彼が大人になった時
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14
「ただいま…」
「お疲れ様。…なんか今日はずいぶんげっそりじゃん。」
「あぁ、俺はもうだめだ。動けない。寝る。」
「ドラマ撮影の日は基本前後に何も仕事入れないってのが当たり前だけど…。まぁこうなるんじゃどっちにしても仕事入れれないな~」
時刻はまだ18時30分を指したばかり。
玄関が開いた音が数秒前に聞こえたかと思うと、黒斗がリビングに入ったと同時にソファにうなだれる。
着の身着のままでいられても困ることはないけど、明日はまた別の撮影がある。
風呂なりシャワーなり浴びてしっかりと寝てもらわないと、明日に響いても困る。
「…思ってたより早かったな~、ご飯は?」
「食べてきた。さすがに初日だから、誘いを無碍にできなくてな」
「その割にさっさと解散してきたって感じじゃん。まこたんもいた?」
「あぁ、そりゃそうだろ。真は別に俺にとってセラピー要素があるからいいものの…女が。」
あー、と軽く返事をして、アイドルがしてはいけない顔をしている黒斗をなだめる。
ひと一人殺しそ~。
「蒼空は?」
「ん、あ~俺?俺は幼馴染たちと一緒にご飯してきた!」
「…幼馴染?………お前に?」
「…ちょっと!?ひどくない!?俺在学中ちゃんと友達いたよ!?」
「いや、えぇ?中学以下はありえないとしても…わざわざ連絡を取り合って今日飯を一緒に食べてくれる幼馴染が…お前に?」
「だぁぁぁ!はいはい!どうせ俺独りじゃ知り合いにすらなりえなかった友人たちだよっ!せなたんとりっつん!!」
「……へぇ。」
あれ?と思ったのも当然。せなたんの名前にちょっとでも反応を示すかな~と思っていたら、…なんか不自然に無反応。
「一緒に食べたかったか?」
「まさか、むしろ思っていた以上に予想通りのメンツに羨望の気持ちもわかない。」
「…ふぅん。そう。」
はッ、と鼻で笑い、ソファのひじ掛けに寄りかかってテレビをつける黒斗。
画面にはバラエティ番組に出演する双子の姿があり、ドッキリを仕掛ける企画が映し出されている。
「この2人、普段からドッキリとかいたずら好きだもんなぁ。プロの手腕…」
「あぁ、そうだな。」
「…あのさぁ黒斗」
「なんだ」
「もしかして、嫉妬してる?」
「はぁ?」
「めっっっちゃこわその顔!?さっきの、女が…って言ってた時よりひどい!俺を殺す気なのかその眼力で!!?」
「…蒼空が意味不明なことを言うからだろ。」
俺が苦笑いを浮かべながらソファの右側に座ると聞こえるように舌打ちをされる。
入れ替わりのように黒斗がソファから立ち上がるとまっすぐキッチンに向かって冷蔵庫を開けた。
「あ、黒斗。飲み物なら俺にもー」
再度舌打ちを受けながらも、笑顔を崩さずにいると、ちゃんと二人用のコップを用意して俺の大好きなコーラを注いでくれる。
かと思えば隣のコップにも注ぎ始めた。
その様子をソファの背もたれ越しに見つめる。
「え、黒斗コーラ飲むの?」
「うるさい」
二つのコップを持ってこちらに戻ってくる黒斗を見上げる。しっかりと手渡しでコップを渡され、ありがとうと受け取るも、黒斗の眉間にはいまだに深い皺。
取れるのあれ?取れる時が来るのか?
