イベントストーリー
What is your name?
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放課後になっても俺から離れてくれない泉に正直嫌気がさす。
何も言わず負のオーラがにじみ出ている時点で何がしたいかわかるが、俺が説教されてるみたいなこの状況は気に食わない。
「早くその画像よこしなよ」
「だから嵐に頼めって。」
「俺がなるくんに頼むようなことするわけないじゃん?それにこうして目の前に頼める相手がいるのにわざわざ手間かけるようなことしないから」
昼休みに品評会と言わんばかりに俺たちは真から送られてきた写真を見ていたのだが真が映っているのはたったの一枚で嵐と頬を宛てあって撮っている一枚だった。まぁ嵐ならやりそうな撮り方…というか女子力…
「確信犯なのだろうかなんなのかわからないが、とりあえず嵐に頼め。俺から送ったら真が泣くだろ。裏切者とは思われたくないんだよ」
「うるさいこのブラコン!」
「お前にだけは言われたくねぇよ!しかもお前の場合質悪いしな!!」
今頃京都で楽しんでいるであろう真の事について、本人がいないところでこういった言い合いになるのは気が乗らないどころか正直勘弁してほしい。
俺もう帰りたい。
どうせまだレッスンしたら駄目とか言われるんだし。とか言いつつ蒼空はどっかでレッスン見てやってるみたいだから置いて帰るのも…いやそれもそれだが何よりこいつもう嫌だ。
「セナ?…と、おおおお!!!黒斗!!」
2人しかいないはずの教室に随分と騒々しい声が響く。俺たちが肩をびくつかせたのも気にせず次にはうっちゅー!とさわやか…な挨拶。
「…あ、あー…月永レオ…」
こいつは途中で学校に来なくなっていたがこの間のジャッジメント以来、いつの間にやら学院に復帰している。いや父さんからは情報入ってたけど…
「黒斗!相変わらずだな?目がグルグルしてるぞ?何かと交信してるのか?わははは!面白い顔してる!」
「…ちょ、黙ってくれ」
こいつの内心は昔はちゃんとよく見えていたんだが、今じゃ次々といろんなものが飛ぶように見えて動体視力が追いつかない。というか、具合が悪くなる。だから今まであまり視界にいれていなかったのに…
「ちょっと王様?俺今黒斗と大事な交渉してるから邪魔しないでぇ?」
「交渉ー?でもほら、黒斗ふらふらしてるぞ?こんなんじゃ話できないだろ!それとも2人ならできるのか!テレパシーみたいな!?」
駄目だ、目閉じてもただただ普通にうるさい…というかふらふらしてるんだから俺を帰してくれ。
「つっきー!」
駄目だ…帰れなくなった。俺もうここでぶっ倒れてしまおうか。
「おお!?その声は…そしてその呼び方は…ええと、待って!今思い出すから!知ってるはずだから!」
「うわ酷い。俺、蒼空だよ」
「なんで答えちゃうんだよ!考えることで脳が活性化されて妄想が曲を生むのに!」
「今まで俺の事一回も思い出せたことないだろ…って黒斗!」
俺に気が付いた蒼空が駆け寄ってくる。相変わらず察しがいいというか、俺に気付くのはもう一つの人格が俺になついてるから潜在意識としてあるのかもしれない。まぁ助かるんだが。
「ちょっとせなたん…写真欲しいのはわかるけどこんなになるまで拷問するなんて…」
「いや…拷問じゃないから。というか俺は普通に交渉してたの!そしたら王様が入ってきて、それからふらふらし始めたんだって」
「わかってんならもっと心配しろよな…」
俺が思ったことを口にしてしまったのかと思えば口を開いていたのは蒼空だった。その顔を見ると怒りをにじませていて泉を睨んでいる。
これは、ただただ蒼空が怒っている。あいつだったらこんなおとなしくしてないだろう。以前、主人だと思って慕ってると言ってくれたあいつじゃ誰が相手だろうと俺が待てって言わなければすぐ手出すし。
「蒼空、大丈夫だ。ちょっとめまいしたくらいだから。」
「…そうか?」
心から心配してくれる蒼空に感謝をしながら、こういう過保護なところが変な噂をたててしまう原因なのかと痛感する。噂のせいでこいつまで恋愛感情を嫌悪してしまうのはさすがに申し訳ない。
「もっと俺が1人で立てるようになれば…な」
その呟きは蒼空には聞こえていなかったが鞄を取りに行く最中に蒼空は吐き捨てるように泉に喧嘩を売った。
「こうやって気遣いもできなのにそれで黒斗のこと好きとか笑えるよなー?」
「…は?」
うわ、あれ蒼空じゃないな?いつ変わった?怒りに身を任せた蒼空だったせいか外見の変わりがまったくなかった。普段なら目つきがまったく別人のものになるから気付くのに…
「レオ…お前はとりあえず、どっか行った方が、巻き込まれなくて済むぞ?」
「ん?巻き込まれるって何が?なんとなくあの2人の空気が悪くなったのはわかるけど、おれはもともと関係ないし…あと作曲したくてうろうろしてたんだよねー。隣のクラスではナズが後輩集めてなんか話してるし?ここしかおれの居場所はないんだ!」
「あぁー、もうわかった…。ならお前絶対横槍いれたりすんなよ?」
そうレオに念を押し、鞄から五線譜ノートを渡す。何かあったとしてもあいつが作曲を始めたら余計なことは言ってこないだろう。
そう願いたい。
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