたあの見慣れたリボルバー。残念な所と言えばやはり使われてしまったことだろうか。今まで観賞用として大事に保管してあったので狙撃用なんかには向かないと思っていたけれど、隊長に使われたんなら銃冥利に尽きるってものかも。なんて考えていると
「…あー…」
と隊長が気まずそうに口を開いた。珍しくしおらしそうにしている彼になんだか驚いてしまってしばらく黙っていたが、向こうも意味の無い言葉を発し続けるばかりでとうとうこちらから要件を聞いてしまった。隊長はしばらくの間私と目線を合わせたかと思うと小さな声で呟いた。
「…ジャムった。」
「え、」
「すまん。」
相も変わらず飄々としているその様はもう尊敬にすら値する。私のお気に入りをジャムらせた?冗談じゃない、これにどれだけ私がつぎ込んだと!徐々に事実を認識していくとともにふつふつと怒りが湧いてくる。
「隊長、私言いましたよね。」
「な、なにを。」
予想外の私の反応に若干気圧されているが構わず続ける。
「これ、すーっごく大事なんだって。コレクシ
ョン見せた時に言いましたよね。」
「聞いたな。」
このセリフで私の沸点が大爆発した。
「じゃあなんで使ったんですかッ!隊長のアホ、ヤマネコ、ウェスタンバカ!」
「い、いや悪かった…。ほらまた買ってやる。」
「私はこの銃が好きなんです!」
ああもう。同じ銃マニアでも隊長は自分の専門にしか興味が無い、私のようなコレクター気質の人とは分かり合えないのだ。少しだけ涙ぐんでいると拍車の音が聞こえて、顔を上げると隊長が目の前にいた。
「お前に許可を取らずに勝手に持ち出したのは悪かった…」
「そうですね。」
うぐ、と言葉に詰まる隊長を見てそろそろ許してあげようという気になる。部下に謝るだけこの世界では良い上官だ。そんな考えは次に発せられた発言で吹き飛んで行った。
「…しかし見るだけとは…使用できないなんてもったいない銃だ。」
「……!隊長…」
「な、なんだ。」
「隊長のブーツの拍車もぎ取っていいですか。」
しばらく取っ組み合いを続けた結果、その日は口をきくことはなかった。
END
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