彼が合宿に参加するとき
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-合宿-1日目-シャイニング所有地-無人島-
「ひゃっほーう!遮るものが何もなくて、海がキラキラだよー!!」
「ちょっと…!明星くん!?」
…機内での緊張はどこに行ったのか。旅客機が砂浜に着陸した瞬間明星は海に向かって走り出していった。困った。遊木はまだやはり緊張感をもっているようだがあのまま明星のペースにのまれてしまえばいつものアホコンビになりかねない。
機内で自己紹介をしていたが…全員自分たちより年齢も芸歴も上だ。まぁ相手はプロだから芸歴は敵わないが、まさか同い年がいないとは思いもしなかった。そのせいか俺はさらに緊張しているというのに…
「おぉーあの子!すっごい元気だね!」
「海に向かってあんなにはしゃぐなんて、ワタシには到底信じられません。」
「まぁ、彼らはまだ高校2年生ですからこういったところに来るとはしゃいでしまうのでしょう。」
「とはいえ、彼はそうでもないみたいだな…」
「え…?お、俺の事…ですか?」
急に横から話しかけられ嫌でも戸惑ってしまう。この人は…聖川真斗さん。自己紹介でもすでに伝わってきたが礼儀正しくとても真面目な人であると思う。
「あぁ…お前はうまく彼らをまとめているようだな。あれだけ元気がいいと大変だろう」
「あ、まぁ…俺1人でもまともに言い聞かせるのは難しいので、衣更にも手伝ってもらってます。」
「…あっちの、衣更…だったか。来栖と意気投合したみたいでさっさとコテージの方へ向かって行ってしまったが…」
なっ…流石に1人でここまではしゃいだ明星を食い止めるには…というか、確かに衣更は随分と意気投合してたな、男気がどうとかという漫画の話をしていたが。あの来栖翔という人も物凄い食い付きだった…
「…おい!明星!遊木!いい加減にっ…」
「俺もちょっと混ぜてもらおーっと!」
「音也!さらに問題を増やしてどうするんですか…!?」
俺が注意をするのと同時に隣からものすごい速さで誰かが横切っていきそれを追いかけるようにまた誰かが通り過ぎる。駄目だ。いくら俺でも記憶が…まだ整理できていない…
「なんだ!トキヤも混ぜてもらいたいなら言えばいいのに!えっと…オレンジの子!俺たちも一緒に水遊び混ぜてー…!」
「いい加減にしろ…!」
「いい加減にしなさい…!」
途端に同時に大きな声が重なって聞こえる。
腕を組んだ月宮さんと、冷たい視線を送っている目良さん。というか…目良さんよく物怖じせず…
「あちゃー、りんちゃんに怒られちゃった。」
「音也が悪いんですよ…私は巻き込まれただけです。」
「うー、黒斗先輩から回し蹴りは食らいたくないし…ね、ウッキー?」
「僕は被害者だから…!」
4人も一気に怒られてだいたい似たような言葉がそれぞれから帰ってくる。俺はメモを取り出しST☆RISHのメンバーの動向を先ほどから書き込んでいる。根本の性格は違えど一十木さんと明星はテンションが上がると同じような行動を取ってもおかしくない。つまり、似ている。遊木と一ノ瀬さんも機内での雑談の時から被害者側に回ることが多い。
「偉いな。」
「聖川と同じで真面目人間って感じ…?へぇ、俺の事も書いてるんだ。見て、聖川のこと礼儀正しく真面目。見習う点がたくさんあるってさー」
「む、俺を見習う?」
ひょっこりと覗いてきた神宮司さんにこれ以上見られないようにと隠すも聖川さんは俺をじっと見つめてふふ、と笑う。変な地雷でも踏んでいたら神宮司さんは責任を取ってくれるだろうか…
「見習うとか、そういうことを言われると意外と照れ臭いものだな。氷鷹の為になるなら俺も最善を尽くす」
「は…はい…!」
良かった。なんかよくわからないが悪いことを言ったわけではないようだ…
「今回は俺たちの方が上だからさぁ、俺たちが先輩としてマスターコースしてるみたいなもんだよね」
「マスター…コース?神宮司さんそれは…?」
「神宮司さんって新鮮だなー?あぁマスターコースね…俺たちが事務所に所属してから、アイドルとしてのイロハを先輩たちと共同生活しながら習っていくっていうシャイニング事務所の教育方法。あれは…結構大変だったよねぇ…」