まぁ、原因はわかってるし、というか…俺の笑顔がさっきから取れないのは正直面白いものを見つけて口角が元に戻らないからである。
「あー、口がシュワシュワする。やっぱちょっと炭酸が抜けたときのほうが飲みやすい。」
「それもうほぼ砂糖水になっちゃうじゃん。え、てか黒斗ってコーラ飲んだことあるんだ?」
「当然だろ。綾人と一緒にいたころはしょっちゅう飲んでた。まぁ、開けたてのはあまり好きじゃないが…」
「いつも紅茶か水ばっかりだから炭酸嫌いなタイプかと…あ、それで!さっきの話、黒斗が嫉妬してるってせなたんに言っていい?」
「っ……っ~!?」
コーラを口に含んだタイミングで俺がスマホを掲げて黒斗に声をかけると、案の定目を見開いて、というかほぼ睨んで俺を指さす。
「あはは、冗談冗談!なんかのついでで口滑らせない限り大丈夫!」
「…っ、殺す!」
「ちょっ!?うそでしょ!落ち着いて!!」
当然二人で並んで座っていた為あっという間に胸倉を捕まれる。
わぁぁ、懐かしいなぁ…なんて走馬灯のように出会った頃の記憶を思い出していると、突然インターホンが鳴る。
なんか嫌な予感がするなぁ。なんて思ったのを観ていたのかそれともたまたま同じ思考に至ったのか二人で顔を合わせて静かにモニターへと近づく。
案の定、と言いたくなかったんだけど…案の定そこに移っていたのはりっつんとせなたんだった。
「いるでしょー、電気ついてるからわかるんだからねぇ~」
着けていたマスクを下あごにずらして問い詰めてくるのはりっつん。
後ろで腕を組みながらせなたんがカメラではなく外を向いている。
「どーする?」
「…何の用だ」
若干疲れもあるのか、冷たくモニターに向かって話す黒斗。
まぁやっぱり嫉妬してるっぽくて、俺がせなたんと一緒に食事したのが気に食わないんだろう。
そんなこと気にする性格じゃないと思っていたけど…
「セッちゃんの忘れ物~。自分で探したいって」
「電話とかで言ってくれれば俺たちが探して後日渡すことだってできただろ。」
「まぁまぁ黒斗、別にウチに上げるの嫌なわけじゃないんだから…な?」
「…はぁ、分かった。ちなみに物は?部屋につく間に俺達でも探しておく」
「…チェキ」
チェキぃ?と明らかに不満そうな声で応える黒斗にまぁまぁまぁ!と再度宥めて待ってるなー!と二人に返事をしてモニターを切る。
「も~、黒斗ピリピリしすぎだって!いいじゃん、恋人に会えるんだからちょっとは期限直して、な?」
「うるさいな…別に俺は嫉妬だとかそんなものしてない。ただ単純に疲れてイライラしてるだけだ。お前らは仲良く飯食ってたってな。俺だって……会いたかったん…だが」
「おもっくそ嫉妬じゃん!?認めな!?な!?」
「あーもー!わかった!!わかったからこれ以上余計なこと言うな!…なんというか…考えれば考えるほど、こんな女々しいの見られたくないし、恥ずかしいだろ…そういうの」
「………」
「とにかく、このことは秘密だ!絶対に!泉に言うなよっ!あ、あと綾人にも!」
「ぇー……」
うわぁ…こんなんせなたんが見たら嬉しさで2,3日くらい口元にやけそうだな。
面白そ…いやでも、俺の相方が顔を真っ赤にして恥ずかしがってるし、言ったら可哀そうか…。
「おいっす~、ほっし~さっきぶりー。黒斗は久しぶりぃ♪」
「何度もごめんねぇ。お邪魔します。」
「せなたんせなたん!!黒斗が会いたがっ…ぐふっ!?」
::END
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「ただいま…」
「お疲れ様。…なんか今日はずいぶんげっそりじゃん。」
「あぁ、俺はもうだめだ。動けない。寝る。」
「ドラマ撮影の日は基本前後に何も仕事入れないってのが当たり前だけど…。まぁこうなるんじゃどっちにしても仕事入れれないな~」
時刻はまだ18時30分を指したばかり。
玄関が開いた音が数秒前に聞こえたかと思うと、黒斗がリビングに入ったと同時にソファにうなだれる。
着の身着のままでいられても困ることはないけど、明日はまた別の撮影がある。
風呂なりシャワーなり浴びてしっかりと寝てもらわないと、明日に響いても困る。
「…思ってたより早かったな~、ご飯は?」
「食べてきた。さすがに初日だから、誘いを無碍にできなくてな」
「その割にさっさと解散してきたって感じじゃん。まこたんもいた?」
「あぁ、そりゃそうだろ。真は別に俺にとってセラピー要素があるからいいものの…女が。」
あー、と軽く返事をして、アイドルがしてはいけない顔をしている黒斗をなだめる。
ひと一人殺しそ~。
「蒼空は?」
「ん、あ~俺?俺は幼馴染たちと一緒にご飯してきた!」
「…幼馴染?………お前に?」
「…ちょっと!?ひどくない!?俺在学中ちゃんと友達いたよ!?」
「いや、えぇ?中学以下はありえないとしても…わざわざ連絡を取り合って今日飯を一緒に食べてくれる幼馴染が…お前に?」
「だぁぁぁ!はいはい!どうせ俺独りじゃ知り合いにすらなりえなかった友人たちだよっ!せなたんとりっつん!!」
「……へぇ。」
あれ?と思ったのも当然。せなたんの名前にちょっとでも反応を示すかな~と思っていたら、…なんか不自然に無反応。
「一緒に食べたかったか?」
「まさか、むしろ思っていた以上に予想通りのメンツに羨望の気持ちもわかない。」
「…ふぅん。そう。」
はッ、と鼻で笑い、ソファのひじ掛けに寄りかかってテレビをつける黒斗。
画面にはバラエティ番組に出演する双子の姿があり、ドッキリを仕掛ける企画が映し出されている。
「この2人、普段からドッキリとかいたずら好きだもんなぁ。プロの手腕…」
「あぁ、そうだな。」
「…あのさぁ黒斗」
「なんだ」
「もしかして、嫉妬してる?」
「はぁ?」
「めっっっちゃこわその顔!?さっきの、女が…って言ってた時よりひどい!俺を殺す気なのかその眼力で!!?」
「…蒼空が意味不明なことを言うからだろ。」
俺が苦笑いを浮かべながらソファの右側に座ると聞こえるように舌打ちをされる。
入れ替わりのように黒斗がソファから立ち上がるとまっすぐキッチンに向かって冷蔵庫を開けた。
「あ、黒斗。飲み物なら俺にもー」
再度舌打ちを受けながらも、笑顔を崩さずにいると、ちゃんと二人用のコップを用意して俺の大好きなコーラを注いでくれる。
かと思えば隣のコップにも注ぎ始めた。
その様子をソファの背もたれ越しに見つめる。
「え、黒斗コーラ飲むの?」
「うるさい」
二つのコップを持ってこちらに戻ってくる黒斗を見上げる。しっかりと手渡しでコップを渡され、ありがとうと受け取るも、黒斗の眉間にはいまだに深い皺。
取れるのあれ?取れる時が来るのか?
