彼が大人になった時
What is your name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
5
蒼空から連絡があったのはつい45分ほど前。自宅から最短距離のバスに乗り、駅まで行って、即出発する電車に乗る。
言っても、ものの45分くらいで着くからあと数分で待ち合わせの夢ノ咲学院前駅に着くんだけど、まぁわかりやすい待ち合わせにしてくれてほんとに助かる!
それにしても蒼空が俺を誘ってくれるなんて意外となかなか無いし、なんか20歳記念でお酒デビューっていう会だし黒斗にちゃんとおめでとう言えるし言ってもらえるし!なによりめっちゃ楽しそうじゃん!しかも今日はいずみーぬからもおめでとうの連絡あったし、めちゃくちゃいいひよ…あ、これは誰かさんの決め台詞か…
「ぎょぁあああああ!!??」
”早々うるさいな”
黒斗!?聞いてないんだけど!!
”俺も知らなかった…!”
俺も聞いてない!黒斗にすらどんな顔して会えばいいのか困ってたくらいなのに!
待ち合わせ場所に行くと、当然蒼空がお~いって呼んでくれて、そっちに顔を向けるとまさかの人物がいて奇声を上げてしまう。
ちなみに双子のテレパシーはこの間0.2秒!
あとなんか体は勝手に90度頭を下げていた。
「いっ、いずみーぬ…あの、えっと、お久しぶりです!」
「…え、うん。さっき電話したのにまたその態度なのぉ?」
「……電話したのか?…まぁいい、綾人。お前俺と泉の間に立て」
ぐいぐいと強請るように俺の袖を引っ張りいずみーぬの横に立たせる黒斗。
えぇ!?と顔を見るとその目は昨日のテレビ電話の中で見た羞恥に満ちた黒斗の目だった。
「なんっ、なんで!?あ、えっ!いや、その話焚きつけたのは母さんと父さんであって俺じゃない!」
「ちょっとぉ、ずっとみやくん間にして接してたのってやっぱなんかあるんだよねぇ?黒斗?」
腕を組み、イライラを隠していないいずみーぬから逃げるように目を逸らす黒斗。
そして俺も釣られて目を逸らし、黒斗と視線を合わせる。
”違う、俺は別に泉になんの感情も抱いてない。今更どうにもならない。俺は好きとか嫌いとか知らない。”
「避ける理由が子供っぽすぎる!」
「まぁたテレパシー始まった…。みやくん、俺達先進んじゃお」
「オッケー、まぁここから歩いて10分くらいだし、その間に少しは解れてると良いな。」
「俺と会うのにあの2人が緊張してるっていうのぉ?」
「まぁ、久しぶりだし。特に黒斗とせなたんは特別仲良しだったのに急に微塵も連絡とってなかったらそんなもんじゃん。せなたん自身だってそうだろ?」
「…みやくんの察しが良いのほんとに苦手」
はぁ~…と、長い溜息を吐きながらもちゃんと付いてきなよねぇ?と俺達に声をかけて歩き出すいずみーぬと蒼空。
そして俺は黒斗の手を引き歩き出した。
「あの、さ。綾人…俺が泉のこと、好きだっていうのは認める」
少し歩いた後、2人の後ろ姿を眺めながら静かにそう呟く黒斗。
「うん。そうだろうね」
「でも、俺のこの好きは…やっぱり蒼空や真に向けてるのと同じで、大切にしたいって意味が強くてだな。」
「うんうん」
黒斗がポツポツと口にする言葉に、しっかりと耳を傾けて頷く。
周りの喧騒なんて微塵も聞こえない。聞く必要なんてない。
心から、口から発せられる黒斗の言葉が俺の鼓膜を揺らす。
久しぶりに生で声が聞けてとても嬉しいです。うん。これが本音。
「ただ…思い返せば、なんて後出しになるが…」
と、ここでぴたりと感情も足までも止まる黒斗を不思議に思い少し後ろで立ち止まった黒斗に振り返る。と、黒斗は真っ直ぐといずみーぬの背中を見つめていた。
「ここ2年間、一切連絡も取ってなかったと思うと…確かに…寂しかった、かもしれない」
「…ふふふふ…じゃあ今会えて緊張してる?俺はしてるよ。」
「笑い方きも。まぁ、してないわけがない。何を話せば良いかも分からないし、なんて声かけて良いかもわからない。まだ会って5分くらいだが、全部蒼空の話題に補足程度にしか会話に参加してない」
「あっはは!それはそれで面白い!…いやごめんって!」
笑いをなんとか抑え、黒斗に平謝りをする。
蔑むような視線を受けながらも、恥ずかしい中言葉にしたんだからなにかアドバイスをくれ。という感情が伝わってくる。
アドバイスって…俺なんて恋愛禁止の事務所に所属してるんだよ?まともに何かあるわけないんだけど?
