彼女がもし腐女子だった時
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「~♪」
やっぱり、黒斗先輩はすごいなぁ。
なんて今回私が企画したB1の最終戦を関係者席から見ているとバチリ、と目が合う。
慌てて逸らさないと!とわたわたしている私に構うことなく、ファンサービスとしてウインクを返される。
「ひぇ…かっこいい~」
と語彙力が死んでしまったような感想を述べるも、首を振って正気に戻り友也くんを見る。
当の本人は必死に食らいつくように、だけど対バン相手の創くんを少しだけ気遣うようにパフォーマンスをしていた。
「まぁ…やっぱり同じユニットだし、1年生同士でぶつかり合うってなかなか難しいのかなぁ~」
なんて心配が入り混じった呟きをしたところで黒斗先輩と蒼空先輩がお互いをライバル視しているのが観客にもわかるような振付けをする。
あえて近くに行って睨み合いをしたり悪役のような笑顔を向けたり……こんなの台本にないんですが?というパフォーマンス。
「煽りすぎでは…」
と思ったら黒斗先輩が友也くんのもとに戻ってきて肩に手を置き、前に押し出すように一緒に歩き出す。
蒼空先輩に至っては"次、行ったれ!"と声に出して創くんの背中を押した。
「もしかして、2人なりに手本を見せてた?」
そんなことを呟いて、ライブを見るとなんとなくコツを掴んだのか、友也くんも創くんもまだ喧嘩上等!って感じじゃないけど…でも少しだけ、負けたくないという気持ちが前に出てきた気がする。
ホッとしていたのもつかの間、曲が終盤になったところで、あの2人が驚くほどパフォーマンスにキレを見せる。
このライブは対バン形式の総当たり戦でもある。当然1曲あたりの時間は短くしているものの、まさかの同点が発生してこの2つの臨時ユニットが再度ライブをしているという状態。
普通に考えたら疲れが出てきてしまうこの状況下でWWの2人のキレと歌声は疲れを知らないかのよう。
「くぅぅぅ、悔しいけどやっぱり2人とも強いよ」
横で一緒に見ていたなずな先輩が悔しそうに、だけどどこか嬉しそうに呟く。
「ふふ、でもなんか…嬉しそうですね?」
「まぁ…光ちんが部活のほうでいない間、俺たちが暇をもてあましちゃうなぁって思ってたのもあるから今回の企画、すごい助かったんだ。しかも実力のあるWWが1年生たちに付いてくれるって言うから意外だったのもあるけど…あいつらの勉強になるから、なんだかんだ嬉しい。」
にっ、と笑顔を見せるなずな先輩の言うことに納得し同じようににっこりと笑顔を返す。
実際、一緒にステージに…しかも味方という立場で立てることは数多くはない。そのチャンスをものにできているのだから本人たちにとってもいい刺激になるだろうし、
「とはいっても、なんだか友也くん、黒斗先輩に見とれていますね」
「ははっ、まぁまじかで見ることもあまりないし、黒斗の顔は綺麗だからな~!北斗ちんのこと大好きな友ちんだし、見とれちゃうのはしょうがない気がする」
ふふふ、とおかしそうに2人で笑うと、それに気が付いたのかハッとしたように友也くんの顔が引き締まる。
なるほどなるほど、後輩攻めはなくとも、やっぱり黒斗先輩は万人受けになるってことですね。
あ、この場合の受けは決してBL要素じゃないですよ!
ほんとに!
曲が終わると、大歓声を送られながら舞台裏に戻っていく2つのユニット。
笑顔でお迎えしようと走って舞台袖に行くと
「黒斗先輩!?」
「あー、くっそ…ソラめっ、容赦なく煽ってきやがって…」
「ふふーんっ!実戦経験が多い俺が負けたら格好つかないからな!」
「あ、あの…とりあえず!は、はなれ…」
舞台袖に戻ってきた4人を見ると、なんと黒斗先輩が友也くんに体を預けるように肩を組んでいる。
その姿は疲弊しきっているようではなく、後輩をかわいがる時のじゃれあいのようなもので、朔間先輩がライブ終わりにスキンシップが増えるのと同じような現象。
「おーおー、そんな怒るなよ?一緒にライブも乗り越えたし、少しは俺に対する警戒も解けたんだから。ウサギは寂しいと死ぬってよく聞くが?」
「ちょ、ちょちょちょ!それにしては近いです!?」
「おわぁぁぁ!?これはまさかの攻めに転じるタイプですか黒斗先輩!?」
「は?」
やば!思わぬ展開に声に出してた!?
「プロデューサーちゃん。度胸ある〜…」
遠い目で私を見る蒼空先輩に助けを求めるもムリムリ、と首を振られる。
「…?俺がセメって何の話だ?」
「セメじゃなくてサメです!あの!ほら!う、うさぎを食べそうな…!?」
苦しい言い訳を伝え、最悪観られたら終わりなんですけど…ここは一か八か…!!
「まぁ、1年生からしてみたらそんな感じなのかもな。上級生って。…友也、悪かったな」
友也くんへの絡みのことを言っているのがわかると、さっと離れて納得する黒斗先輩。
「しかもアレだよな。俺なんかに絡まれたら普通は怖いよな…」
若干自虐まで交えながら苦笑いすると、友也くんが慌てて首を振る。
「いやっ、あの!めちゃくちゃ…格好いいので…ど、どっちかっていうと、その、き、緊張してしまって…むしろありがとうございます!」
「…ん、おー?どういたしまして?」
これはっ、完全に落とされたな〜!友也くん!
なんて、満足げに笑う私に
「プロデューサーちゃんもういっそ公言すればいいのに」
なんて恐ろしいことを口走る蒼空先輩なのであった。
::END
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