彼が合宿に参加するとき
What is your name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
-合宿-1週間前-夢ノ咲学院-
ユニット練習の終わり際、なぜか蒼空と黒斗がレッスン室に入ってくる。もう終わりだしとドアのカギを開けてたのはこっちの問題だけど勝手に入ってきたら駄目だよね…。
俺は半目になりながら2人の行動を見ていると黒斗が俺に数枚ホチキスでまとめられた書類を渡される。えぇ?仕事?っていうかなんでWWの2人がプロデューサーみたいなことしてるの?
「合宿…シャイニング事務所…」
そう呟きながら先日Trickstarとその事務所のメンバーと合宿をしたという話をまーくんから聞いたのを思い出す。
そうこうしているうちに蒼空がその資料に目をやりながら説明を始めた。うそ、俺たちもやらなきゃいけないとか?絶対面倒じゃん。
「絶対やだ、俺を動かすならそれなりの報酬がないと動かないからぁ。だいたいKnightsはKnightsで十分やっていってるのに合宿とかそんなの必要ある?」
「そうねぇ…個人主義のKnights、そのメンバーが臨時ユニットを組むなんて無理あるわよ?Trickstarの子たちの合宿の話は多少聞いたけど…Knightsにそれが合うかどうか…」
セッちゃんもナッちゃんも正直やる気を起こしていない、しかしスーちゃんはやっぱり興味津々なようでその資料を何度も見ては内心ウキウキしているように見える。ここは俺が一肌…なんて思うわけもなく俺も参加しなくていいならぜひ参加したくない。
「そう言うっていうのはわかってたけどこれは仕事だから、そう我が儘ばかりも言えないだろ。仲良しこよしが合わないのも知ってるから黒斗がちゃんとそういうメニューにしてる」
蒼空が半分呆れながら言うのを見つつ黒斗が俺たちを見下したような目で見つめてくる。何その顔…ていうか本当悪人顔似合うよね。
「まぁ…お前らが出ないならそれでいい。それまでのユニットだというレッテルが張られるだけだからな。それに相手はプロだ。お前らがそういう態度を取ればどうなるか、わからないわけじゃないだろう」
挑発してる。それはひしひしと伝わってきたけど、確かにKnightsの印象が悪くなる。相手が大手の事務所ということもあるし今後にも影響しかねないってことも言いたいんだろう。
でも俺は…眠いし…
「はぁ!?Knightsの実力も見ないでそんな汚名着せられるなんて屈辱なんだけどぉ!」
「じゃあ参加してその実力とやらを見せるんだな」
「見せてやろうじゃん?俺たちKnightsがそのプロとやらを踏み潰すほどの力があるってことをさぁ!」
「泉ちゃん、踏み潰したら事務所的にNGよ?」
セッちゃん…挑発に乗っちゃうんだ。本気?本気で参加するの?え?一週間後だっけ?どうしよう何持っていけばいいの?まーくんいないし…
「そ、ソラさん…それで、お相手のUnitはどんな方たちなのでしょう」
「あー、それは俺たちも細かくは知らないんだ。今度、そっちの事務所に挨拶に行くんだけど、お前らと会うのは多分出発の日になると思う。ごめんな」
「い、いえ…それで、もう一つ問題が…」
「ん?」
「Leaderは…」
スーちゃんがその言葉を口にした途端レッスン室の隅にみんなの視線が集まる。先ほどから五線譜紙をそこら中に撒きながら曲を作っている王さまをみんなが神妙な面持ちで見る。
「…黒斗。本気で連れてくのか?」
「まぁ…1人かけてるのも相手に失礼だしな。あいつがどうしてもステージに立ちたくないなら曲作らせる…か。しかないだろ」
あぁ…そういえば臨時ユニットに合わせて曲も新しいものを作ってたとかなんとか…どこぞの無人島で作るとか正直考え付かないけどなんか魔法使いみたいになんでも頑張るのが黒斗だから、そう納得をせざるを得ない。
