彼が合宿に参加するとき
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-合宿-1日目-某所ホテル-505号室-
ぞろぞろとKnightsの面々が入ってきたのを見たのは数十分前。
落ち着いてる奴とふんぞり返ってる奴と眠そうな奴と緊張してる奴が入ってきたが、ユニットのリーダーである獅子王の顔を見てみんな一斉にはっとした。
まるで、本当に居たんだ…。とでも言いたげ。俺はさっきから挿入歌を考えたりして獅子王は脚本書き、蒼空は…獅子王を何か現実に引き戻したりする係。っていうか、つっきーとほっしーって呼び合う仲だったんだね…全然知らなかったよ。
ちょっとさすがの俺もよくわかんないけど、獅子王が天才であり奇才であり変人というのはここ2日間で十分に、否…十二分にわかった。
獅子王はつい先程脚本を書き終わり、俺はそれを見てどういう曲を組み込んでいくかと奮闘している。その合間にも獅子王は全く別の曲がわいてきたとかで作曲をしはじめて、現れたユニットメンバーは視界に入ってないようだ。これがいずみーぬのとこのリーダーだっていうんだから不思議。
「あー…」
とそこに、溜め息とも唸り声とも言えない言葉を発して部屋に入ってきたのは黒斗だった。正直珍しい。黒斗は疲れたとか怠いとか、滅多に態度に出ないというのに……あーそっか、俺がいうのもなんだけど一癖も二癖もあるあの人たちをお出迎えしたんだからしょうがな…え?俺知らなかったよ?今黒斗が入ってきて知ったけどそんな話聞いてない。
「言ってないからな」
「…ひど!」
今まで口を開いてなかった俺たちが急に会話をし始めると嵐ちゃんと司は何事かと俺と黒斗を交互に見る。獅子王のベッドで寝ている凛月は呻き声をあげるも再度夢の世界へ…。いずみーぬはというと、また?と呆れて溜め息を吐いていた。
「黒斗もあやくんも口に出して会話してよねぇ?俺たちが困るんだけどぉ」
「口に出して、とは?瀬名先輩…どういう意味ですか?」
「正直説明面倒なんだけど、この双子テレパシーみたいなの使えるんだよねぇ。黒斗は何でも見えるっていう目で、あやくんは黒斗相手なら何でもわかっちゃうみたいだし?」
「やだなぁ、いずみーぬ!何でもわかるっていったらストーカーとか変態みたいだろ」
「現にそれだろ。」
ぴしゃりと黒斗に言われ正直泣きそうだよ。俺は変態じゃない。純粋に黒斗が大好きなだけなのに?俺の愛がどうしてこんなにわかってもらえないのか。
「失礼する」
そんなやり取りを嵐ちゃんがまじまじと見ている間にミューちゃんさんが部屋に入ってきてその後ろに藍、嶺ちゃん、最後に相変わらずツンツンしてるにーやんが入ってくる。
「あ、えっと…」
ぞろぞろと年上の威圧というかオーラを携えながら入ってくる4人に司がたじたじと嵐ちゃんの後ろに隠れる。うん、気持ちはわかるかも。
「ん…?なにぃ、始まるの?」
場の空気が変わったのを察知したのか凛月がもそもそと起き上がる。相手方を見てもその態度はぶれずに目を擦って黒斗においーっすと挨拶していた。逆にすごいと思うよあいつ、うん。
「…龍也さんも来たところで、全員適当に座って、ください。ベッドとかでもいいし、…とりあえず簡単に自己紹介、していきましょうか」
前のこともあってか段取りがわかっている黒斗は自分と全く反対側に位置する龍也さんに自己紹介お願いしますとバトンタッチすると龍也さんが立ち上がる。つまり、そこから時計回り?えぇ、次嶺ちゃんだよ?長いよ?
