彼が合宿に参加するとき
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-合宿-4日前-シャイニング事務所-
「まぁぁってましたYO!」
「今回も…よろしくお願いします。」
二度目と言えど、そして黒斗と言えどこの事務所にはまだ慣れていないようで終始周りを警戒しながら早乙女しゃちょーに挨拶する黒斗。
俺もつられて頭を下げた。俺は今回どういう立場かまだ定かじゃないけど、とりあえず黒斗にくっついて行動してればいいのかな、と…
そんなことを考えていると規則正しいノック音の後ドアが開かれる。すらっと背筋を伸ばした男性、テレビで何度も見たことがある日向龍也さんが入ってきた。その直後やっほーと呑気に綾人が入ってくる。
「黒斗!俺は最近黒斗に頻繁に連絡できて嬉しいたとえどんな理由やら口実でも!」
「相変わらずポジティブだな。」
「蒼空?あれ…ってことは今回俺たちは臨時ユニットなし?」
そういえば、前回は黒斗と綾人で臨時ユニットで参加してたっけ。なんかむしゃくしゃしたのは当たり前で、そうはいっても黒斗は誰と組んでも変わらないパフォーマンスをしていてそれは少し安心した。俺が引き出せない黒斗の力があると思い知らされずに済んだからだ。まぁ、黒斗が明らかに"良いアイドル"としてでしかパフォーマンスができないように自分にリミットをかけてしまっているからかもしれないけど。
「…あ。目良黒斗です、こっちは俺の相方の星宮蒼空。父さんからお名前はお伺いしてます。日向龍也さん」
「あぁ、初めまして。日向龍也です。今回の合宿、ちっと問題児ばかりだが前回の事も評価してるし頼むぜ?」
「え?いやいや、評価されるほどの事は…」
逃げるように目を日向さんから逸らした黒斗。あぁ、本心から褒められてるから逃げたんだろうなぁ。本当、黒斗そういうの苦手だもん。そんなことを思いながら早乙女しゃちょーを視野に入れると待ってましたと言わんばかりに1人掛けのソファに座り周りも促されるように座った。
「今回の企画は、そう!まさに!ミュゥゥウウウウジカル!!!」
「…みゅーじかる…?」
綾人が口をぽかんと開けながら復唱する。
日向さんはまた面倒なことを…とでも言いたそうに頭を抱えていた。
俺はと言えば、正直何も言えない…ミュージカルなんていつぶりだ…そんなことしか考えられなかった。
「2週間で…か?」
黒斗は眉間に皺を寄せながら単刀直入にしゃちょーに問いかける。臆さないのはいいことだけどよくそんな頭まわるな…
「イエース!ちょっとした短いミュージカルだぁから安心してくだサーイ。大まかにはもうできてますので、細かいところはお任せしマス!」
「…曲はできるかもしれないが。社長…脚本っつうのは」
大まかな設定が書かれた資料を渡されそう日向さんが言ったところで黒斗が大丈夫です。と言い切る。
「つっきーそういうの好きだしな。だいたいの設定があればかけるだろ。」
「まさか本当にアイドル以外の仕事をさせることになるとは思わなかったが…」
後は頼みましたYO!それだけを残して颯爽と去っていくしゃちょーにみんなしばらく呆然としてしまったが俺たちは場所を移して事務所のエントランスにあるテーブルに資料を広げて話し合った。
実際、ストーリーが出来上がらなければ話し合いも詰まる所は要所要所で出てくる。そうなってしまうものは後回しにとりあえず基盤となる部分だけはしっかりと話し合おうということで黒斗と日向さんはさっきから話し合っていた。
「蒼空ー。さっきから資料の写真撮ってどしたの…社外秘だよー?」
「んー、脚本、書いてってつっきーに頼まきゃだから、見るかわからないけどダメモトで連絡しておくんだよ。」
「そのつっきーって奴、ストーリーとか掛けちゃうんだ?」
「作曲もものの数分でできるんだよな。波はあるけど。まぁ…本当に天才って感じだな。会ったらわかるぞ」
楽しみ。そう含み笑いだけ残して綾人はエントランスのソファから立ち上がり飲み物買ってくると立ち去っていった。
俺は手持ち無沙汰になって日向さんと黒斗のやり取りを見ていると俺が座っているソファの背中側に誰かが座る気配がして慌てて背筋を伸ばして振り返る。
エントランスのソファは他にもいっぱいあるのに…とはいえやっぱり余所の事務所だし、気は抜けないか…。
「なんだ貴様は…?」
俺が振り返ると向かい側に座っていた色素の薄い人と目が合い、気まずいながらも頭を下げる。こちら側のソファに座っていた水色の頭の人も振り返るものだから苦笑いを浮かべて頭を下げた。
「見ない顔だね。新人?」
「え、違います。こちら事務所との企画でお邪魔してまして。」
ここで長年培った仕事モードでの笑顔で相手に説明すると、あぁ。と2人とも納得したような顔をして俺を改めて見る。
「今回、その企画に参加する美風藍です。よろしく」
「俺はカミュだ。ま、面倒ごとにならないように管理は怠るな。」
2人の対応の差に一瞬固まる。美風藍と名乗る人は俺と同じように仕事モードの態度でぺこりと頭を下げるも、もう1人のカミュという外国人…?はふん、とふんぞり返って、学生なんぞがとぶつぶつ愚痴をこぼしている。
「はぁ…」
正直、合宿が憂鬱なものになるな、とこの時に確信した。
俺が言葉を失っていると後ろからひょこりと綾人が顔を出す。と思えば藍さんの横に座って…うわ、にへらーって気持ち悪い笑みを浮かべてる。
「いつ見ても綺麗な顔だねー」
「気持ち悪い。」
あ、これは黒斗のやり取りと似てる。
「蒼空もこっちのソファ座りなよ。そこはもうプロデューサーみたいな人たちの集まりだから。」
綾人にそういわれ横目に黒斗たちを見つつカミュさんの横に座る。あまり、この人の横には座りたくないんだけど…
「愚民が…俺の横に気安く座るな…」
「え、えぇぇ?すいません?えと、じゃぁ1人掛けの方に俺が座ります?カミュさんが座ります?」
やっぱりヤジ飛ばしてきた!そう思ったがその威圧にパニックになりながらカミュさんにそう提案する。おお、俺の頭頑張った。いつもなら思考停止してもおかしくないのに。
「へぇ…カミュに怒鳴られておとなしく引き下がらない人なんて珍しいね。君、そういえば名前は?」
「へ?」
とりあえずカミュの言うことなんて気にしないで座りなよ。そう促され再度カミュさんの横に狼狽えながらも腰を下ろす。横では何度もこれでもかというほど溜め息を吐かれ正直もう俺床でもいいよとか思ってしまうが…
「…えっと、夢ノ咲学院の星宮蒼空です。WorldWalkerってユニットで活動してます。ちなみに高校3年生」
「俺と同い年なんだ!…あ、じゃぁ藍より年上だね?」
「そうなんだ。まぁ年齢なんて僕は気にしたことないけど。それよりは実力がものをいうでしょ」
気難しい。その一言だ。正直日向さんが問題児とか言ってたけどこの2人だけで俺の心はすでに折れそうなのにまだ2人いるんだよな。…今回は臨時ユニットでKnightsとこの人たちだけって感じじゃなくて、日向さん以外全員がミュージカルに参加することになったし…そう考えると…ほんと…2週間後俺が生きてるかどうかが心配でしょうがなくなってくる。
::Hi ! my name is ...
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