彼女がもし腐女子だった時
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ライブ当日、衣装に袖を通した嵐ちゃんはいつものKnightsの雰囲気とは違い、fineのような白で統一された華やかさをまとっている。
対して、黒斗先輩の衣装は清廉さはそのままに、嵐ちゃんと対象的に黒で統一された高貴な衣装だった。
「アタシてっきり黒斗ちゃんとおそろいになると思ったのにィ…」
「まぁ、俺達の他に美で選ばれた宗と渉も対象的な衣装だしな。金と銀?だろ」
問いかけるように私に話題を振る黒斗先輩に、慌ててはい!と頷く。
まさか自分に話題を振ってくると思ってなかったし…。なんなら2人で仲良くお話しててもらっていいんですよ。ほんと…。
「うふふ、でも黒斗ちゃんと一緒にステージに上がれるなんて、夢じゃないのね!今の今まで実感湧かなかったわァ。実はドッキリですって言われるの覚悟してたもの」
「いやさすがに…そんなことするわけ無いだろ。嵐の悲しむ顔は苦手なんだから」
「きゃぁん!ちょっと聞いた?プロデューサーちゃん!アタシの悲しむ顔は見たくない。なんて!!」
「よ、良かったね?嵐ちゃん…!」
本人がいる目の前で、ほんとドキッとしちゃう!なんて言えるのは嵐ちゃんくらいのもので…その度に相槌を求められる私には緊張が走る。
だって、いくらCPが目の前にいるからと言って簡単にホイホイされてしまうわけにはいかないのだから!私が社会的に死んじゃう!
というか、ここ数週間という短い間ながら、4人まとめてのレッスンを見てる中、この2人の距離感…というか嵐ちゃんの黒斗先輩への距離の詰め方が凄まじかった。
「今日で終わりだと思うと寂しいわァ…」
「ライブの直前なんだからそんな顔するなよ。別に臨時ユニットなんてこれから仕事さえあればいくらでも作れるんだろ?」
いやそんな、好き勝手できるものではないと思いますけど…まぁただ、B1とかならできる、かも?
なんて考えてるうちに嵐ちゃんが黒斗先輩の腕にすり寄り自撮りを始める。
そう、自然に腕にすり寄っているのです。とんでもない行動力…。でもそれを許容している黒斗先輩もとても珍しいもので…
「ったく、毎日毎日レッスン中も写真撮って…。嵐はほんとに自撮り好きだな」
「うふふっ、単なる自撮りが好きってわけじゃないわよォ!黒斗ちゃんと撮るのが特別なの!」
嵐ちゃんはファンとしてなのか、それとも本当の恋愛感情としてなのか、アタシって黒斗ちゃんのこと特別好きだものッ!なんて常日頃から言っていたけど…。
そんな様子に肩を竦めていた黒斗先輩が、思いついたように急に嵐ちゃんの手を取って。
「じゃあ…ご所望のポーズは何でしょう?なんなりと、お坊ちゃま?」
と、手の甲に口づけを落とした。
「〜っ!きゅ、急にそういうのはズルいわよ!」
どっひぇぇ、嵐ちゃんが珍しく顔真っ赤にしてる…!?
っていうか確かに黒斗先輩のソレは反則ですよね!わかる!嵐ちゃんめっちゃくちゃ嬉しそう!ファンサ!?ファンサの一貫なの?それとも天然たらしなんですか!?
「ははっ、嵐のそんな顔、久しぶりに見たな。なんか前に一回見たきりだったし、…と、そろそろ出番だな。行くぞ」
と、途端に真顔になってステージの袖口まで歩いていく黒斗先輩に対し、嵐ちゃんは私の肩に手を置いて顔を俯かせている。
「ふふ、嵐ちゃん。ごちそ…あちが、大丈夫?」
「んもうっ、プロデューサーちゃんまでからかうつもり?はぁ〜…、ライブに集中しないとッ!」
ぺちっ、と頬を叩くといつもの凛々しい嵐ちゃんに戻って手をひらりと降って黒斗先輩の後ろを歩いていく。
その姿からはとても先程までの破顔しきった顔は想像できないけど、間違いなくさっきは恋に落ちた…いや、もう底なし沼に浸かってた顔してた嵐ちゃんなのであった。
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