「俺は日向龍也。部屋は501号室にいるからなんかあったら気軽に言ってくれ。っつっても、今回の合宿には5日間しか居られない。あまり俺ばかりに頼らずに各自でしっかりと管理できるように、今回の合宿では精一杯力を尽くすように。んじゃ、短い間だがよろしく頼む」
随分と龍也さんらしい挨拶だな。ちらりと黒斗に目をやると、心でははっきり言って苦手なタイプですと言っている。確かに、黒斗とは真逆だからなぁ…あまり、関わりたくないのか目を合わせていない。あれでよく打ち合わせが出来たもんだよなぁ。
「はい、じゃあ次はお兄さんの番だね。僕ちんは寿嶺二!嶺ちゃんって呼んでいいよ!得意な楽器はマラカス!好きな食べ物は唐揚げ!今回の合宿ではとりあえず皆と仲良くなりたいかな…!で、ちゃんと最後のお披露目ライブで大成功を飾っちゃうよ!それから…」
「嶺ちゃん…」
やっぱり喋らせたらきりがないな…。そう思ってつっかかるように目をやるとあからさまにしょんぼりとしつつも最後によろしくマッチョッチョ!と黒斗にウインクをする。あんまり俺の弟に色目使うなよ…。
しぶしぶ嶺ちゃんが座ると入れ替わるようにスッと無駄な動作もなく藍が立ち上がる。
「…美風藍です。よろしくお願いします。」
「…」
一瞬の沈黙の後、藍がその場に座り直した。多分、前の2人の挨拶の後だから、みんな思ってることは同じだと思う。それだけ!?って俺も突っ込みたいって思ってる。
「あー…、黒崎蘭丸。俺は今回仕事をこなしに来た。子守りをしに来た訳じゃねぇから足を引っ張るようなら容赦しねぇからな」
どさりと音を立てて座るにーやんにKnightsの面々に少し緊張が走る。とはいっても獅子王はさっきから、ほっしー!と叫びながら蒼空を巻き込んで作曲してるのだが。
「カミュだ。俺も、愚民に手取り足取り教える義務はないのでな。使えないようなら早めに辞退して周りに迷惑をかけないように気を配れ。俺からいうことはそれだけだ。」
ミューちゃんさんなんかもう立ちもしない。本当この4人がQUARTET NIGHTととしてまた協力してくれるか正直微妙どころか期待すら出来ない。個々人としてでもいいといえばもういいやってなるけど、今回は俺の父さん曰く、KnightとNIGHTをかけてみたとかなんかよくわかんないこといってたし多分QUARTET NIGHTとしてこの4人を期待してるんだろう。クリスマスライブ…評判よかったしね…。
と、そこで俺の番が回ってきて慌てて立ち上がる。カルナイ4人は嶺ちゃんを抜けば俺の方が芸歴長いけど生きた年数は相手の方が長い。口にする言葉も選ばなきゃいけないのは正直面倒だし、俺の性格なんてもろバレだけど、それなりにしっかりしなきゃいけないんだろうなぁ…
「俺は、目良綾人。黒斗の双子の兄の方!んで今回も…助っ人兼出演者として参加してる。基本何かあった時は黒斗に一番に報告してほしいんだけど、それが無理そうなら俺か蒼空に言って。うんてかなるべく黒斗の周りを彷徨かないでほしいのが本心です。まぁとにかく?今回はただのライブじゃないってこともあるし、みんな頑張りましょう!」
俺が座った途端じとりと黒斗に睨まれ、逃げるように反対側に目を逸らせば藍とにーやんに冷めた目で見られる。真横のミューちゃんさんはもはや聞こえるような溜め息を吐かれて、それは他の人が自己紹介をしている時にまで及んだ。
「アヤトは相変わらずブラコンだね…」
「ふっ、綾人の一方的な気持ちに過ぎんようだがな。」
「一方的で何が悪いんだよ…!てかちゃんと受け止めてはもらってるはずだし!」
「いや、見るからに全て避けているだろう。ギリギリのところでな」
「なにその分析!酷いよミューちゃんさん!」
::Brother complex! XⅮ
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