イベントストーリー
What is your name?
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あの後から、目を合わせることはなかった。というか俺から見ることができなかったって言った方が正しい。
でもきっとあれはライブ中のいつものテンションのせいで、決して普段からもう目も合わせられないなんて気持ち悪いほど乙女チックなことはまずない。絶対。
「お疲れぇ…って、」
「せなたんお疲れさまー…りっつんも、にゃるちゃんもお帰りー!」
「あら?蒼空ちゃんどうしてここに?」
俺もなるくんと同じように目をやる。そこにはみやくんと、みやくんの後ろに隠れ片手で顔を覆っている黒斗。みやくんが無理矢理連れてきたのかその手は繋がれている。なんでこの2人はそう簡単に手を繋げるの?むかつく。
「特になんでってことはないけど、癖でさ、舞台裏でお出迎えーっての」
「確かに最近蒼空ちゃんまでドリフェスのお手伝いしてるわよねェ?それにライブもしてるでしょ?体力があっていいわねェ」
「暇なんだよな、仕事と違って歌って踊るだけじゃなんか物足りなくなって、」
「あら、贅沢な悩みじゃなァい?泉ちゃんと黒斗ちゃんのコネで事務所に入ったのにいつの間にか抜かれちゃってるみたいね。ね、お2人さん」
「え、あ、うん。そうだよねぇ…みやくん、先輩への礼儀ってもんがなってないんじゃない?」
せなたんも黒斗も休止してたじゃん。と指摘されればそれに反論はできない…。それよりもいつまで手握ってんの。それが気になって会話が頭に入ってこないし…
「ソラさん!私のperformance見ていただけましたか?」
「あ、すーたん!なんかぴっしりした衣装似合ってるししっくりきてて格好良かったぞ…!」
みやくんにそう褒められれば心底嬉しそうにするかさくん。あれ?でもパフォーマンスについて褒めてないよねぇ…みやくん厳しいところは厳しいからなぁ…。かさくん気付いてないけど。
かさくんとの会話に夢中になった蒼空の手からするりと離れていく黒斗はその場から逃げるように隅に移動していく。
「泉ちゃん。黒斗ちゃんに何したのよォ?」
「はぁ?何もしてないし…」
「ふふ、でもちゃぁんと顔には書いてるわよォ?」
「黒斗とはそういうんじゃないから…ちょーうざぁい…」
力なく反論しながらなるくんを追いやり、俺はその近くのベンチに座る。そうだ、黒斗とはそんな関係じゃない。あくまで仮で、それなのに浮かれて俺は黒斗にくっついて回ってた。可愛くて綺麗なものばっかり失ってきた俺にとっては、その特別なものが自分のものになったって錯覚してた。
ゆうくんも黒斗もあやくんも、可愛くて綺麗で、それなのにゆうくんは業界の都合で、黒斗は歪んだ外的要因で壊れて、双子のあやくんもそのショックでおかしくなって。
「ゆうくんもあやくんも、また輝いてきてはいる。けど、黒斗は…俺を守るためにいつまでも傷ついて壊れたまま」
「…泉」
「うわ…なに!」
「あ、悪い。いや、眉間に皺よって変なこと考えてたから」
至ってなんてことないって顔で俺の頬に冷えたペットボトルをくっつけてくる黒斗。そのまま隣に座るけど、その表情はまだちょっと硬い。
「えっと、ありがと。」
「ん。…えーと、蒼空に無理矢理連れてこられたんだが…、その、嬉しかったって、ちゃんと伝えろって。」
「…はぁ?何が?誰が…?」
黒斗にしては珍しくどもる。口をパクパクさせながら、えっと、なんて変わった初々しさを見ればそういえば同い年だよね。なんて頭の隅で考える。俺と同い年で、恋愛っていうのをよくわかってないんだから正直変な奴に引っかからないか心配でしょうがない。いや、そんなの俺が守るけどぉ…
「泉が、手振ってくれたこと。いや、それは俺じゃなくて…その、つまり?ええと、」
「とりあえずさ、一回落ち着けば?」
あまりに黒斗が動揺しているのがなんか心配になって向き合うように座りなおす。その顔は随分と真っ赤になっていて…え?何?俺なんかした?
「…黒斗…?」
「お、おー…大丈夫。えっと、つまり…」
そう言って深呼吸をした黒斗は俯き、自分の額に手を添える。そのせいで顔が見えなくなるが次に顔をあげた時はさっぱり赤さがなくなっていた。決して見間違いじゃないはずなんだけど。
「俺が、手を振り返したとき、蒼空が言うには俺が恥ずかしそうにしてたそうで、それはきっと嬉しいからだって言ってたんだよ…なんで嬉しいのか、恥ずかしいのか、よくわかんないが、まぁ、ありがとう…?」
「え、あぁ、うん?…え?恥ずかしかった?」
「お、おう…」
何それ、黒斗が恥ずかしがるとか、女装する時くらいでしょ?しかも俺が手を振って恥ずかしかったって…それはつまり?脈ありって考えて言いわけ?いやでも浮かれたらまずいよねぇ?だってただの計画上での恋人なわけで…
「どうしよう…」
対決!華麗なる怪盗vs探偵団::END
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