イベントストーリー
What is your name?
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イラついていたことまでは覚えてる。黒斗に駆け寄って、せなたんが無責任なこと言って、でも、好きだっていう相手ならいくら距離を置かれていたり避けられていたりしても心配するのはあたりまえだろ。
「こうやって気遣いもできなのにそれで黒斗のこと好きとか笑えるよなー?」
「…は?」
「だいたい俺はもともと気に食わなかったんだよ…黒斗のこと好きだとかなんとか言っておきながら黒斗に避けられた途端に怖気づいて…」
「何…俺がどういう態度取ったって勝手でしょ?俺は俺のやり方があるの。」
押して駄目なら引いてみろってさ。なんて澄まして言う目の前の人物が気に食わない。何だコイツ。黒斗をなんだと思ってるの?
「そんなのあの後輩と張り合うのが怖いからじゃねぇの?そんなんだったら最初から黒斗の事好きになったりしなきゃいいのにな?」
「恋愛感情も知らないようなみやくんの半分は黙ってなよ?いきなり出てきてちょーうざい」
「…あぁ!?」
「蒼空!待て!!」
俺が今にも殴りかかろうというところで黒斗の声が響く。振り上げた腕をやり場なく近くの机にぶつける。無駄に頑丈な机に鈍い音が鳴り俺の手は軽く赤くなっていた。痛みは感じないし痣になってもあいつならうまくやり過ごすだろう。
「っくそ、お前何しようとしてるんだ!」
てっきり向こうに駆け寄るかと思っていた黒斗は俺の方に来てその手を見ると思いきり叩いてくる。
「うるさい…あっち行けばいいだろ」
黒斗の目にいたたまれなくなり追い払うように泉とかいう奴の方へ向かわせる。それを見るとアイツは居心地悪そうにしているし、黒斗は何も言えないのか一言ごめんとだけ呟いていた。
わかることは、黒斗も泉もあの後輩も3人とも幼馴染でそれぞれみんなを傷つけたくないと思っていることだ。だからこそ、全員いつまで経っても硬直状態なんだろう。
「あーあ、本当面倒くせ。どうなるかなんて付き合ってみなきゃわかんねぇのに。」
その言葉はこいつの母親がよく言ってたっけ、しょっちゅう変わる父親に呆れて俺が一言あの女に言ったらそう返ってきた。
あの女が言ったときは言い訳なだけで呆れ返ったが、場面が違えばよく聞こえるものだ。可能性を感じる言葉になるとは。
「あぁ、そうだ。付き合ってみなきゃわかんない。ってことで、付き合ってみろよ?あまりお前らがうじうじしてるとまた殴りかかるかもしれないけど。こいつもはっきりしないことに文句はあるだろうし」
「蒼空、じゃないが…え、お前何言って…」
「じゃぁなに?黒斗はゆうくんとも付き合うの?それでどっちがいい?とか阿呆なことするわけぇ?」
「いいなそれ!」
「うわ…横槍きた…」
今まで五線譜ノートを見たりこちらを見たりとしていた初対面の男がにぱっと笑みを浮かべて大声をあげる。
いや、初対面じゃない。昔どっかで…あれって確か…誰だ?
「……俺が忘れたら他人の事言えなくなっちゃうだろ…つっきーだよ。」
「…あ、蒼空。だよな?」
いち早く俺に気付く黒斗の後ろからつっきーは近づき急に俺たちの目の前にノートを広げる。
「ぎゃぁぁ!?」
「うお、そこまで驚くのか眼帯!」
人一倍視野が狭い黒斗は後ろから現れたノートにひどく驚いていたが、つっきーはそれを気に留めることはなかった。
「これ!黒斗が作った曲だろ?他のは音から作ってるけど、これだけは歌詞から作った曲。内容はずばり、恋愛ソング!」
恋愛ソングって黒斗普通に書いたりするけど?しかしノートを見るといつもと違った感じがすぐに伝わる…
「これ…」
せなたんがぽつりと呟いて確信を得たように黒斗を見る。黒斗我関せず、というか正直空気になりたいんだろう。完全に目を瞑っていた。
「ねぇ黒斗…これって、俺…というか俺たちの事だよねぇ?一見失恋ソングにも見えるけどさぁ…」
「曲にはいろいろ解釈がある…勝手にどうぞ。」
「つまり!黒斗は避けるふりをしながらちゃんと向き合おうとしてたんだよな!問題はどちらを選ぶかで…だからほっしーの言った事をしてみれば良し!!」
あ、あだ名思い出してくれたんだ、つっきーとお揃いみたいなあだ名。っていうかつっきーなんでそんなに知ってるの?
「王様…もしかしてそれって」
「あぁ!全部おれの妄想だ…!!」
ばちーんとウインクを決めるつっきーには正直敵わないなと思う。妄想が的確過ぎて劇的に怖い。こいつまさか本当に。
「うっちゅー…?」
「っ!ほっしーもその挨拶つかってくれるのか!?なんで今いきなり言ったのかまったく意味が分からないけど!あぁでも大丈夫それもおれの妄想で補うから!」
「…さっき泉、蒼空に向かって恋愛感情も知らない半分のくせに…って言ってたよな」
「…え、うん…あれは、その」
顔を俯けたままの黒斗に言われびくりとせなたんが狼狽える、まぁ、酷いとは思うけどもう1人の俺は確かに恋愛感情も知らない俺の半分だから気に留めることもないのに。
「俺も恋愛感情なんて知らない。というか嫌悪さえしてる。それでも俺は蒼空とレオの提案に乗るぞ。俺がそれで自然に笑えるようになれば…やっただけの価値はあるだろうから。…真が帰ってきたら話しておく」
そう言ってさっさと帰り支度をする黒斗に無言でついていく、うーんこれは…まんざらでもないんだろうな?
ていうか、本命はあれだろ。昼御飯の時に言ってた笑顔を作りたいとかだよね。
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