「うーん?まぁでも、寂しかったとか会いたかったとか、それって十分好きな人への感情なんじゃないのかなぁ…?え?っていうか好きだとして!告白するの!?事務所的に恋愛オッケーなの!?」
「重要視するところがそこなのかわからないが、まぁ…そりゃ……学生の頃に一度告白されて、その時は返事はいらないって言われたが…要は、その返事ってことはしないととは思う。…今さらだけど」
「え、じゃあ……よろしくお願いします。って言うの?」
再度歩き出したというのに、ぴたりと俺と黒斗の足が止まる。
そしてお互いが同じタイミングで顔を見ると、黒斗の顔はこれでもかというほど真っ赤になっていた。
「い"、っやいや!やっぱり今の無し!やっぱ俺にはまだ早いだろ!っていうか綾人顔真っ赤だぞ!!」
「えぇ!?だって黒斗のそのいっぱいいっぱいの感情が直に伝わってきたらなんか俺まで恥ずかしくなるじゃん!当然じゃん!いやもう是非!ぜひ幸せになって!」
「やめろ!誤解を招く言い方をするな!?」
「精一杯の気持ちは早いうちに伝えたほうが良いよ。…後々になったら今更ぁ?とか言われそうじゃん!」
「…っ、そ、その可能性は…今でもあり得るだろ。」
「それはそうだけどー…!思い立ったが吉日ってやつ!」
ぶんぶんと首を振る相手の手をがしりと掴む。
逃げないようにじっと目も合わせて
「黒斗。俺はさぁ…そりゃいずみーぬとなら大歓迎だけど!そうじゃなかったとしても、俺や蒼空みたいな家族の他にも、ちゃんと心の拠り所があったほうが良いと思う。甘え甘えられの関係って大事だし、それに、…黒斗の目について理解のあるいずみーぬなら、どんな黒斗でも受け入れてくれるよ。」
「…、それはあいつにとって俺の目が枷になってるって意味か?」
「わぉ、黒斗ってそんな卑屈だった?なわけないでしょ。枷だって言うなら今頃ここに、黒斗の誕生日を祝いに来てくれてないって。」
それは…でも、と視線を泳がせる可愛い弟の頬を両手でぐっと掴む。
ほんと、そういう頑固なところ母さんに似てる。行動力はへなちょこのくせに。
「黒斗、大丈夫だよ。あの瀬名泉ってば黒斗のことまだ好きだから」
「…は?」
「なんてね、これは俺の予想!でも、今抱えてるいずみーぬへの気持ちは、今伝えてあげたほうがいいよ。絶対跳ねて喜ぶから!」
「綾人、え、どういう自信…」
「さーて!今日は蒼空の奢りだし!バンバン食べるぞー!」
と、ここで大きな声に反応した蒼空がぐるりと振り返る。
「はぁ!?なんでいつの間に俺の奢りって話になってんの!?さっきまでなんか喧嘩してたじゃん!」
::END
番外編TOPへ戻る
蒼空から連絡があったのはつい45分ほど前。自宅から最短距離のバスに乗り、駅まで行って、即出発する電車に乗る。
言っても、ものの45分くらいで着くからあと数分で待ち合わせの夢ノ咲学院前駅に着くんだけど、まぁわかりやすい待ち合わせにしてくれてほんとに助かる!
