彼女がもし腐女子だった時
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翌日の放課後、当然のごとく2年生付近の廊下に現れた黒斗先輩は、おそらくB組に要件の人物を探すためにA組の教室に顔を出した。
「あ~!黒斗さん!なになにどうしたの?」
一番にスバルくんが気づき、満面の笑みで迎え入れるように大きく手を振る。
「あー、…その、」
そんなスバルくんとは対照的に気まずそうに目を逸らす黒斗先輩。と、思いきや、私と目が合う。
「…げ、怒られる!」
そう口にしてしまうと黒斗先輩はこれでもかというほど眉間に皺を寄せた。
けど、
「昨日は…悪かった。お前は何も悪くないから気に病まないでほしい。……で、これ」
めちゃくちゃ声小さいですね。って思うけど、差し出されたものに一瞬きょとんと首を傾げる。
小さな紙袋にはどこかで見たことのあるお店の…
「グランド・ショコラ…ってもしかして、あのお店のっ」
「お前が何が好きかわからなかったから、口に合わなかったら捨ててくれ。一応、無難なものにした…。ん」
いい加減受け取れと催促されて、恐る恐る、手に触れないように紙袋の下で両手を添えて受け取る。
「え?なになに?どうしたの!そんなすごいものもらって!羨ましい!」
「スバルにはこれよりもキラキラしてるものの方が良いだろ。それに、羨ましいものでもないぞ。こいつが受けたショックからして見れば…」
ちらりと視線が合うも、あっという間に外されて、そのまま教室を後にする黒斗先輩。
「あっ!こ、晃牙くんなら多分、軽音部のところに」
「あぁ、見ればわかる。」
そう言ってさっさと教室を出て行ってしまう。
え、見ればわかるって…そういえば、黒斗先輩って人探しうまいというか、まるで答えがわかってるかのようにまっすぐそこに向かっていく。
ってことは…?
「びっくりだね!黒斗さんがプロデューサーに用があってくるなんて!しかもお土産も持ってきて!」
「う、うん。そうだね」
「プロデューサーなりに俺たちの知らない間に仲良くなってたんだね!」
「いや、仲良くは…ないと思うけど」
というか、私となんかよりもっと魅力的な男子高校生たちと仲良くなってほしいので、ある程度の接触は避けていこう!
黒斗先輩のためにも、そして私の妄想のためにも…!
「というか、こんなことしてる場合じゃない!」
「どしたのプロデューサー?」
「ちょっと部室行ってくる!」
え、どこのー!?なんてスバルくんの声を背中に浴びながら軽音部の部室へと向かっ、てる最中に、
「別に昨日のことは気にしてねぇっての」
部室にたどり着く一歩手前の廊下で晃牙くんの声が聞こえた。
「あっぶな…」
思わず角に隠れて聞き耳を立てる。
いや、駄目ですよ本当は!こういうことするのは!
「つぅか、しょうがねぇんだろ?体質的なもんだって蒼空センパイが言ってたぜ?」
「いや、まぁ…そうは言っても、関係ない奴を巻き込んだのは事実だ」
「まぁ別に?俺様も100%ゴメンだっていうほど嫌だとか思ってねぇし、あーいう状況に陥ったときにどこの馬の骨かもわからねぇ奴に抱き着くよりマシだろ…まぁ今後は?少し、気を付けた方がいいと思うけどよ…」
「……は?」
晃牙くんのツンツンした気遣いの言葉にしばらくの間の後とんでもない声色の黒斗先輩の声が廊下に響く。
「…あ?……まさか、え」
少し顔を出し様子を伺うと晃牙くんも拍子抜けしたような顔をして2人で見つめあっている。
あれ、もしかして黒斗先輩…。
「お、れが、抱き着いたのか?」
「…は?っ、しら、知らなかったのかよ!!!」
「知らねぇよ!凛月には、助けてくれたのは晃牙と転校生だって事しか聞いてないし!え?ちょっと待て、ほんとに俺が!?」
凛月くん…なんで言わなかったの?
いや、むしろあえて言わなかったの?
いずれにしても完全に墓穴掘った!って叫んでる晃牙くん。
まぁ、恥ずかしいよね。別に嫌じゃなかったっていう感想付きだもんね。
「だぁぁぁ!とにかく!俺様たちは何もなかった!それでいいだろ!こ、今後もだ!抱き着いたなんてロック的に考えれば別にパフォーマンスでいくらでもするんだからよ!よ、余計なことを考えるな!」
「…お、おー、わか、わかったっての。落ち着け。とに、かく…!そ、そんな失態もしたならもっとちゃんとした詫びを持ってくればよかった…」
ぼそりとそう呟いて私にくれたのと同じような紙袋を晃牙くんに渡す黒斗先輩。
だったけど、
「いらねぇよ。そんなもん貰いたくて助けたわけじゃねぇ。」
「…はぁ、そうだろうなと思った。じゃぁ、なんというか、そんなこともあったみたいだし、今度なんか、お前のしたいことに付き合う。なんでもいいぞ。誰かへの嫌がらせでも。」
「んなもん頼むか!」
盛大なツッコミにくすくすと笑う黒斗先輩。あ、ちょっとしたジョークを言ったつもりなんだ、黒斗先輩、無表情だから本気かと思った。
「あー、じゃあアレだ。俺と一緒にステージに立てよ。黒斗センパイはロックンロールってのをわかってねぇみたいだからな。俺様が直々に教えてやる。それでいいか?」
「あぁ、もちろんだ。晃牙さま」
ふん、と腕を組みながらも、若干嬉しそうにする晃牙くんを微笑ましく思うとともに、そんなレッスンだけで終わるようなの勿体ない!
ということで、今度ロックな企画を考えよう!と意気込む私であった。
::END
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