イベントストーリー
What is your name?
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正直気乗りはしない…というか、いくらなんだって俺がする必要なくない?せなたんも一緒についてきてくれてもいいのに?黒斗の介抱しなきゃって近くの教室に行ってしまった。いや、風邪とかじゃないから。あれは…ある意味発作だからやっぱり誰かいないと駄目、か…。
「あーあ」
黒斗をなだめるためにまともにライブを見れなかった。講堂に入ると残念なことにアンコールの終わりごろでもう幕がまた下りているところ。うーん、せめて見たかったけど…とりあえず、転校生探そう。そもそもまだ客席側にいるかすら…
「あ、いるじゃん」
そう思って、進もうとするが退場していく客のせいで思ったように進まない。えぇぇーあの、すいませんえっと逆走してる俺が悪いんだよね…うん、知ってる。知ってるけど、ごめんなさい通して!
「…」
そんなこと言えるわけもなく、講堂の出入り口に立ち、関係者の札をぶら下げてる限りその仕事は全うしなければならない。そうそう、出入り口に立って客にありがとうございましたって頭下げないとな。
「ううー、せっかく見つけたのに…」
そうぽつりと呟いてひたすら同じことを言い続ける。ありがとうございましたがゲシュタルト崩壊しそう。いつも俺こっちじゃなくて裏ですぐ手伝いとかする側だったからつらい。何なら今回もその予定だったからきっと設営とかで顔合わせた生徒会の奴らにどこ行ったとか思われてるんだろうな。
「あれ…ちょっと…っ!WWのソラじゃない!?」
「え…」
「うっそ!まさかこんなところで会えると思ってなかった!きゃー!かっこいい!?」
次々と出てくる行列から抜け出してきた女2人は俺を見つけるとぎゃー、なんて騒ぐ。うわどうしよう。よく考えたら学院内だもんね、変装もしてなければ俺のこと知ってる奴に会う可能性高かったよね。
「…う、わ」
気付いた時にはその騒ぎにざわついて俺を見つけてはさらにわぁーと騒ぐ、その悪循環で俺の周りには人だかりができていて。あろうことか色紙とか、今回の物販で買ったであろうものにサインをねだられる。うわごめん他ユニットのグッズにはさすがにサインできない…俺そこまで心腐ってない。
というかよく考えて、他の人の迷惑…あでも出てくる人次から次へと人だかりを増幅させてるから意味ない…!別に講堂の出入り口は一つじゃないから完全に詰まっちゃうなんてことないけど…
「あ、あの…俺の事知ってくれてたり、ファンだったり、すごく嬉しい。けど…ここじゃ一学生だから…」
「学生服のソラ可愛いー…!!」
「あ、あはは…」
俺の精一杯の笑顔はそのまま引っ付いて動かなくなってしまう。どうしよう。ここまで酷いことになるなんて…いや、考えればわかることってよく言ったもんだけど。本当その通りだな、っていうか俺としては自重もできないファンは嫌いなんだけど?
張り付いた笑みは自然と苦笑いに変わっていく…まずい。俺の裏がばれたらさすがに…
「みやくん…!!」
聞きなれた声…よりちょっと高い?声が廊下に響く。この騒ぎでも通るなんてやっぱりアイドルの声量は凄いな。
「ぎゃー!うそ、泉くんだ!」
耳元で断末魔とも言えるその歓喜の声に周りのファンが一瞬せなたんに気を引かれる。こいつら気でも触れてるのかとそれに物怖じしてると俺を囲む輪からグイッと手を引かれる。
「え?えぇ…?」
「ち、あとで泉殴る。」
さ、最近物騒なことばかり言ってません?ストレスかな。でも今は多分その発作も含まれてるかも…
「黒斗…!?だいじょー」
「止まるな!けほ…っ、舞台裏まで走るぞ」
「せなたんは…」
「うぇっ、後ろ見てみろよ。あいつ、あの量上手く撒くってさ…プロは違うよな…げほ」
咳をしながらも黒斗は俺の手を引き講堂の舞台裏に続く出入り口まで走る。うわ、うわうわ、黒斗が俺の手を引いて走ってるなんてもう一生ないよな?そう思うと俺はさらに強く手を握ってしまう。
「…っ?なんだよ」
「いいーや!なんでもない…!」
「なんか嬉しそうだな…はぁ…ほら、もう着いたぞ…」
そう言われると既に裏口に立っていた。短かったー…まぁでも、走ったらこんなもんか。
黒斗をちらりと見ると俺とは全然関係ない方に目をやる。…あぁ…ここは、黒斗が刺された場所だ。あの、木の陰になってるところだよな。
「黒斗、入ろう。」
繋がったままの手を、今度は俺が引き舞台裏に入っていく。そのあと少し、せなたんが慣れてますから。とでも言いたげに合流する。当初の目的を果たすため、俺は転校生を探し黒斗はせなたんといてもらう。そう、つまり、転校生に今の黒斗の状態を説明して、一喝しなきゃならない。あまり…後先考えないで行動しないでくれって。
「でも俺、そういうの本当苦手…。叱るって何…?俺にできるかな…なんなら叱るなんてレベルじゃないくらいきつく言っちゃいそう…」
自分がオブラートに包めないで指摘したりするのは知ってる。だからこそ、あまりこういうのはのり気じゃなかった。
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