彼が大人になった時
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12
「俺のところにきて…なんなのもう」
「今日から”ゆうくん”と黒斗が公然でいちゃいちゃしてると思うと何もする気が起きないっていうから引きずってきた」
「いや迷惑…ごほん、まぁとりあえず。りっつんもせなたんも上がって上がって」
はぁ、と溜息を吐きながらも俺たちを中へ招き入れてくれるのは昨日夜まで仕事をしていたというみ~やん。
先程起きたばかりなのか寝癖がついたまま出迎えてくれた。
「でも、せなたんもりっつんも仕事じゃないのか?」
「んーん、今日はちょうど、というのも変だけど。オフなんだよねぇ♪昨日黒斗から食事誘われたってウキウキでマンション出て行ったの見たからまさか朝までコースだと思ってたらさぁ…」
昨日の夜、俺が予想しているよりもはるかに早い時間にセッちゃんが帰ってきてからの地獄を思い出す。
「いや、まぁ…何があったのか今のせなたんを見ればわかるよ。相方の仕事もこみこみで、お察しって感じ。」
「っていうか、公然でいちゃいちゃってなに?昨日泣きながら『ゆうくん』と黒斗がぁぁって言ってきて結局要点まとまってないまま喚いて寝落ちしてんだよねぇ」
うわぁ…と、今だソファで項垂れるセッちゃんを見ながら俺なら絶対殴って帰らせる。としれっと暴力発言をするみ~やん。
だけど、
「まぁ、せなたんとしてはかわいがってきた弟が主演を務めてるし、嬉しいだろうけど、まさかの相手は自分の恋人だろ?まして最近付き合い始めたところに別の男の影って…」
「そういう言い方しないでよねぇ!?黒斗は俺のこと大好きだから!絶対揺らがないし!!」
「……りっつん?あれお酒入ってる?」
「まだ未成年だよ?何言ってんのみ~やん」
ぐるっと振り返って今度は俺たちに向けてふんぞり返るように座るセッちゃん。
その目は未だ…いや、今のみ~やんの言葉でなのか、若干潤んでいる。
「とにかく、公然いちゃいちゃ罪?どういうことなの?」
「え、なにその言い換え。えっととにかく、実は黒斗とまこたんがW主演のドラマがあってなー?その撮影が今日からなわけ」
「へぇ~。すごいじゃん。あの子、めきめき上達してるんだねぇ。セッちゃんが顔が顔がって顔ばかり褒めてるから演技のほうはからっきしだと思ってたけど」
「当の本人の自信の無さは相変わらずだけどな?でも、やる事はやるって根気はあるし。それに黒斗がいるんだからある意味自然体で、ちゃんと主演張れるんじゃない?」
「ゆうくんが主演を務めることに何も文句はないし、絶対ドラマだろうと、ただのバラエティ番組とかでも見るつもりだけどさぁ?なんで俺の黒斗と恋人になれるわけぇ?」
「うわ…復活した。」
いそいそとリビングのソファに座る俺たちと距離を取ってダイニングの椅子に移動するみやくん。
え、俺もそっち行きたいんだけど…。ちょうど同線にセッちゃんなんだよねぇ。座るの逆にすればよかった。
「っていうか、いくら恋人になったからって、俺の俺のっていうのやめなよ。黒斗も、『ゆうくん』も別にセッちゃんのものじゃないでしょ?」
ソファの肘掛に肩肘をついてセッちゃんをジトリと睨む。
昨日の泣き喚くのも迷惑だけど、今のセッちゃんもだいぶ厄介オタクになりかねない…。
「はぁ?少なくとも黒斗は俺の恋人でしょぉ?それに、今ここにいる誰よりも一緒にいた時間が長いし?」
「いや、それを言うならユニットを組んでる俺の相方でもあるんだけどな?まぁ時間は譲るけど」
「そういうことじゃないってば。もぉ~、弟とか、幼馴染が離れがたいのは痛いほどわかるけどさぁ。仕事は仕事だから、気にしないでやってかないと。そんなドラマの収録の日の度にこれじゃ嫌なんだけど」
「連れてきてって頼んでないし!そもそもここにきてもみやくんしかいないじゃん!」
「…その言い方はないでしょ。あーもう…せなたんは不安と嬉しさと期待と虚しさで胸が苦しい~!応援したいけど素直に応援するのも悲しい~!って感じなんでしょ?」
「はぁ、ちが」
「もうそうなったら別の事で気分転換するしかないんだよ。ということで、しょうがないから今から3人でショッピングモールにでも行こう!甘いものでも辛いものでも何でも食べるなり、いつもと違う服着てみたり、とにかく深く考えることをやめる!それが一番!」
「いや、み~やん…どういう理屈…」
止める間もなくみ~やんが今から着替えてくるからちょっと待ってて!と自室へと駆け込んでいく。
さすがのセッちゃんも驚き、というか呆れというか、目を丸めていたけど。