それにしても蒼空が俺を誘ってくれるなんて意外となかなか無いし、なんか20歳記念でお酒デビューっていう会だし黒斗にちゃんとおめでとう言えるし言ってもらえるし!なによりめっちゃ楽しそうじゃん!しかも今日はいずみーぬからもおめでとうの連絡あったし、めちゃくちゃいいひよ…あ、これは誰かさんの決め台詞か…
「ぎょぁあああああ!!??」
”早々うるさいな”
黒斗!?聞いてないんだけど!!
”俺も知らなかった…!”
俺も聞いてない!黒斗にすらどんな顔して会えばいいのか困ってたくらいなのに!
待ち合わせ場所に行くと、当然蒼空がお~いって呼んでくれて、そっちに顔を向けるとまさかの人物がいて奇声を上げてしまう。
ちなみに双子のテレパシーはこの間0.2秒!
あとなんか体は勝手に90度頭を下げていた。
「いっ、いずみーぬ…あの、えっと、お久しぶりです!」
「…え、うん。さっき電話したのにまたその態度なのぉ?」
「……電話したのか?…まぁいい、綾人。お前俺と泉の間に立て」
ぐいぐいと強請るように俺の袖を引っ張りいずみーぬの横に立たせる黒斗。
えぇ!?と顔を見るとその目は昨日のテレビ電話の中で見た羞恥に満ちた黒斗の目だった。
「なんっ、なんで!?あ、えっ!いや、その話焚きつけたのは母さんと父さんであって俺じゃない!」
「ちょっとぉ、ずっとみやくん間にして接してたのってやっぱなんかあるんだよねぇ?黒斗?」
腕を組み、イライラを隠していないいずみーぬから逃げるように目を逸らす黒斗。
そして俺も釣られて目を逸らし、黒斗と視線を合わせる。
”違う、俺は別に泉になんの感情も抱いてない。今更どうにもならない。俺は好きとか嫌いとか知らない。”
「避ける理由が子供っぽすぎる!」
「まぁたテレパシー始まった…。みやくん、俺達先進んじゃお」
「オッケー、まぁここから歩いて10分くらいだし、その間に少しは解れてると良いな。」
「俺と会うのにあの2人が緊張してるっていうのぉ?」
「まぁ、久しぶりだし。特に黒斗とせなたんは特別仲良しだったのに急に微塵も連絡とってなかったらそんなもんじゃん。せなたん自身だってそうだろ?」
「…みやくんの察しが良いのほんとに苦手」
はぁ~…と、長い溜息を吐きながらもちゃんと付いてきなよねぇ?と俺達に声をかけて歩き出すいずみーぬと蒼空。
そして俺は黒斗の手を引き歩き出した。
「あの、さ。綾人…俺が泉のこと、好きだっていうのは認める」
少し歩いた後、2人の後ろ姿を眺めながら静かにそう呟く黒斗。
「うん。そうだろうね」
「でも、俺のこの好きは…やっぱり蒼空や真に向けてるのと同じで、大切にしたいって意味が強くてだな。」
「うんうん」
黒斗がポツポツと口にする言葉に、しっかりと耳を傾けて頷く。
周りの喧騒なんて微塵も聞こえない。聞く必要なんてない。
心から、口から発せられる黒斗の言葉が俺の鼓膜を揺らす。
久しぶりに生で声が聞けてとても嬉しいです。うん。これが本音。
「ただ…思い返せば、なんて後出しになるが…」
と、ここでぴたりと感情も足までも止まる黒斗を不思議に思い少し後ろで立ち止まった黒斗に振り返る。と、黒斗は真っ直ぐといずみーぬの背中を見つめていた。
「ここ2年間、一切連絡も取ってなかったと思うと…確かに…寂しかった、かもしれない」
「…ふふふふ…じゃあ今会えて緊張してる?俺はしてるよ。」
「笑い方きも。まぁ、してないわけがない。何を話せば良いかも分からないし、なんて声かけて良いかもわからない。まだ会って5分くらいだが、全部蒼空の話題に補足程度にしか会話に参加してない」
「あっはは!それはそれで面白い!…いやごめんって!」
笑いをなんとか抑え、黒斗に平謝りをする。
蔑むような視線を受けながらも、恥ずかしい中言葉にしたんだからなにかアドバイスをくれ。という感情が伝わってくる。
アドバイスって…俺なんて恋愛禁止の事務所に所属してるんだよ?まともに何かあるわけないんだけど?
