彼が大人になった時
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7
「くそがぁぁぁ……説明のために客観的になればなるほど自分が気持ち悪い。腹立たしいっ…!」
『まぁ…黒斗くんたら。あまりそんな声は似合わないわよ』
「黒斗〜。気持ち悪いはよくわかんないんだけど…一応告白したんだし?」
「へぇ…そんなことしたん?目良センパイって意外と大胆、というよりお茶目さんなんやね」
「でもまぁ、当の本人はこんな感じで死ぬほど後悔してんだよなー。こういうときって比較的知的なしゅーくんにアドバイスをもらうのが良いかと思って。」
ずず…と一口紅茶を含み、短く溜息を吐く。
仕事を終えて事務所に戻ってきたときに、彼らがいて、そういえば昨日 目良が誕生日だったかと声をかけると、"しゅーくん!相談乗って!"などと目的の人物の横にいた星宮に捕まった。
一応聞いてみたが正直、心底どうでもいい話で、僕の時間を奪うほどの内容ではない。
「はぁ、あの瀬名泉とね。まぁ君たちはもともと親密な関係であったのだし、今更と言ったところだけれど。というか、星宮の言う通り目良は後悔しているのかね?」
問いかけると、両手で頭を抱えてらしくもなく汚い叫び声をあげていた目良がおとなしくなる。
「いや、後悔は…してないが…その、どうしたらいいんだ。もし次に会うなんてことがあったらどんな顔をして」
「まぁ当然何もなかったことに、とはいかないだろうね。とはいえ、あの瀬名のことだ。喜んでいるだろうし、今更君への気持ちが薄れていたとは考えにくいね。あの綺麗な顔がだらしなく破顔するのは見たくないけれど」
『でも、人の恋路って微笑ましいものよね』
学生時代に幾度か見た、特定の相手への特殊な愛情表現のあの表情を思い出す。
彼も、目の前にいる目良も、綺麗な顔立ちの割にクセが強い部分があり、身内になればなるほど純粋に評価されていない。
まぁ、瀬名に至ってはあの遊木に対する態度が改められることはないだろうが、目良は…今は仕事と割り切れば多少は女性との共演も行っているからまだましか。
世間的には良い評価しかない方がいいのは間違いないのだが…
目良は例の能力のせいで、気味が悪いほど良い評価しか聞かない。
「なぁなぁ、2人が付き合うたら公表するん?」
「え、あ、…それはさすがに考えてないな。事務所に言うべきかも悩んでるくらいだ」
「まぁ、そうだろうね。僕たちはまだ夢を与える側。賛成するファンもいるだろうが、嫌がるファンもいる。であれば下手に公表する必要はないだろう。打ち明ける相手はしっかり選ぶのだよ」
と、目良が顎に手を添えて考えるが、ハッとして顔を上げる。
「いや!そもそも付き合ってないからな!?」
「む、そうだったか。あぁ、返事を聞く前に寝てしまったのだったか。…カカカ!怖気づいて寝たのかね、目良ともあろう人間でも怖気づくこともあるのだね!」
「しゅーくんの意地悪スイッチ誰か押した?マドモアゼル、ちょっと叱ってあげて」
『宗くんったら、勇気を出して気持ちを伝えた黒斗くんが可哀そうよ。』
まったく…と手のひらを上に向けて肩を竦める星宮がしれっとマドモアゼルと会話をしている。
それを睨むように一瞥するも相変わらずで炭酸のジュースを一口含んでうんうんとマドモアゼルに賛同するように頷いていた。
「…そういう宗は何かためになる経験談とかないのか?」
星宮ほどではないものの肩を竦めながら椅子の背もたれに寄りかかる目良。
先ほどの説明通りなら確かに告白はしたものの眠くて寝落ちてしまったと…。まぁ飲酒をしていたからと言われれば、確かに普段の目良では考えられない事だ。
とにもかくにもあの瀬名のこと、仕事が終わり次第今日中にでも目良に連絡を取るだろう。
「経験はないとも。しかし目良よりは書物を読んでいるからね。当然小説もだが」
「お師さん最近マンガとかも読んどるんやで!今話題のものとか、ちょっと前に流行ったものとか!」
『みかちゃんもいろいろ為になるものを持ってきてくれるものね』