「みやくんの言ってることやって気分晴れなかったらどう責任取ってもらおう」
と呟く。
いや、少なくとも気を使ってくれて行動してくれてるんだから責任とかないでしょ。
「はい!完璧!さすが俺!キャップをかぶれば世界最高にさわやかイケメン☆」
「はやっ、こんな日中からテンション上げれるのすごくない?ってみ~やん結構普通な服なんだね?もっとこう、やんちゃな子供みたいな恰好すると思ってた。」
ソファから見上げると黒いキャップに、ベージュのステンカラーコート、黒い色に落とし込んだフルレングスのデニムパンツ。
俺のなかのみ~やんのイメージは黒斗に飛びついていくような感じだったから、こんな年相応の格好ができるのかと驚いてしまう。
下手したら季節問わず半袖短パンでいそうなキャラなのに。
「りっつん?ちょっと失礼なこと考えてない?…ほらほら!とにかく行くよ!」
「はいはい、みやくんの子守すればいいんでしょぉ?」
「違うし!今日はせなたんの子守!」
「……はぁ、俺は賛成してないんだけどー?っていうか、どう考えても俺が二人の子守する立場じゃん。」
そんな悪態をつきながらも、滅多に揃わない自覚しかない3人で出かけるなんて、ちょっとだけワクワクするかも…
なんて思いながら玄関を出て走り出すみ~やんと、それを追いかけるセッちゃんの後ろ姿をスマホに収める。
「黒斗に送ろ~っと。羨ましがるかなぁ?なわけないか♪」
「りっつん置いてっちゃうよ~!」
「くまくん日中出歩くのは苦手なんだから、みやくん足並みそろえてよねぇ!」
「あっはは!ごめんごめん!楽しくて!」
「あ~もう…」
呆れて肩を竦めながらも俺との距離を確認しつつ一歩ずつ進むセッちゃん。
その様子を見ると、さっきまであーだこーだ言ってたとは感じさせないくらい、なんかあっちも気にしてこっちも気にして忙しそう。
「ふふ、なんだかんだ正解なのかも」
「ちょっとぉ?くまくん人の顔見て笑うなんて失礼じゃない?」
俺の横にセッちゃんが立ったのを確認すると、少し戻ってきてみ~やんも横に並ぶ。
「違う違う。み~やんが案外策士なのかもなぁって」
「はぁ?何の話か知らないけど、みやくんがそこまで頭いいわけないじゃん。」
「普通にめちゃくちゃ失礼!」
::END
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「俺のところにきて…なんなのもう」
「今日から”ゆうくん”と黒斗が公然でいちゃいちゃしてると思うと何もする気が起きないっていうから引きずってきた」
「いや迷惑…ごほん、まぁとりあえず。りっつんもせなたんも上がって上がって」
はぁ、と溜息を吐きながらも俺たちを中へ招き入れてくれるのは昨日夜まで仕事をしていたというみ~やん。
先程起きたばかりなのか寝癖がついたまま出迎えてくれた。
「でも、せなたんもりっつんも仕事じゃないのか?」
「んーん、今日はちょうど、というのも変だけど。オフなんだよねぇ♪昨日黒斗から食事誘われたってウキウキでマンション出て行ったの見たからまさか朝までコースだと思ってたらさぁ…」
昨日の夜、俺が予想しているよりもはるかに早い時間にセッちゃんが帰ってきてからの地獄を思い出す。
「いや、まぁ…何があったのか今のせなたんを見ればわかるよ。相方の仕事もこみこみで、お察しって感じ。」
「っていうか、公然でいちゃいちゃってなに?昨日泣きながら『ゆうくん』と黒斗がぁぁって言ってきて結局要点まとまってないまま喚いて寝落ちしてんだよねぇ」
うわぁ…と、今だソファで項垂れるセッちゃんを見ながら俺なら絶対殴って帰らせる。としれっと暴力発言をするみ~やん。
だけど、
「まぁ、せなたんとしてはかわいがってきた弟が主演を務めてるし、嬉しいだろうけど、まさかの相手は自分の恋人だろ?まして最近付き合い始めたところに別の男の影って…」
「そういう言い方しないでよねぇ!?黒斗は俺のこと大好きだから!絶対揺らがないし!!」
「……りっつん?あれお酒入ってる?」
「まだ未成年だよ?何言ってんのみ~やん」
ぐるっと振り返って今度は俺たちに向けてふんぞり返るように座るセッちゃん。
その目は未だ…いや、今のみ~やんの言葉でなのか、若干潤んでいる。
「とにかく、公然いちゃいちゃ罪?どういうことなの?」
「え、なにその言い換え。えっととにかく、実は黒斗とまこたんがW主演のドラマがあってなー?その撮影が今日からなわけ」
「へぇ~。すごいじゃん。あの子、めきめき上達してるんだねぇ。セッちゃんが顔が顔がって顔ばかり褒めてるから演技のほうはからっきしだと思ってたけど」