「そうだな。だが得るものも多かった。今度は俺たちが、黒崎さんから教わったことを教える番だ。」
黒崎さん…?それも誰かと聞こうとしたところで目良さんがしびれを聞かせたように大声で集まれという。ここまで広いところに今までいなかったせいか、なかなか大声を出す目良さんは珍しい。いつもなら必要以上のエネルギーは使わないとでも言いたげなのに…しかし、今回は随分と気合いが入っているように見えた。
「全員いるよな。いない奴はサメの餌にしちゃうからね。はいとりあえず、黒斗からまず今回の合宿の目的を言ってもらうから。」
「お前が仕切るな…どうせ引っ付き虫なだけのくせに…」
沢山建ててあるコテージの前に集まると、殺気が駄々漏れの目良さんの腕にぴっとりとくっついているお兄さんがいた。瞬く間に目良さんから鳩尾に一撃を見舞われてその場に蹲るがまるで何もなかったかのように資料に目をやる目良さんにおぉ…と明星は気を引き締めた。常にこうであってほしいものだがものの数分でいつものアホに戻るんだろうな…
「えっと、まずは…この2週間やっていくうえで、お互いの事をよく知らなきゃならない。そのためにも、部屋を混合させるつもりだ。…正直、割り振りとか…面倒でしょうがなかったんだが…」
俺たちには特に資料も何も渡されず、淡々と喋りだす目良さん。…スケジュールとかはないのだろうか。あと、部屋も割り振りの表とか…
「1回しか言わないからな。どの部屋か忘れたら野宿でもしろ。」
「え…」
俺は思わず一言こぼし慌ててメモを取り出す。
なんだか…まぁ前からもとは厳しい人だったがここまでなんて…いや、これがプロなのかもしれない。目良さんも今でこそ休止しているとは言えもともとはプロだ。蒼空の単独ライブにもマネージャー兼プロデューサーというような形で何度も仕事をしている。俺たち以外は本当のプロの世界にいる人間だ。ここで俺たちは学生だからと甘えさせるわけにはいかないのだろう。
「面倒とは言ったが諍いがないように…この移動時間の間の雰囲気で俺が見て決めた。気が合う…というと変だが、変に浮いたりしないようにしてるから安心しろ。じゃぁ林檎さん、お願いします。俺は昼ごはん広げてるので。」
「はいはーい、任せて!ST☆RISHはやっぱりマスターコースで教わったことが混ざっちゃうと、Trickstarの子たちが困っちゃうって件もあるからあの時のペアで行くわね。まずは一番のお部屋!というのもえっと、一番右端のね。オトくんとトキヤちゃんのペアにスバルちゃん。」
「えぇ!1人…!?」
「まぁ…遊びではないし、俺たちは教わる側にも等しいからな…」
俺は月宮さんの横にある大きなテーブルに昼ご飯を広げている目良さんを見ながら、そのペアに妙に納得し、メモに書き込む。
「その隣はまぁくんとレンちゃんで、えーっと、ペアは北斗ちゃん!」
…ちゃん付け…。そこになんとなく違和感を感じたが月宮さんはどうもそういう性格だからしょうがないのかもしれない。先ほど少しだけお話しした神宮司さんと聖川さんに軽く頭を下げると神宮司さんは笑顔で手を振って応える。
「次は、なっちゃんと翔ちゃんねー。私もこれはなんとなくしっくりくるわー。えっと真緒ちゃんが一緒のお部屋よ!飛行機の中でも翔ちゃんと仲良かったものねぇ」
「そんな、仲良いって言ったらちょっと失礼ですけど…話があうっていうか、趣味が一緒で嬉しいです。」
「真緒は良い奴だからな!すっげー気が利くし!」
「もー翔ちゃん、それに甘えちゃだめですよー」
なるほど、ということは…遊木は…愛島さんと2人…?
「どどどどどうしよう…緊張で絶対何も話せないよ…!?」
がしぃ、と良い勢いで俺の腕を掴む遊木に俺は困りながらも決まったことだからと宥めるしかない。バンジージャンプを強要するような人には見えないし…きっと大丈夫だろう。多分…。
「オトくんたちとは真逆の端にあるコテージに、アタシがいるから…何かあったらくるのよぉ?いーい?喧嘩はだめだからね?」
そう言った月宮さんに再度全員で返事をして俺たちはレッスンを始める前にと食事をとった。
::Stressful lunch time
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