彼女がもし腐女子だった時
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「で、北斗は急に不参加になるし、なんなんだよまったく」
「まぁ…変態仮面って呼ばれてる位だから、急に突拍子もないことされちゃうのはしょうがないよね~。ホッケ~も部長の言うことには逆らいにくいだろうし?」
「とはいえ、本当に私とスバルくんでいいんですか?特に私」
「いい。もうとにかく甘いものを食べて、お前らも美味そうに食べるところを見る。それでいいんだよ。金は出す」
「わぁい…★じゃあ、俺はこのウルトラフルーツパフェ!」
遠慮という言葉を知らないかのようにスバルくんは満面の笑みでメニューにでかでかと"オススメ"と書かれたパフェを指さす。
ん、と一言返事をして頬杖を突きながらメニューを眺める黒斗先輩。
「……」
「……」
メニューを見てもパフェは安くてもだいたい700円代。
アイスならチョコソースがかかって下にフレークがあって…これなら500円か。
「おい、下手な遠慮をするな。言っただろ、美味そうに食ってくれないと本末転倒なんだぞ」
「えっ」
メニューを見るのに視線を下げているままの黒斗先輩が低い声で伝えてくる。
こ、こわ…観られてたってこと?
でも、遠慮したことがバレるともっと怒られるってこと!?
「えっと…じゃあ、ストロベリーパフェ…で」
「…」
黒斗先輩が珍しく私を見つめる。
いや、見つめるなんてときめき要素じゃないんだけど!
ぱちり、と一度瞬きをした後、黒斗先輩がスタッフの呼び出しボタンを押した。
「あれ?黒斗先輩はもう決まってたの?」
スバルくんが不思議そうに目を丸めて黒斗先輩に尋ねる。
「あぁ、最初から食べるものを決めてこの店に入ってるからな。」
「あっ!そっか!黒斗先輩、なにパフェかなぁ?あまり甘いもの食べてるイメージないから楽しみ!」
と、スバルくんがウキウキした様子に対し、ふっと力が抜けたように微笑む黒斗先輩。
が、そこにスタッフさんが来て一瞬で愛想のいい笑顔に変わってしまうものの丁寧に注文を伝えてくれる。
「で、あとはパンケーキに添えてあるクリーム増量とメープルシロップ2倍掛けでお願いします。」
「「…え」」
かしこまりました。と立ち去っていくスタッフさんを見送ってから私と、隣に座るスバルくんが目を合わせる。お互い驚きの表情であることから、今のが聞き間違いじゃない事が立証できる。
「ちょっ!黒斗先輩。そんな激甘っぽいもの食べるの!?」
「おー、滅多にすることはないが…今日は反骨精神で食べることにした」
なんの誰に対する反骨精神なんですか?
甘いものを食べることに怒る人ってこと?
「へぇ!意外でびっくり!黒斗先輩って甘いもの好きなの?なんか可愛い!」
「…あ?」
「え?なんか、甘いものってふわふわして可愛い感じじゃん!好きなものは我慢しないで食べた方がいいよ!」
「……はぁ~、ったく。スバルといると力が抜ける。ある意味お前と喋ることもストレス解消法だよ」
「そうなの!?俺ってもしかして癒し系?いぇーい!新しいキャラとして定着させちゃおうかな~♪」
違う…絶対そういう意味じゃない。
そんな私の心の首振りはスバルくんに伝わることはなく、黒斗先輩さすがに迷惑なんじゃ…と視線を移すと、微笑ましそうにスバルくんを見ている。
え?なんですかその大切なものを見るような眼差し!
私の腐女子フィルターのせい!?え、でもめちゃくちゃ優しい視線ですよ!
「まぁ、そうは言っても長い時間会話してると疲れそうだけどな?」
「えぇ!照れ隠しっていうの?そういうの!いいのに!もっと俺を頼って!」
「いや、誰が後輩にストレス解消を頼るか。…まぁたまにはこうして誘うこともあるかもだが…」
「黒斗先輩のおごり!」
「おいっ、抜け目ないなっ!?」
肩を竦めながらも笑いを抑えることなくははっ、と笑う黒斗先輩。
うわぁ、珍しい。これはスバルくんの笑顔に引っ張られてるんだろうなぁ!すごい良い顔!写真撮ろう。
スマホを持ってちょっと引き気味に2人が入るようにシャッターを押す。が
「…えぇぇ?」
「無断で俺を撮ろうとするからだ。スバルは気にしないだろうが俺は気にする」
スマホを下ろすとニヒルな笑顔を浮かべている黒斗先輩が視界に映る。
スマホの画面には、右手で顔を隠す黒斗先輩の姿。
ちくしょう!どうして!
「えぇ?いいじゃん!あとでちゃんと2人で写真撮ろうよ!ウッキ~に自慢するために!」
「どういう自慢になるんだよ」
「黒斗先輩が俺に優しくしてくれてる~!って自慢!はい、許可も取ったからいいでしょ!」
「許可してないが?」
そう言いながらも、スバルくんの勢いに諦めたようなため息をついて私が構えるスマホに無表情でピースをする黒斗先輩なのであった。
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