イベントストーリー
What is your name?
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「あ、そういえばさ、俺のファンがいるんだよ!」
「へぇ、良かったな…?」
「い、いやいやいや!?そうじゃないだろ…誰だとか聞けよ!言葉のキャッチボールくらいできるだろ!」
終わらせるなよ…と隣でしょんぼりする蒼空にしょうがないと肩を竦め、誰なんですか。と尋ねると少しいじけたように顔をあげた。
「Knightsの、朱桜司。すーたんが俺の大ファンなんだって」
「え…?」
「何その反応…」
「いや…てっきりRa*bitsの方かと…いやでも…確かにお前の技量はKnightsには負けず劣らず、だもんな。というか、世界中にファンを作ったお前だったらありえなくもないか」
よしよしと褒めてやるとまぁな!とどや顔をする蒼空。こいつはこれくらいの生意気さ、というか馬鹿さがいいんだよな。バラエティー番組でのトークもこんな感じでそれが大人っぽい曲を歌って踊る、そのギャップが色んな人に愛される理由だろう。世界中にと言っても俺もこいつもそこまで英語が堪能ではないが、海外では言い回しができなくてどもる蒼空が可愛いと人気らしい。
「それにしても、Ra*bitsさ、本当一気に伸びたよな。あのKnightsと合同で踊らせてもらえて、しかも謎解きするだけでメインにしてもらえるくらいなんだし」
「あぁ…確かに…」
転校生が説得したとはいえ、あの泉がそれに頷くくらいにはRa*bitsを認めているということ。ある意味お互い大きな一歩だ。個人主義のKnights、これからもっと飛躍していきたいRa*bits。一見Ra*bitsにしか得はないように見えるがKnightsの人間性の見直しにもなる。うん、正直協力できない問題児ばかりだし…いい経験になる。
「…あ」
ステージ全体を見ていると泉がバックダンサーにも関わらず随分とキレのいいパフォーマンスをしているのを見て、こいつ良い意味で闘争心を燃やしてるなと思った。いつも自信家なだけあってバックダンサーが気に食わないんだろう。だからこそ、その負けたくないという気持ちが出ている。いつも表舞台じゃないと本気を出さないKnightsがちゃんと手を抜かず踊っているのが、正直驚いた。初日から色々心配だったがこの数日で、協力するということを覚えたらしい。
「ほっとした?」
「んー、まぁ…な」
蒼空が俺の顔を見てふふん、と笑った。なんで嬉しそうなんだ…気持ち悪い。
「せなたん、めっちゃアピールしてるから俺笑っちゃうんだけど、ねぇ…返事くらいしてあげろよ?」
「あ?何が…?」
蒼空に促され泉に目をやるとファンサービスという名目…なのだろうが、俺に手を振っている。あいつやっぱり愛情表現が親に似ているんだろう。なんとなく少しだけ、真の気持ちがわかる。
「…あー、えっと」
「他のファンみたいに手振り返せばいいんじゃないか?こっそりやったら変だから、それなりに堂々と?」
「それなりに堂々とってなんだ…!?」
「いや、じゃあ俺の見てて?」
関係者席にいると言えど一般客のように騒いでも問題ない…が、おい、蒼空、それはやめろ。というか俺にはできない。
「せなたーん!かっこーいいーよー!!こっちに手振ってー!!」
「…、」
なんかいろいろ心配になって泉に目をやると心底嫌そうな顔に一生懸命笑顔を張り付けている。本心見えてる。あんたじゃないって。わかってるけども…
「ほら、女の子に負けないくらい高い声出せるだろ…?」
「…やっぱりお前殴るからな」
それは勘弁!という蒼空に見向きもせず泉を見るとばっちりと目が合い手を振られる。やっぱり格好いいよな…。仕切りを挟んですぐ後ろは一般客。もちろんそれに釘付けになった女はぎゃーぎゃーと割れそうなほどの叫び声をあげる。…ちなみにできる限り離れてはいるが正直鳥肌がさっきから立ってしょうがない。
「しょうがない。ちゃんとやってはいるけど逐一アピールされてもなんか嫌だしな…」
「仮にも恋人の熱烈なアピールを嫌とか言っちゃいけません。」
「うるさい。何が熱烈な…あぁ、熱烈って嫌な響きだな…刺されそう。」
そう呟くも、泉とまた目が合ったタイミングで手を振り返す。泉は一瞬驚いた顔をしてすぐに逸らされた。…やっぱりこういう時、本心が見えるというのはちょっと厄介だ。
自分でアピールしたくせに俺がこうして返すと恥ずかしさで胸がいっぱいのようだ。よくそれで踊っていられるな。そっかプロか。
「恥ずかしい…?」
「…何がだ?」
蒼空は俺に向かって泉の本心を聞いてきたのだろうか?的確に当てる蒼空に凄いなと一言言ってやれば、
「いや、黒斗の事なんだけど…?だって、顔赤いし…?」
「はぁ!?」
そこで大声を出した俺に近くの関係者はぎょっとするがすぐにライブに目をやる。いやいや、それはない…俺が?
「黒斗って感情表現乏しいけど、こういうことには弱いんだな…さっきも明らかに動揺してたし…」
けらけらと笑う蒼空にいろいろ物申したいことはあったが今はライブ中だししょうがない。それよりも自分の身に起きていることに頭が追いついてないのが問題だった。
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