彼が合宿に参加するとき
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-合宿-1日目-夢ノ咲学院上空-旅客機内-
「えーと…じゃあ俺から…あぁもう、綾人離せ…」
「可愛く言ってくれたら。」
「そうか…おい、みんな。俺がこいつを殺してもここであったことは忘れると誓ってくれ。」
頭が痛い。こんなことなら胃薬に頭痛薬、睡眠薬も持ってくるべきだった。綾人が来るなんて…。
小型旅客機のくせに中は無駄に広い。普通の飛行機のような椅子ももちろんあるがその奥はラグが敷いてあってさながら簡易的な一室だ。俺たちはまずそこに円になって集合し、到着まで全員の顔合わせだけでも済ませることにした。ともあれシャイニングが所有している島につくには2,3時間ほど余裕があるようなので、自己紹介と各々今回の意気込みでも言ってそれなりに談笑してもらいたいものだ。が…
「すみません。先に林檎さんから時計回りでやっててください。俺はこいつ殺ってるんで」
「ちょ、ちょっと駄目よ!?んもう、あやちゃんのブラコンっぷりは知ってたけど、本人前にするとここまでとはねぇ…」
周りにも迷惑をかけているようだ。やっぱり殺す。つうか周りには何を言ってるんだ?あることないこと言われていたらどうしようか…くそ、気を逸らそうとしても最終的には綾人を殺すという最終結果にたどり着く…。
「でもさ、黒斗って殺すーとか俺にしか言わないよな!つまり、それを言えるほど気を許してるってことだろ?幸せ。」
うっとりとする綾人の頭にとりあえず回し蹴りを見舞わせて文字通り黙らせる。周りはひぇっ、と悲鳴をあげたり、一瞬ぞっとした顔をする。隣に座っていた真も短い悲鳴を上げていた。
「ごめんな真…怖くないぞ。俺は絶対にお前にこんなことしないからな」
務めて笑顔で隣に座る真を撫でるとはっとしたように真がぶんぶんと首を振る。
「あ、あの、それより黒斗さん自己紹介…」
「おー、そうだった。」
言われて改めて気付き俺は資料片手にその場で自己紹介を始める。
「俺は、目良黒斗。今回の合宿を一任されている。まず、何か要望や緊急事項、その他気になったことがあったら俺に一言くれ。今回こうしてまともにマネージャー兼プロデューサーを付けての合宿は初だから、俺も探り探りになってしまうと思うが何とか成功するように俺も全力を尽くす。…俺もこいつらと同じ夢ノ咲学院の学生だが、オンの時は年齢なんて気にせずに指摘していったりするつもりだ。…でも、えっと…普通に仲良くなれたらとも思って…ます。よろしくお願いします」
流れのままお辞儀をすると周りから拍手が沸く。変なこと言ってないかどうか…変に思われていないかどうか見たいが、それが怖くて視線を誰もいないところへ彷徨わせていると
「ふふ、てれ屋さんなのねー?」
「な…何がですか…」
何を勘違いしたのか林檎さんがそう耳打ちしてきた。別に照れたわけじゃないと思うんだが…
そう思って眉間に皺を寄せていると林檎さんが次はアタシ!なんて言って元気に挨拶をしていた。おはやっぷーはこの人の中での流行りなのだろうか…
「アタシは月宮林檎!リンゴちゃんって呼んでいいわよ?あ、でもそっちの子たちは学生なのよね…先生の方がしっくりくるかしら。まぁともかく!今回の合宿はアタシ今日と明日しか入れないんだけど、その代わりにちゃんと代役を出してるからST☆RISHのみんなも寂しがらずにできると思うわ、頑張ってね!」
…あぁ…それでこいつが。横目で綾人を見ると口パクで「俺も目良だからな」とウインクをしてくる。でもお前夢ノ咲学院長継がないって言っただろ。まったく呆れた奴である。
「オカマさんとはまた違う感じだね…ね、ホッケー!」
スバルは一瞬嵐の事を思い出していたのだろうが林檎さんのしっかりした言動と挨拶に緊張が少しほぐれたようだ。北斗は俺に聞くなと言っているが、実際嵐の事と言い一癖も二癖もある林檎さんには少々微妙な顔をしている。気になるのもわかるが…
「はい、じゃあここからは今回の主役たち!」
「待って俺は!?」
「あぁ、そうね…あやちゃんも自己紹介すべきよね」
「今さ…りんさん忘れてたでしょ…?まぁいいや」
そして綾人がST☆RISHのメンバーをちらりと見、Trickstarの面々を1人ずつ見る。そういう変な威圧…やめといた方がいいと思うんだが。そう心で思っているとスバルと真緒が…やっぱり双子だよね…?とひそひそ話している。あ、逆にここまで似てて疑ってたのか。…眼帯のせいで、結論を出すのに迷ったか?
