彼が合宿に参加するとき
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-合宿-3日目-無人島-屋外ステージ-
「社長所有の無人島だからってこんなところにステージ作るなんてなー…」
「さすがですよねぇ…行動力というか…でもここならお客さんの制限とかないですからそれを考えての建設かもしれないですよ?」
翔ちゃんと真緒くんと一緒に一昨日晩御飯の時にあやくんから教えてもらった屋外ステージに来る。
臨時ユニットの件を聞いてから翔ちゃんも真緒くんもとってもやる気満々。ともあれ出来を内輪で見てみないと、本当にライブにでれるかが問題だと今日からユニットらしいレッスンに変更。
「昨日から10日後。今日から言えば9日後ここで内輪でライブですよね。」
「うん!みんなで頑張りましょうね!」
「とはいっても…なかなかハードな気もしねぇか?」
「俺たちTrickstarは2週間で衣装から曲から、一から作り上げたみたいなもんですから…なんかあんまり苦にならないっていうか…ドタバタしてるのは慣れてるというか…」
苦笑いを浮かべながら真緒くんは呟く…と、そこに黒斗くんが歩いてくる。
「あぁ、ちゃんと時間10分前にいるんだな。準備運動とかでもしてたのか?全員ステージに上がって…。」
「黒斗くん!お疲れ様です…!僕たち今から、3人の息合わせるためにも基礎のステップを踏もうかと…」
「お疲れ様です…あぁ、それでメトロノームが用意されてるんだな。というか、間にあって良かった。曲、できたぞ。」
僕の言葉に少々気恥ずかし気に頭を下げて挨拶を返されるも、そのあとに放った黒斗くんの言葉に翔ちゃんがステージから落ちそうなほど身を乗り出す。
「はぁ!?もう!?もしかしてすでになんかできてる曲でしたとかってんじゃないだろうなー?」
「黒斗さん相変わらずですね。曲作りは暇さえあれば完成に近い出来まではササッと作っちゃうから…」
コネだろうと使えるものは使うんだよ。と言い放った黒斗くん。コネ?
「俺の家は芸能に携わってるからな。一日一曲とか簡単にできる。まぁ一週間あれば全ユニット分はちゃんとできるさ。今は、全部機械で…つか、キーボードで作ってるけどな。」
「はぁ…それでもすごいですよ?」
「どうも。歌詞は…ST☆RISHの奴らはみんな自分たちで考える方が好きみたいだから任せる。とりあえず好きに聞いてみてくれ。嫌だったら作り直す。」
それじゃ。とそれ以上は何も言わず、CDを翔ちゃんに渡しまた走って去って行ってしまう黒斗くん。多分他のユニットの作曲もしなきゃいけないから…
「んー、俺まだ黒斗のことよくわかんねぇけど…とりあえずかけてみるか…」
「黒斗さんの曲は良い曲ばかりですよ。ジャンルも幅広くて、俺は好きっす。」
翔ちゃんがふーん、といまだ半信半疑の様子でステージに設置されている機材にCDを入れると曲が流れる。その曲はなんだかゆったりとしたバラードのような曲…
「俺たちをイメージしたってわけではなさそうだな…」
「でも黒斗くんも僕たちも初対面みたいなものですから…」
「いくらTrickstarの曲作ったって言ってもまったく未知数のユニットのイメージは作りにくいんですかね…?」
なんだかもうちょっと元気というかじゃかじゃかした曲かと思えばずっとピアノで、やっぱりラブソングとかに使うような…
「ぁぁぁぁあああああ!!」
と、そこに全力で駆けてくる黒斗くん、普段の印象と違ってとっても焦っているような…こんな感情あらわにすることあるんですねぇ…?
「まって!じゃなくて、間違えた!それ違う…ます!はぁ…はぁ」
「えっ、違うー?なんだよ。間違えるなよー…」
「う、すま…ごめんなさい。」
溜め息を吐いて頭を下げる黒斗くんに僕と真緒くんは苦笑いを浮かべ、翔ちゃんはCDを取りに行く。うん?それ違うってことは…僕たちのはちゃんとあるわけで…さらに別の曲もできてるってこと…?
