彼女がもし腐女子だった時
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「ほんとにずっと繋いでんなー」
放課後、すれ違いついでに世間話をした転校生ちゃんとの会話を思い出し、今日も今日とて病院に行くと、先についていたせなたんの後ろ姿が先に視界に飛び込んだ。
「あ、あー、泉。そろそろ離せ」
俺がぽろっと口に出したのが気になったのか黒斗は恥ずかしそうに手を振る。が、
「はぁ?離すわけないじゃん。心配で握ってんのぉ」
「…いや、いいんだけどさ。でもせなたん誰かに見られたら恥ずかしいんじゃないの?写真撮っちゃおうかなぁー」
にやりとシャッターチャンスを伺いスマホを向ける。
当然せなたんのことだからお金取るとか周りに誰かと手を繋いでるの見られたくないから無理。とか言いそうだったのに…
「勝手にすればぁ?その代わり撮ったら俺にも寄こしなよねぇ?」
「え?違くない?思ってた反応と違うんだけど」
「いや、泉、離せよ。俺は写真に残されるの嫌なんだが?前の体育祭のこともあるし。」
確かに、と黒斗に同意して頷くと何か気になったのか黒斗が俺を見てくる。あ、やばい。
「…お前、そのために撮るのか?っていうか、なんでアイツが出てくるんだ」
「はぁ?何?みやくんもともとゴシップ目的だったってこと?最低!」
「誤解だ誤解!一応、あの子だってプロデュース科の生徒っていう立場以上に気になってるんだって!」
苦し紛れの言い訳を伝える。
黒斗は溜息を吐いて未だに観ている。
勘弁してよ。俺に向かってそんな目するの…
「あ、悪い。…ただ、なんでそこであの女が関わっているのか…不安で」
不安、という言葉を黒斗が漏らした瞬間、せなたんが繋いでいた手にもう片方の手を重ねる。
その視線は黒斗しか見ていなくて、まるで俺がいないみたいだ。
命の恩人相手だし、まぁしょうがない…のか。と思いつつも俺でもわかるようなせなたんの慈しみを込めた視線になんかそれだけじゃないなーと納得する。
「…仕事の一環だと言い張るならいいぞ」
「え」
「はぁ、黒斗がOKだしたんなら今さらいやとか言えないしぃ。ただ視線とかいらないよね?」
「あ、はい。でも…2人のツーショってないんだし、せっかくだから2人の記念用に目線くれてもいいよ」
「ふはっ、なんで上から目線なんだよ。」
「ちょ~うざぁい。一枚分だけだからねぇ?あと、撮れたらすぐちょうだいね」
「はいはい、じゃぁまず一枚。はいちーず」
我ながら何をやっているのやら。なんて頭に過りながらも2人を画角に収める。
約束通り2枚だけ撮ったあと、何とも言えない衝動に駆られて自分も含めて自撮りをする。
「俺が入ったのも送るからなー!」
「はぁ?ほぼみやくんのドアップになってる写真なんていらないんだけどぉ!黒斗とツーショットだからほしかったのにさぁ!」
「…お前ほんとに俺のこと好きだな?」
「っ!それは言わないって約束だったよねぇ!?」
「おー、ごめんって、な?思ってた以上に噛みつくな…」
「そりゃ、せなたんなんて事故ちゅーした上に自分の気持ちバレてんだから恥ずかしいもんでしょ」
「そういうもんか。悪かった」
ふむ、と顎に手を添えて納得する黒斗と、そういうところ!とやり場のない怒りを俺にぶつけるせなたん。
こんなもどかしい関係なのに、もう少しだけ続いてほしいな。なんて思う自分がいた。
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