「俺と黒斗で引きずってでも連れていくから、とにかくお前らはちゃんと一週間後に合わせて用意すること!」
「安心しろ、今回は無人島じゃない。」
それだけ言って黒斗と蒼空はレッスン室から出ていく。…俺はとりあえず一眠りしてから帰ろうかな…。
「凛月ちゃん、ここで寝たら駄目よぉ?もう出る時間なんだから。」
「とりあえず、この合宿の事で皆さん少し話し合っておいた方がいいのでは…?」
「まぁ…そうだねぇ?まだあまり乗り気じゃないけど…しないよりはいいかなぁ」
「えー…寝かせてよー」
ずるずると俺を引きずり始めるセッちゃんと王さまを抱えるように連れていくナッちゃん。スーちゃんは代わりにみんなの荷物をせっせと運び出し、俺たちは空き教室に移動した。
「わはははははは!なんだこの企画!意味わからん!!」
「…王さま、うるさい。」
俺は教室に付いた瞬間に机に突っ伏しそれを中心に周りにみんなが座っていく。王さまに資料を渡すとまともに読まないでいきなりそんなことを言うものだから、やっぱり連れて行かない方がいいのかもなんて酷いことを思ってしまう。しょうがないよね。
「黒斗とホッシーがいるのか!ううーん。あの2人はいっつも一緒にいるなぁー…それにあの2人を見てると色々湧いてくるし、まぁ逃さない手はないな!!」
「え、王さまついてくる気満々なのぉ?」
「そんなに黒斗ちゃんと蒼空ちゃんの事お気に入りだったかしら…」
「…まぁあの頃は結構一緒になんかしたりってことあったしねぇ?王さまなりの思い入れのある人物なんじゃない?」
「なるほど、しかしLeader。参加するからには、しっかりステージに立ってください」
ちらりとそのやり取りに目をやるとスーちゃんの言葉にきょとんとする王さま。いつもならなんか言われるとむっとする王さまにしては珍しいというか、初めての反応。
「でもこれよく見たら相手は4人だろ」
「え?」
「だったらちょうど、一対一になるからいいんじゃないのか?俺はもう現役引退してるし、」
「えぇぇぇ!そうだったんですか!?」
「そういえば…そうだったね?スーちゃんざんねーん」
説得虚しく王さまが高らかに笑うと、スーちゃんはむっと頬を膨らませる。
その様子をナッちゃんが宥めるように声をかける。
「1組だけ、3人になるようにすればいいんじゃないかしら?例えば…司ちゃんと王さまと、向こうの誰かとか…」
「そうだねぇ?かさくん1人じゃ向こうも心もとないって思うだろうし」
「瀬名先輩!?」
セッちゃんの言葉に軽くショックを受けたのか反抗するように声を上げるも、まぁまだKnightsが守っていかなきゃいけない"後輩"には変わりないし、つまりセッちゃんからしてみれば実力も"そういうこと"になる。
「それに王さまにまともに注意するの…スーちゃんくらいしかいないもんね」
「そうだねぇ、俺もくまくんも放任主義だし、なるくんも面倒事は嫌いでしょぉ?いくら何でも黒斗とかみやくんとか、余所に迷惑かけらんないし」
「そう思うなら、私に全部押し付けないで皆さんで支えようという提案をしてください!」
「いやいや、やっぱり若い子にそういうことしてもらわないと、老体には王さまのパワーはちょっと辛いし?」
ひらひらと拒否の意味を示すように手を振るとスーちゃんはくあぁぁ!と言葉にならない憤りを口にした。
王さまはもう何でもいいけど曲を自由に書かせてくれよと条件を出し、スーちゃんは対抗して、その代わりにちゃんと周りと足並みをそろえてくださいと和解した。
「絶対王さまが足並みそろえるわけないと思うんだけど…」
「だよねぇー」
::Uncertainty still remains
番外編TOPへ戻る