「…まぁ影片の言う通り、恋愛が主のマンガも読んでいる。そこから得た情報を基に憶測するが、瀬名なら今日中に会って話がしたいと連絡を入れてくるだろうね。今頃夜景が綺麗に見えるレストランでも予約しているだろう」
「心底あてにならないんだが?…どう思う。蒼空」
「えー、…まぁしゅーくんの言う通りではあると思うよ。好きな人へのせなたんの行動はまぁ、誰でもわかると思うけど」
星宮が呆れたように一言付け加え、
「まぁ、振られることはないだろうから、まこたんとの共演の話も伝えないとなー?」
共演?と紅茶に向けていた視線を目良に向けると、あ”ー…と先ほどよりも椅子の背もたれに項垂れる。
「仕事だからあーだこーだないとは思うが…どう思うだろうな」
「付き合う前から決まったことだから別にセーフじゃん?実際今日の朝、ドラマ出演が正式に決まって~、でも現状まだ付き合ってないからな!」
屁理屈ではないかね。と呆れ顔で星宮を見るが本人はウインクまでして至って気にも留めていない様子。
まぁ影片でも似たようなことはあるし、もはやこういった相手は気にしないで放っておくのが一番なのだが…
「まぁ、万が一今日瀬名から連絡があるとすれば夕刻…もう間もなくだろう。ご飯も合わせて済ませることになるだろうし、星宮、今日僕らは君たちの家にお邪魔させてもらうよ。どうせ部屋の一つや二つ位余っているだろう。」
「えっ!なんで!?余ってないし!」
「君は一人でいるとまともに食事もとらなくなるだろう。それに…独りは何かと心配だからね。当然影片も一緒だ。少しばかり寂しさも紛れるだろう」
「はぁ~?俺晩御飯抜いたくらいでダメになるような体力じゃないけど?それに寂しく」
『私も蒼空くんが心配だわ?一人ぼっちは何かと不便でしょ?』
「ん~ん~…マドモアゼルが言うなら…まぁ…うん」
星宮が文句ありげに頷くと同時に目良のスマートフォンが音を鳴らす。あーもう!予想以上に早いなー!?と星宮が愚痴を漏らすも、どーぞと一言添えて顎で目良の手元を指した。
「…まぁ、お前らの予想通り、泉からだ」
::END
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「くそがぁぁぁ……説明のために客観的になればなるほど自分が気持ち悪い。腹立たしいっ…!」
『まぁ…黒斗くんたら。あまりそんな声は似合わないわよ』
「黒斗〜。気持ち悪いはよくわかんないんだけど…一応告白したんだし?」
「へぇ…そんなことしたん?目良センパイって意外と大胆、というよりお茶目さんなんやね」
「でもまぁ、当の本人はこんな感じで死ぬほど後悔してんだよなー。こういうときって比較的知的なしゅーくんにアドバイスをもらうのが良いかと思って。」
ずず…と一口紅茶を含み、短く溜息を吐く。
仕事を終えて事務所に戻ってきたときに、彼らがいて、そういえば
一応聞いてみたが正直、心底どうでもいい話で、僕の時間を奪うほどの内容ではない。
「はぁ、あの瀬名泉とね。まぁ君たちはもともと親密な関係であったのだし、今更と言ったところだけれど。というか、星宮の言う通り目良は後悔しているのかね?」
問いかけると、両手で頭を抱えてらしくもなく汚い叫び声をあげていた目良がおとなしくなる。
「いや、後悔は…してないが…その、どうしたらいいんだ。もし次に会うなんてことがあったらどんな顔をして」
「まぁ当然何もなかったことに、とはいかないだろうね。とはいえ、あの瀬名のことだ。喜んでいるだろうし、今更君への気持ちが薄れていたとは考えにくいね。あの綺麗な顔がだらしなく破顔するのは見たくないけれど」
『でも、人の恋路って微笑ましいものよね』
学生時代に幾度か見た、特定の相手への特殊な愛情表現のあの表情を思い出す。
彼も、目の前にいる目良も、綺麗な顔立ちの割にクセが強い部分があり、身内になればなるほど純粋に評価されていない。
まぁ、瀬名に至ってはあの遊木に対する態度が改められることはないだろうが、目良は…今は仕事と割り切れば多少は女性との共演も行っているからまだましか。
世間的には良い評価しかない方がいいのは間違いないのだが…