「うーん?まぁでも、寂しかったとか会いたかったとか、それって十分好きな人への感情なんじゃないのかなぁ…?え?っていうか好きだとして!告白するの!?事務所的に恋愛オッケーなの!?」
「重要視するところがそこなのかわからないが、まぁ…そりゃ……学生の頃に一度告白されて、その時は返事はいらないって言われたが…要は、その返事ってことはしないととは思う。…今さらだけど」
「え、じゃあ……よろしくお願いします。って言うの?」
再度歩き出したというのに、ぴたりと俺と黒斗の足が止まる。
そしてお互いが同じタイミングで顔を見ると、黒斗の顔はこれでもかというほど真っ赤になっていた。
「い"、っやいや!やっぱり今の無し!やっぱ俺にはまだ早いだろ!っていうか綾人顔真っ赤だぞ!!」
「えぇ!?だって黒斗のそのいっぱいいっぱいの感情が直に伝わってきたらなんか俺まで恥ずかしくなるじゃん!当然じゃん!いやもう是非!ぜひ幸せになって!」
「やめろ!誤解を招く言い方をするな!?」
「精一杯の気持ちは早いうちに伝えたほうが良いよ。…後々になったら今更ぁ?とか言われそうじゃん!」
「…っ、そ、その可能性は…今でもあり得るだろ。」
「それはそうだけどー…!思い立ったが吉日ってやつ!」
ぶんぶんと首を振る相手の手をがしりと掴む。
逃げないようにじっと目も合わせて
「黒斗。俺はさぁ…そりゃいずみーぬとなら大歓迎だけど!そうじゃなかったとしても、俺や蒼空みたいな家族の他にも、ちゃんと心の拠り所があったほうが良いと思う。甘え甘えられの関係って大事だし、それに、…黒斗の目について理解のあるいずみーぬなら、どんな黒斗でも受け入れてくれるよ。」
「…、それはあいつにとって俺の目が枷になってるって意味か?」
「わぉ、黒斗ってそんな卑屈だった?なわけないでしょ。枷だって言うなら今頃ここに、黒斗の誕生日を祝いに来てくれてないって。」
それは…でも、と視線を泳がせる可愛い弟の頬を両手でぐっと掴む。
ほんと、そういう頑固なところ母さんに似てる。行動力はへなちょこのくせに。
「黒斗、大丈夫だよ。あの瀬名泉ってば黒斗のことまだ好きだから」
「…は?」
「なんてね、これは俺の予想!でも、今抱えてるいずみーぬへの気持ちは、今伝えてあげたほうがいいよ。絶対跳ねて喜ぶから!」
「綾人、え、どういう自信…」
「さーて!今日は蒼空の奢りだし!バンバン食べるぞー!」
と、ここで大きな声に反応した蒼空がぐるりと振り返る。
「はぁ!?なんでいつの間に俺の奢りって話になってんの!?さっきまでなんか喧嘩してたじゃん!」
::END
番外編TOPへ戻る