まぁ、原因はわかってるし、というか…俺の笑顔がさっきから取れないのは正直面白いものを見つけて口角が元に戻らないからである。
「あー、口がシュワシュワする。やっぱちょっと炭酸が抜けたときのほうが飲みやすい。」
「それもうほぼ砂糖水になっちゃうじゃん。え、てか黒斗ってコーラ飲んだことあるんだ?」
「当然だろ。綾人と一緒にいたころはしょっちゅう飲んでた。まぁ、開けたてのはあまり好きじゃないが…」
「いつも紅茶か水ばっかりだから炭酸嫌いなタイプかと…あ、それで!さっきの話、黒斗が嫉妬してるってせなたんに言っていい?」
「っ……っ~!?」
コーラを口に含んだタイミングで俺がスマホを掲げて黒斗に声をかけると、案の定目を見開いて、というかほぼ睨んで俺を指さす。
「あはは、冗談冗談!なんかのついでで口滑らせない限り大丈夫!」
「…っ、殺す!」
「ちょっ!?うそでしょ!落ち着いて!!」
当然二人で並んで座っていた為あっという間に胸倉を捕まれる。
わぁぁ、懐かしいなぁ…なんて走馬灯のように出会った頃の記憶を思い出していると、突然インターホンが鳴る。
なんか嫌な予感がするなぁ。なんて思ったのを観ていたのかそれともたまたま同じ思考に至ったのか二人で顔を合わせて静かにモニターへと近づく。
案の定、と言いたくなかったんだけど…案の定そこに移っていたのはりっつんとせなたんだった。
「いるでしょー、電気ついてるからわかるんだからねぇ~」
着けていたマスクを下あごにずらして問い詰めてくるのはりっつん。
後ろで腕を組みながらせなたんがカメラではなく外を向いている。
「どーする?」
「…何の用だ」
若干疲れもあるのか、冷たくモニターに向かって話す黒斗。
まぁやっぱり嫉妬してるっぽくて、俺がせなたんと一緒に食事したのが気に食わないんだろう。
そんなこと気にする性格じゃないと思っていたけど…
「セッちゃんの忘れ物~。自分で探したいって」
「電話とかで言ってくれれば俺たちが探して後日渡すことだってできただろ。」
「まぁまぁ黒斗、別にウチに上げるの嫌なわけじゃないんだから…な?」
「…はぁ、分かった。ちなみに物は?部屋につく間に俺達でも探しておく」
「…チェキ」
チェキぃ?と明らかに不満そうな声で応える黒斗にまぁまぁまぁ!と再度宥めて待ってるなー!と二人に返事をしてモニターを切る。
「も~、黒斗ピリピリしすぎだって!いいじゃん、恋人に会えるんだからちょっとは期限直して、な?」
「うるさいな…別に俺は嫉妬だとかそんなものしてない。ただ単純に疲れてイライラしてるだけだ。お前らは仲良く飯食ってたってな。俺だって……会いたかったん…だが」
「おもっくそ嫉妬じゃん!?認めな!?な!?」
「あーもー!わかった!!わかったからこれ以上余計なこと言うな!…なんというか…考えれば考えるほど、こんな女々しいの見られたくないし、恥ずかしいだろ…そういうの」
「………」
「とにかく、このことは秘密だ!絶対に!泉に言うなよっ!あ、あと綾人にも!」
「ぇー……」
うわぁ…こんなんせなたんが見たら嬉しさで2,3日くらい口元にやけそうだな。
面白そ…いやでも、俺の相方が顔を真っ赤にして恥ずかしがってるし、言ったら可哀そうか…。
「おいっす~、ほっし~さっきぶりー。黒斗は久しぶりぃ♪」
「何度もごめんねぇ。お邪魔します。」
「せなたんせなたん!!黒斗が会いたがっ…ぐふっ!?」
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