「当の本人の自信の無さは相変わらずだけどな?でも、やる事はやるって根気はあるし。それに黒斗がいるんだからある意味自然体で、ちゃんと主演張れるんじゃない?」
「ゆうくんが主演を務めることに何も文句はないし、絶対ドラマだろうと、ただのバラエティ番組とかでも見るつもりだけどさぁ?なんで俺の黒斗と恋人になれるわけぇ?」
「うわ…復活した。」
いそいそとリビングのソファに座る俺たちと距離を取ってダイニングの椅子に移動するみやくん。
え、俺もそっち行きたいんだけど…。ちょうど同線にセッちゃんなんだよねぇ。座るの逆にすればよかった。
「っていうか、いくら恋人になったからって、俺の俺のっていうのやめなよ。黒斗も、『ゆうくん』も別にセッちゃんのものじゃないでしょ?」
ソファの肘掛に肩肘をついてセッちゃんをジトリと睨む。
昨日の泣き喚くのも迷惑だけど、今のセッちゃんもだいぶ厄介オタクになりかねない…。
「はぁ?少なくとも黒斗は俺の恋人でしょぉ?それに、今ここにいる誰よりも一緒にいた時間が長いし?」
「いや、それを言うならユニットを組んでる俺の相方でもあるんだけどな?まぁ時間は譲るけど」
「そういうことじゃないってば。もぉ~、弟とか、幼馴染が離れがたいのは痛いほどわかるけどさぁ。仕事は仕事だから、気にしないでやってかないと。そんなドラマの収録の日の度にこれじゃ嫌なんだけど」
「連れてきてって頼んでないし!そもそもここにきてもみやくんしかいないじゃん!」
「…その言い方はないでしょ。あーもう…せなたんは不安と嬉しさと期待と虚しさで胸が苦しい~!応援したいけど素直に応援するのも悲しい~!って感じなんでしょ?」
「はぁ、ちが」
「もうそうなったら別の事で気分転換するしかないんだよ。ということで、しょうがないから今から3人でショッピングモールにでも行こう!甘いものでも辛いものでも何でも食べるなり、いつもと違う服着てみたり、とにかく深く考えることをやめる!それが一番!」
「いや、み~やん…どういう理屈…」
止める間もなくみ~やんが今から着替えてくるからちょっと待ってて!と自室へと駆け込んでいく。
さすがのセッちゃんも驚き、というか呆れというか、目を丸めていたけど。
「みやくんの言ってることやって気分晴れなかったらどう責任取ってもらおう」
と呟く。
いや、少なくとも気を使ってくれて行動してくれてるんだから責任とかないでしょ。
「はい!完璧!さすが俺!キャップをかぶれば世界最高にさわやかイケメン☆」
「はやっ、こんな日中からテンション上げれるのすごくない?ってみ~やん結構普通な服なんだね?もっとこう、やんちゃな子供みたいな恰好すると思ってた。」
ソファから見上げると黒いキャップに、ベージュのステンカラーコート、黒い色に落とし込んだフルレングスのデニムパンツ。
俺のなかのみ~やんのイメージは黒斗に飛びついていくような感じだったから、こんな年相応の格好ができるのかと驚いてしまう。
下手したら季節問わず半袖短パンでいそうなキャラなのに。
「りっつん?ちょっと失礼なこと考えてない?…ほらほら!とにかく行くよ!」
「はいはい、みやくんの子守すればいいんでしょぉ?」
「違うし!今日はせなたんの子守!」
「……はぁ、俺は賛成してないんだけどー?っていうか、どう考えても俺が二人の子守する立場じゃん。」
そんな悪態をつきながらも、滅多に揃わない自覚しかない3人で出かけるなんて、ちょっとだけワクワクするかも…
なんて思いながら玄関を出て走り出すみ~やんと、それを追いかけるセッちゃんの後ろ姿をスマホに収める。
「黒斗に送ろ~っと。羨ましがるかなぁ?なわけないか♪」
「りっつん置いてっちゃうよ~!」
「くまくん日中出歩くのは苦手なんだから、みやくん足並みそろえてよねぇ!」
「あっはは!ごめんごめん!楽しくて!」
「あ~もう…」
呆れて肩を竦めながらも俺との距離を確認しつつ一歩ずつ進むセッちゃん。
その様子を見ると、さっきまであーだこーだ言ってたとは感じさせないくらい、なんかあっちも気にしてこっちも気にして忙しそう。
「ふふ、なんだかんだ正解なのかも」
「ちょっとぉ?くまくん人の顔見て笑うなんて失礼じゃない?」
俺の横にセッちゃんが立ったのを確認すると、少し戻ってきてみ~やんも横に並ぶ。
「違う違う。み~やんが案外策士なのかもなぁって」
「はぁ?何の話か知らないけど、みやくんがそこまで頭いいわけないじゃん。」
「普通にめちゃくちゃ失礼!」
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