目良は例の能力のせいで、気味が悪いほど良い評価しか聞かない。
「なぁなぁ、2人が付き合うたら公表するん?」
「え、あ、…それはさすがに考えてないな。事務所に言うべきかも悩んでるくらいだ」
「まぁ、そうだろうね。僕たちはまだ夢を与える側。賛成するファンもいるだろうが、嫌がるファンもいる。であれば下手に公表する必要はないだろう。打ち明ける相手はしっかり選ぶのだよ」
と、目良が顎に手を添えて考えるが、ハッとして顔を上げる。
「いや!そもそも付き合ってないからな!?」
「む、そうだったか。あぁ、返事を聞く前に寝てしまったのだったか。…カカカ!怖気づいて寝たのかね、目良ともあろう人間でも怖気づくこともあるのだね!」
「しゅーくんの意地悪スイッチ誰か押した?マドモアゼル、ちょっと叱ってあげて」
『宗くんったら、勇気を出して気持ちを伝えた黒斗くんが可哀そうよ。』
まったく…と手のひらを上に向けて肩を竦める星宮がしれっとマドモアゼルと会話をしている。
それを睨むように一瞥するも相変わらずで炭酸のジュースを一口含んでうんうんとマドモアゼルに賛同するように頷いていた。
「…そういう宗は何かためになる経験談とかないのか?」
星宮ほどではないものの肩を竦めながら椅子の背もたれに寄りかかる目良。
先ほどの説明通りなら確かに告白はしたものの眠くて寝落ちてしまったと…。まぁ飲酒をしていたからと言われれば、確かに普段の目良では考えられない事だ。
とにもかくにもあの瀬名のこと、仕事が終わり次第今日中にでも目良に連絡を取るだろう。
「経験はないとも。しかし目良よりは書物を読んでいるからね。当然小説もだが」
「お師さん最近マンガとかも読んどるんやで!今話題のものとか、ちょっと前に流行ったものとか!」
『みかちゃんもいろいろ為になるものを持ってきてくれるものね』
「…まぁ影片の言う通り、恋愛が主のマンガも読んでいる。そこから得た情報を基に憶測するが、瀬名なら今日中に会って話がしたいと連絡を入れてくるだろうね。今頃夜景が綺麗に見えるレストランでも予約しているだろう」
「心底あてにならないんだが?…どう思う。蒼空」
「えー、…まぁしゅーくんの言う通りではあると思うよ。好きな人へのせなたんの行動はまぁ、誰でもわかると思うけど」
星宮が呆れたように一言付け加え、
「まぁ、振られることはないだろうから、まこたんとの共演の話も伝えないとなー?」
共演?と紅茶に向けていた視線を目良に向けると、あ”ー…と先ほどよりも椅子の背もたれに項垂れる。
「仕事だからあーだこーだないとは思うが…どう思うだろうな」
「付き合う前から決まったことだから別にセーフじゃん?実際今日の朝、ドラマ出演が正式に決まって~、でも現状まだ付き合ってないからな!」
屁理屈ではないかね。と呆れ顔で星宮を見るが本人はウインクまでして至って気にも留めていない様子。
まぁ影片でも似たようなことはあるし、もはやこういった相手は気にしないで放っておくのが一番なのだが…
「まぁ、万が一今日瀬名から連絡があるとすれば夕刻…もう間もなくだろう。ご飯も合わせて済ませることになるだろうし、星宮、今日僕らは君たちの家にお邪魔させてもらうよ。どうせ部屋の一つや二つ位余っているだろう。」
「えっ!なんで!?余ってないし!」
「君は一人でいるとまともに食事もとらなくなるだろう。それに…独りは何かと心配だからね。当然影片も一緒だ。少しばかり寂しさも紛れるだろう」
「はぁ~?俺晩御飯抜いたくらいでダメになるような体力じゃないけど?それに寂しく」
『私も蒼空くんが心配だわ?一人ぼっちは何かと不便でしょ?』
「ん~ん~…マドモアゼルが言うなら…まぁ…うん」
星宮が文句ありげに頷くと同時に目良のスマートフォンが音を鳴らす。あーもう!予想以上に早いなー!?と星宮が愚痴を漏らすも、どーぞと一言添えて顎で目良の手元を指した。
「…まぁ、お前らの予想通り、泉からだ」
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