彼女がもし腐女子だった時
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で、一体全体どういうことなの?
そんな言葉を呆れ果てたように放ったのは、助けてくれた凛月くん。
用具室から脱出し、教室に向かう途中に気を失ってしまった黒斗先輩を保健室に運び、全員で囲んで…まるで反省会な状態。
「事故だよ、事故。あんだろ、何かの部屋に閉じ込められることくらい」
「ないけど」
即答で答える凛月くんに本当にありがとう。と伝えると、
「んーん?面白いもの見れたし、セッちゃんにからかうネタにもなったからいいよ〜」
くすくすと笑う凛月くんと、がるるると唸る晃牙くんに苦笑いしか浮かべられない。
保健室にいる以上この2人が喧嘩したり言い合いになったりしないだろう…まぁ、そもそも仲良しなので。
ってわけで、気を失っている黒斗先輩には申し訳ないですが先程の思い出話でも!
「それにしても、黒斗先輩って相変わらず守ろうって意思のほうが強いんですね」
「ねぇー、俺もそう思う。コーギーのことセッちゃんと間違ってるのはアレだけど、ね〜」
ちら、と私と話しながら視線を晃牙くんへ視線を向ける凛月くんにつられて私も晃牙くんを見る。
「んだよ、」
「拗ねてない〜?」
「んなわけあるかっ!つか…何に拗ねるんだよ」
「んふふー、さすがはコーギー。その辺は鈍感って感じ?まぁ、仮に鈍感同士になっちゃうと前途多難だけど」
鈍感同士ってことは…多分黒斗先輩のことも言ってるんだろうな…。
まぁ、黒斗先輩は恋愛感情に鈍感っていうより、知ろうとしてないって方が強いけど。
「そもそも、不安でコーギーに抱きついてたんだから抱きしめ返してあげないと」
「っはぁ!?」
大きな声を出して、大げさにリアクションする晃牙くんに、凛月くんがしぃ〜と言いながら指を口元に添える。
その指をそのまま黒斗先輩の方へ向けると、晃牙くんも慌てて口元を手で覆った。
「アレは"瀬名センパイ"にした行動だろ?俺が横取りして良いもんじゃねぇんだよ」
「晃牙くん…」
「コーギー…。本当にいい子だねぇ。そういう子に免じて、今日のことはセッちゃんには言わないであげる。」
「え、言わないんですか?」
「まぁ、この流れじゃ俺が悪者になっちゃうしね〜」
少なくともあの用具室から出してくれた恩人なので、まぁ悪者とまでは言わないけど。そうは言っても瀬名先輩に黒斗先輩をパニックにさせたことを話すことになると考えれば…内緒のほうがよっぽどありがたい…。
「さすがに抱きつかれんのはビビったけどよ。あんな状態の黒斗センパイ、どう対処したら良いかわかんねぇし、この後目ぇ覚ましたからって、どんな顔したら良いかわかんねぇ」
「ふふ、晃牙くんってば恥ずかしがってる」
「うが~!くっそ…!俺は帰る!」
「えぇ!?でも、黒斗先輩は…」
簡易椅子を吹き飛ばすような勢いで立ち上がった晃牙くんを引き留めようと促すも、本人は肩を竦めて保健室を出ていってしまった。
「黒斗に伝えとくね〜」
凛月くんは、ばいび〜なんて言って晃牙くんを見送るし…
「ま、コーギーのことだし、明日改めて黒斗のとこ行くんじゃない?体調どうだーとか、言いに行くでしょ。」
ふふ、と今にも目に浮かぶような事を言われ、確かにと頷く。
「プロデューサーも、あまり遅くまでいるもんじゃないし、何よりまた黒斗が気絶されると俺が帰れなくなるから…、帰ったほうが良いよ〜」
「あはは、まぁたしかに…気絶されたくはない、かな…?じゃあお言葉に甘えて、帰らせてもらうね。」
凛月くんの言う通り…せっかく目を覚ましたのに、その目の前に私という女の人がいたらまた気絶するかも。
黒斗先輩のは自分でもどうしようもないことで、でもどうにかしようとしてるものだから、私が傷ついたりすることはなんかおこがましいけど、まぁそれでもさすがに、ちょっとショックを受けながら保健室を後にした。
「はぁ〜…、それにしても、黒斗先輩って案外力強いんだなぁ。晃牙くん全然振りほどけてなかったし」
とはいえさっきのショックはどこへやら、自分の小さなメモ帳に、今日の出来事を書き留めているうちに、ウキウキになっている自分がいるのだった。
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