「黒斗くん、もしかして、もう2曲できてるんですか?」
「え、いや…もう大まかなところくらいなら全ユニット分はできてる。」
「はぁぁ!?」
「さすがです…黒斗さん、でも俺たちがS1にでるときは1週間かけてましたよね。」
「それは曲が完全に完成するのに1週間だったな。曲の量も多くはなかったし。それに比べて今回は1ユニットに2曲かけることの4ユニット…だから8曲。さすがに1人じゃできないかもだが…」
CDを受け取りながらもう一度別のCDを手渡す黒斗くん。そのCDには"四ノ宮さん、翔、真緒"と丁寧な字で書かれていて僕たちのだということがわかる。書かれてるのに間違えるって案外どじっこなところあるのかも…?
「1人じゃ、ってことは…もしかしてあやくんも作ってるんですか?」
「あぁ、1人1曲ずつ、各ユニットにってことで。あいつSSWとも言われるアイドルだから、実際は俺よりも才能が優れてると思う。」
「そんなことないですよ?さっきのそのピアノの曲、とても綺麗でした。」
するときょとんと目を丸めて黒斗くんは首を傾げる。それもすぐいつもの無表情になって僕を見つめる。どうしたんだろう。何か変なこと言っちゃったんでしょうか…
「四ノ宮さんはどうして俺のってわかったんですか?50:50と言えど、どっちがどっちのかって普通ちらっと聞くだけじゃ…」
「んー、なんででしょう…なんだか、黒斗くんの優しいところが伝わってきたからですかね…」
「優しい、ですか…あ、えっと。俺もう行きます。レッスンの中身、丸投げみたいになってますけど頑張ってください。真緒も。頑張れよ」
「はい!黒斗さん、あまり無理しすぎないでくださいね」
「なんでも安請け合いするお前にだけは言われたくないな…。」
ふっと軽く笑いそう言い残して黒斗くんは今度こそコテージの方へと向かっていく。優しいという言葉を発したときに、悲しいような顔をしたのは、なんで…。僕はそれを誰かに聞くことができないまま翔ちゃんが気を改めてかけ始めた曲に耳を傾けた。
「おお、今度は俺たちって感じだな!」
「やっぱりちゃんと僕たちの事見てるんですよぉ。翔ちゃんも意地張ってないで仲良くなりたいっていえばいいのに…」
「なっ!?別に仲良くなりたいわけじゃないっつーの!どっちにしろ、話しにくい相手だろ…。」
「…まぁ俺も前はそうでしたよ。俺、1年の頃は凛月っていう幼馴染しか話す相手いなかったくらいなんですけど、なんか、そいつがちらっと俺の話をしたことで黒斗さんとの交流が始まって…実はこの髪留めも黒斗さんがくれたんです。もともとは黒とか、無難な色選んでたけどどうせ貰い物って考えたら黄色とかでも気兼ねなくつけれるだろって」
「でも、すっごい似合ってますよぉ!真緒くんにぴったりです。」
照れ臭そうに笑う真緒くんにやっぱり黒斗くんは優しい子なんだなぁと実感する。
「聞いてみた感じ、ライブに合わせてるだけあって、短いんだな。まぁ2曲やるから、普通の曲フルバージョンと合計的には変わんねぇけど。振り付けと歌詞と、ちゃちゃーっと仕上げていいもの作ろうぜ。」
「そうですね。人気でたらCD化しちゃうかもしれないですよ!」
「し、CD化…?」
「真緒はまだそういうのあまり経験してないのか?」
「は、はい…でも、そういう目標があるとまた一段と力入りますね…!」
「じゃぁじゃぁ!僕たち3人精一杯頑張って皆さんに見せつけちゃいましょう!」
おー!と3人揃って拳を高く上げる。曲ができた途端に一気に実感が湧いて僕もこれからの事にドキドキしっぱなしです!
::Just right song!!
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