彼が合宿に参加するとき
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-合宿-2日前-夢ノ咲学院-ダンスルーム-
「ということで、明後日で急だと思うが決まったことはもう変えられない。打ち合わせも昨日急にはじまってな。当日…移動の時に時間があればもっと詳細は伝えるつもりだが…そうだな、とりあえず明後日の為に各自準備しといてくれ」
僕たちが今日まで貸し切りで使っていたレッスン室に突然入ってきた黒斗さんはそうさっさと用件だけ言って、僕たちに資料…というかまともに何も書かれていない合宿のしおりを渡すとレッスン室を出ていこうとした。
「はいは~い!!お菓子は何円まで…?」
「おい明星…」
立ち去る黒斗さんを明星くんが引き止めようと遠足に行くときの小学生みたいなことを言うけど、黒斗さんにではなく氷鷹くんに注意されむすっとして黙ってしまう。その間を埋めるように衣更くんが黒斗さんに尋ねる。
「…合宿か。俺たちだけならまぁそれなりに組もうって話はしてたけど、あのシャイニング事務所のプロの人たちとって…ハードル高くないですか…?」
「確かにそうだな…俺もそう思う。まぁできる年には数回とする合宿だ。もしお前らが何かやらかして学院のイメージダウンになっても次の合宿がある…それでうまくいけば信用回復にはなるけどな」
「…」
僕は先ほどから、合宿の資料に目を向けることしかできない。黒斗さんがなんか冷たくて、今まで気にも留めてなかったようなこの学院のイメージだとか…結果ばかりを気にしているような気がする。
「質問があったら電話してくれ、まぁ…あと一日あるから。それじゃ、レッスン頑張れよ。当日恥かかないためにも」
「っ、」
ばたんと閉じられたドアをみんなが見つめて沈黙がレッスン室を包む。くしゃりと資料を強く握って、でも何を言うでもなく何かに文句があるわけでもなく僕は溜め息を吐く。それを皮切りに明星くんがごろんとその場に寝転がる。
「なんか、黒斗先輩冷たくなかった?説明も、いつもより感情こもってないし、無表情っていうよりは目が死んじゃってる感じだったし…?」
明星くんの言葉に僕は咄嗟に振り返る。やっぱり、みんなそう思ってたんだよね…?氷鷹くんも顎に手を添えて考えてるし衣更くんも頷いている。
「うん、やっぱり…そうだよね。黒斗さん。疲れてるのかな」
「いや、あれは冷たく演じているんじゃないのか…?ほら、俺たちってこれからプロと合宿だろ…?気を引き締めろよーって意味でさ…」
「そうだと言いがな…、あるいは、目良さん本人が気を引き締めなければならない状況なのかもしれない。」
黒斗さんが…今回の合宿の付き添いに選ばれた理由は全く分からない。だって、プロデューサーであるならともかく、黒斗さんだって一アイドル。それに最近はアイドルとして沢山ステージに上がるようになった。普通なら、転校生ちゃんに話が行くところ、黒斗さんに話がいき、加えて付き添い。マネージャー?プロデューサー?どういう立場なのかはよくわからないけど、
「黒斗さんの今回の仕事が今後に響くってことは考えにくいよな?」
「目良さんの事も気になるが…実際、目良さんの言った通り俺たちが失敗してしまえばその事務所にTrickstarのイメージだけではなく学院のイメージにも影響する。それに2週間という長い期間だ。学べることも多いが学んでばかりでは駄目だろう。集中して取り組もう。」
「うん、そうだね…」
「でも、向こうの情報なんもないし…ちょっと不安なんだよね…」
資料に目をやりぱらぱらとめくる明星くんがそうぼやく…確かにどこにも載っていない。向こうにもきっと同じ資料が行ってるんだろう。なんならいくら表紙とは言え「合同合宿」としか書かれてない1ページ目にすでに不安がよぎる。しかもなぜか自体が筆文字…。
「相手もこの資料でやる気を出してくれているかが問題だな。相手側の事務所がどこかすら書いていないし俺たちの事も"夢ノ咲学院の"と書かれていない、この様子だと向こうは俺たちが学生かどうかもわかっていない可能性があるな。」
「つーかこれ、資料っていうか…集合日のスケジュールしかないし、なぜか後のページは格言ばっかりだし…」
当日のお楽しみというにはこの情報量はちょっと拙すぎる…、最低限必要なものとして持ち歌に合った衣装とか着替えとか、風呂が設置されているので風呂用具も忘れずに…って。得意なものがあれば(楽器等)積極的に持ってくること。エトセトラ、エトセトラ。
「とりあえず、曲のデータは僕が持っていくよ。パソコンとか、もともと持っていく予定だったし。」
「ああ、助かる。」
「ねぇねぇウッキー…そのこともお願いしますなんだけど…。やっぱり、俺たち黒斗先輩に渡しきれないほどの感謝の気持ちがあるでしょ?だから…聞けそうだったら、ウッキーから黒斗先輩に元気ですかー?って聞いてみて!」
「そうだな…俺たちが連絡するのもいいけど、多分ちゃんと黒斗さんの気持ちわかって聞けるのってこの中じゃやっぱ真が一番だしな」
「ふむ、それも含めて…いいだろうか?」
僕は快く返事をする。あたりまえだ…だって僕だって、黒斗さんの事が心配だもん。
「じゃぁ明日は合宿に備えてレッスンは休みにするか…。よし、今回の合宿、精一杯俺たちの力をプロの奴らにも見せつけれるようなパフォーマンスを見せよう。」
おー!とみんなで大きく拳を振り上げる。見せつける。そう考えたら、少しだけ合宿が楽しみになってきた。
::Good luck TrickStar
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