「俺は目良綾人!黒斗の双子の兄、一卵性双生児だから超似てるだろ?黒斗の方が可愛いけど。今回は、りんさんが仕事で途中で抜けちゃうから黒斗のフォローとして参加させてもらった。結構無理言って、だけどね?とにかく、俺は多分ここにいる中で、りんさんを抜きにして一番芸能活動歴が長い。そこでまず一言言わせてもらうけど……お前ら時間すらまともに守れない?10分前or5分前は当たり前だよな?」
一瞬にして場の空気が変わる。凍ったとでも言っていい。全員が肩をピクリと動かしてから微動だにしない。俺と林檎さんは全く動じなかったがその空気は確実にST☆RISHやTrickstarにとって良くないものとなっている。
「林檎さん…?綾人って、いつもあんな感じですか?」
高校に入ってからまともな綾人を見たことなかった俺は思わずこっそりと林檎さん耳打ちでに尋ねる。綾人は相変わらず笑顔だが内心は物凄く怒っているようだ。
「えぇ、あやちゃんプロ意識だけは凄いから。そういう所は目良家ってみんな一緒よね。」
「はぁ…そうですか?」
首を傾げ林檎さんを見るもふふ、と笑われるばかり。しかも、いまだに綾人の説教は続いていた。俺は溜め息を吐いて綾人の心境を見る。あぁ、本当心から叱ってるなこいつ。泉を、同じ仕事仲間として、アイドルとして、ライバルとして、ファンとして、慕っているだけはある。泉もまたプロ意識が高く、やることはやる性格だ。それを見習ってそして自分のものとしている。
「そもそもTrickstarはまだ学生だから?まぁ緩ーくやっててもまだ、庇護される。でも、ST☆RISHは違う。お前らはもう自立したアイドルだ。時間厳守もできないようじゃ、これ以上上は目指せないからな。……っとまぁ俺も怒るときは年齢気にせず怒るからさ。覚悟、しててな?」
えへへ!なんて可愛く笑って見せる綾人の表情に全員すでに疲れ切った顔になってしまっていた。
「…あやさん、やっぱりこわー…」
と、ひっそりと話をするのはST☆RISHの、名前は確か…一十木音也。そしてそのまま立ち上がり自己紹介を始める。
「えっと、俺は一十木音也!ってこれ…どこまで言えばいい?」
「そんなん簡単でいいんだって…イッキは考えるより先に口が動くんだから思った事言う感じでいいんじゃないの?」
確か、音也との間に一人挟んで隣にいるのが…神宮寺レン。ST☆RISHの最年長になり、そして今回の合宿のメンバーでも最年長。見た感じ、しっかりしてるのはレンさんを挟んでいる2人。どっちも落ち着いてる…
「えーっと…どっちがどっちだ…」
俺は聞こえないようにぼそりと呟き、手元の2つのユニットのプロフィール表を見る。もちろん写真付きでまるで履歴書ともいえる。
「ぱっつんが…聖川真斗、ロングの方は、一ノ瀬トキヤ。」
資料と相手を何度も見て頭に刷り込む。年齢は俺よりも上だ。失礼があってはならない…。俺は溜め息を吐き何度もその一覧を睨むように見ていた。
::Self-introduction taim
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