イベントストーリー
What is your name?
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「ラッピング…毎回蒼空は凝ってるというか…そういうの好きだよな…?」
「まぁね…こういうリボンとか、可愛いだろ?ついつい店でずーっと悩んじゃうんだよなぁ…」
昨日、ふざけながらも出来上がったチョコたちはその場にいた皆に配ってしまった。まぁ俺も、複数で何かを作るということが楽しくてつい作りすぎたのもある。ウイスキーボンボンは誰も食べてくれないまま持ち帰りしたが…
「結局家でこうやって作ってるんだから俺たちもなんであれに参加したのかわからないよなー」
「でもお前も酔いながらもちゃんとスバルに上手な丸め方とか教えてやってただろ。そう考えたら一応講師としてできることはしたんじゃないか?」
「あと一粒二粒で酔いつぶれるところだったけどな…!黒斗が最初にウイスキーボンボンって言ってくれないから!さすがに最後は味がして気付いたけど、もうその頃にはふわふわするし。」
どうやら俺が試作したウイスキーボンボンは成功で、蒼空に普通のチョコだと言ってだますことができた。要は、酒の味を少しでも緩和したチョコを作りたくて、酒に敏感な蒼空を無断で協力させていたわけで、騙せるということはあの度数までは緩和できたということ…。
いや別に強ければ強いほどいいということじゃないから本当は最初の二、三粒の時点で終わらせようと思ったのだが、ちょっと遊びたくなった。うん、俺って性格悪いな。
「ま、ファンに渡すのはそんなんじゃないから安心しろ。あれは親の為に作ってただけだしな」
ラッピングをされていくチョコたちを見ながら俺が言うと、ほっと安心したように息を吐く蒼空。ともあれ、明日が本番だ。ステージには俺も上がれる、こともなくもないが、チョコの配布は絶対無理だと断りを入れて俺はライブの後教室で1人待機することになった。
作曲でも何でもできるから、時間の無駄にならなくて結構だ。何なら事務所からたまりにたまっている着信にそろそろ返事をしてもいいだろう。学校でも家でもだいたい蒼空がいるから落ち着いて電話もできなかったし。
「黒斗ってそういえば、チョコ誰かにあげないのか?ファンとかじゃなくて、本当に個人として?」
「…?あー俺はこの学院に入ってから感謝の意味を込めて贈り物を送る日だって植え付けられたからな。親にも、そのウイスキーボンボンやるし。」
「昔は…?」
「小さい頃はそりゃ、好きな奴にチョコをあげて告白とかするだのって小学校中学校では随分と冷やかされてたな。俺がチョコをもらいすぎるせいで」
「イケメンの贅沢な悩みってやつ?俺もそうだったし?逆にさ、そういうのされると誰か1人を特定するとなんか問題が起きるんじゃ…って考えちゃって好きな子とかできないまま高校入ったなぁ…しかも男子校…」
あははーと苦笑いを浮かべる蒼空に、あぁなんとなくわかる。と頷くとぴたりと笑みが止んだ。
「黒斗は今がその状況だもんな、せなたんとまこたん2人のさ…。ごめんごめん」
「…何謝ってるんだ?珍しいっていうか…槍でも降るのか…やめろよ明日はショコラフェスだぞ」
「え!?酷くない!?降らないから!」
反抗してくるも蒼空の視線は手元から離れず慣れた手つきでラッピングしていく。周りにはカールリボンやスターボウやらでラッピングされた綺麗な箱が何個も並んでいる。
チョコが違うのは完全にランダム制で中は見えないようになっていて開けるまでのお楽しみだ。もちろんそれが嫌だとか言う奴がいるだろうがそれはもう後から友人同士で交換してくれ。もちろん2人組や3人組で来た集団にはかぶらないように一通り俺が作れる種類で作っている。みんな同じだとつまんないだろ?と言って作り出した俺に蒼空は呆れて笑っていたが。案外、ファンの事は大切にしてるよな…なんていわれたっけか…まぁこれも最初っからそうしてるから自覚はない。
「蒼空だって十分大切にしてる。」
「何が…?」
「ファンの事…」
「そう…?俺案外顔にでちゃうタイプだから正直怖いよ。いつ素がばれてもおかしくないっていうかさー」
「ある意味毒舌なアイドルもいいと思う。」
「いやそれどちらかっていうとお前だから。俺もお前も毒舌だったら突っ込みいなくなっちゃうだろ。」
「別に漫才コンビじゃないんだからそういう言い方どうかと…」
そう言いかけたところで俺のスマホが音を鳴らす。着信か…?もうそろそろ9時を回る。確かに事務所からなら時間関係なく電話がかかってくることは当たり前だが…
「泉…?」
「おおお!?進展…!?進展する!?」
「なんなんだよ…お前…あーもう」
ラッピングをする手を止めてその電話に出る。とはいえこんな時間に珍しい。
「もしもし…」
『あ、やっと出たー…今何してんのぉ…?』
「…明日のチョコのラッピング。」
『あー、うん、そうだよねぇ…。俺も夕方、Knightsのでやってた』
「おう…」
「なになに…会話終了?」
うるさいと目で説得し俺はその場で立ち上がりキッチンに向かう。特に仕切りはないが、近くで通話するよりは…
『WWって午前中だっけ…』
「そうだぞ、お前ら午後からだろ…?」
『どうせ黒斗はチョコ配んないんだろうし俺のライブ見てよねぇ?』
「…めんどくさ。まぁいいけど、」
そう言った俺に蒼空が小声で面倒とか言わない!と説得してくるが…お前は俺のなんなんだ。
『明日、渡すものあるから、全部終わったら教室で待ってて。じゃ』
「え…なんで?」
俺の問いかけも虚しく、ぶつりと乱雑にも聞こえた機械音はまるで泉の心境を表しているようで、俺は頭を悩ませるしかなかった。
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