イベントストーリー
What is your name?
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「仙石くんに声かけられるなんて思ってなかったなぁー、それに黒斗さんのこと眼帯付けた海賊の船長みたいに悪役だと思ってたみたいですし…」
「…俺はそんなに怖いか?」
「まぁ…無表情なのは怖がられる一つの原因ですね…」
おや、あれは…
「目良様」
「…ん?おう、弓弦」
少々遠目から、そして周りに人もいるのも含め、控え目に声をかけたのにも関わらず気付いてくれる目良様。わたくしに気付くとひらりと軽く手を振り、隣にいた遊木さまは笑顔で迎えてくれる。その行動に甘えて近づいてみるとなぜか目良様も遊木様もお手を繋いで歩いていたようで…
「ええと、あの、こんばんは」
「こんばんは」
相変わらず無表情な目良様はわたくしの疑問に気が付いたのか自分の手を見やり苦笑する。
「ちょっとした企画。」
「はい?」
「クリスマスデートの事とかで色々仕事入ってるだろ…俺は何もわからないから真に手伝ってもらってるんだ。」
「あの、デートというならば普通は女性を…」
あぁでも、女性が苦手なんでしたっけ…この間のハロウィンパーティーでも一般客の女性を怒鳴り挙句逃げた生徒がいると話題になりましたが…もしかして…
理にかなっているとはいえ学院外でこうして男同士が手を繋いでいるなど、まして学院の生徒だと簡単にばれてしまうような近所の繁華街で…
「あの、学院に泥を塗るようなことは控えてくださいまし」
「え?」
遊木様が何のことと目を丸くする当たり目良様の言葉もあまり理解されていないのでしょう。となればどうして手を繋いでいたことをひたむきに隠すのか。考えればわかります。この2人はもしかしなくても。
「プロのアイドルでしたら、けじめくらいつけられますよね?」
目良様は隠せないと踏んだのか一つ溜め息を吐かれると面倒くさそうにしつつじっとわたくしを見つめてくる。なんだか随分と博愛を意味する瞳とは大違いな目つきですが
「俺たちが本当の恋人に見えたか?」
「えぇまぁ、少なからずはそういう風に見えるでしょう。わたくしも他人の感情にあれこれはいいませんが、一般的にはあまり感心いたしません」
「真、俺たちが恋人に見えるっていることは俺もそれなりにできてるってことだよな…?」
「え、…あ。はい…そうですね。街に来た時も凄い距離開けて歩いてたのからすれば少しは黒斗さんも恋愛とかわかってきたんじゃ…、」
目良様の言葉に目を丸くしたのは今度はわたくしの方で、それになぜかうんうんと頷く遊木様にも理解ができない。恋愛がわかってきたとは…わたくしもまだそう言った感情がわからないのでなんともいえませんが
「企画、というか計画には変わりない。俺が恋愛感情を知らないからちょっと試しに付き合ってみる…ていう風になったんだよ。だからこうして」
「あの…え?それで選んだのが遊木様ですか」
その言葉は決して貶したとかではなく理に適うように女性を選ぶのが適切のはず。そうすれば苦手克服にもなって一石二鳥なのに?そういう意味で言ったにもかかわらず目良様は目を細め、明らかに不機嫌そうにした。
「なんだその言い方は…?」
その目は先ほど見透かされているような気になってしまうような目ではなくただただ恐ろしく、会長様とはまた違った権力者の目で睨まれる。怒っていらっしゃるのは明白だった。
「ちょ…黒斗さん!落ち着いて、負のオーラがにじみ出てて周りも何事かと思ってみてるから…!」
「うるさい、真は黙ってろ。おい弓弦、いくらお前でも真を蔑むような物言いは許さない」
「え…」
「ちょ、お、お兄ちゃん…!」
遊木様が何かを決意したように多少やけになりながらお兄ちゃんと口にする。お兄ちゃん?いや、ご兄弟ではなかったはず…
しかしその言葉にはっとしたように鋭いまなざしはなくなり、いつもの目良様と同じ雰囲気が醸し出される。
「あの…遊木様…」
「今のは忘れて!お願いします!あと、黒斗さんと、その…手を繋いでたことも誰にも言わないで!?」
必死に、懇願するようにわたくしに向かって頭を下げる遊木様。何なら土下座こそしてしまいそうな勢いですが、わたくしはそんなこと誰かに喋る気などないですし、それに話せばむしろ先ほどのように目良様に睨まれる可能性も考えれば自ら墓穴を掘るようなことは致しません。
「わたくしは、もともと喋る気はありませんが…」
こちらも勢いに押され戸惑い気味に答えるとよかった!と心底安堵したようで、遊木様は遠慮なしに目良様の手を引っ張り走り去っていく。
「…恋愛感情を理解するために…ですか」
その背を見送りながら呟く。正気に戻った目良様を気にも留めずずるずると引きづっていく様は…とても恋人というにはあまりに似ても似つきませんでした。
雪花 流星のストリートライブ::END
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