イベントストーリー
What is your name?
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「写真?」
「あぁ…真から」
「ゆうくん!?」
無駄に反応やら動きにキレがあり俺にぶつかるくらいの距離まで迫ってくる泉。いやここ食堂だから、周りの迷惑だから。
「そういえば最近黒斗お弁当じゃないねぇ?病院食食べてて味覚おかしくなっちゃった?」
ふと俺のトレイに乗るものに目をやる泉に蒼空が話に混ぜてと言わんばかりにすかさず口を挟む。
「最初は弁当作るって言って聞かなかったんだけどな…。あまり朝からせかせかさせるのも嫌だし。俺が作るって言ったんだけど、それはもっと嫌だって…だからこうやって食堂のご飯なの。」
「というか、もう退院して1週間だぞ?どうとでもなるだろ…」
「「ならない!」」
2人が声を合わせて俺に怒鳴る。なんだよ…そんなに心配することないだろ。2人とも内心思っていることはだいたい一緒で、どうも俺には自分を大事にするという配慮が足りてないと言いたいらしい。
「別に…いくら大事にしてたってどっかで犠牲になるんだよ。」
俺がそう呟くと泉がはっとしたように視線を逸らす。お前の事言ったわけじゃないから…と思うも、それを言っても泉にとっては気休めにしかならないだろう。
「あ、それで?まこたんから写真きたって?そこの席で見ようぜ。」
思い出したように言う蒼空の言葉にそういえばと片手に持っていたスマホに目をやると向こうも昼時なのかさらに通知が増えていた。楽しみだな。なんて口元を緩ませると向かいに座った泉と蒼空がぽかんと口を開けている。
お前らいっつも俺の向かいに座るよな。というのも言ってやりたかったが
「なんだその顔。」
「いや、黒斗が笑った。」
「せなたんは見慣れてるんじゃないのかよ!?俺なんか今月初だぞ!?」
「今月は始まったばかりだろ。というか、俺結構笑ってると思うんだが」
そうだ、だって今までだって微笑ましいと思ったり、楽しいと思ってるんだからどこかかしこで笑ってるはず。
「全然だよぉ?」
「せなたんと話してると笑ったりとかっていうのはよくあるって話聞いたことあるけど、黒斗基本無表情でふって笑うから呆れて鼻で笑ってるんだって今まで思ってたんだけど」
「え、いやいや、ちゃんと笑ってるはず…なんだが」
「黒斗って、作り笑いは上手だけど、自然に笑うってことしなさ過ぎて表情筋死んでるんじゃなぁい?」
あぁ、あり得る!と蒼空が泉の意見に賛成する。…俺そんなに笑えてなかったのか。口元が上がってると思ってたら上がってなくて、無表情で笑ってたと…普段から大笑いはしないし軽く笑う程度だから馬鹿にされてるとしか思えない。と…
「そうか…」
眉間に皺が寄るのは昔から自然にできるのに。そう思いながら俺は両頬を手で上げる。
「え、何やってるのぉ…?」
「黒斗無理すんな。」
こいつら俺が割と真剣に悩んでること馬鹿にしてるだろ。自分は笑顔だと思ってたのに無表情とか言われるの傷つくんだぞ…?
俺だって、蒼空や泉みたいに笑える。そうだ、綾人があれだけ表情豊かなんだから俺ができないわけが…
「わかった…!」
「なぁに?ていうかさっさとゆうくんから来た写真見せてよ」
「俺がこんなに表情乏しい理由がわかったんだよ。綾人だ。あいつが全部持ってったんだろ」
「…何言ってんだ…黒斗。いや、そんなに表情豊かにしたいなら俺もそれに付き合うからなんかそんな現実離れしたようなこと」
「でも、あやくんならやりかねないよねぇ…」
「せなたんまで…!一番現実離れした話嫌いそうな2人が何言って…」
「だって、あやくんさ、黒斗が片目なくすまで同じような感じだったんだよ?同じって、今の黒斗とじゃなくて、昔のね?2人とも可愛くて綺麗で格好良くて、それなりに明るい2人だったしさぁ」
ふむ。と俺が昔を思い出す。確かにその通りだった。俺たちの見分けと言えば目の色くらいで、綾人は青に近い紫、俺は青だ。ともあれそういうこともあってしょっちゅう間違えられることもあったがお互いけらけら笑っていたりもした。
「綾人…」
昔を思いだせば溜め息を吐くしかない。なんであんな性格になったんだ?自信家はまぁいいとして、俺に対する独占欲が恐ろしい。
「黒斗が目をなくして入院してるとき。まぁ俺も冷静じゃなかったけどさぁ…あやくんは黒斗の分も元気でいなきゃって突拍子もないことやってたよ?と思えばずっと病室で黙って横に座ってたり。……ここだけの話、あやくんその時すっごいぶつぶつ呟いてたんだよねぇ…」
ここだけの話ってなんだよ。ここにいるみんな身内みたいなもんだろ。いまさら隠すこともなければ周りにばれても意味わかってもらえないだろ…って、え?ぶつぶつとか怖くないか?
「もしかして綾人ってその時から…」
ハッとしたように蒼空が口元に手を当てる。やめろ、わざとらしいリアクション…
「そうそう、で、黒斗が退院後も黒斗だけは前みたいにはしゃげないでしょぉ?気持ち的に」
それからあやくんはぶっ飛んじゃったんだよねぇ。という泉に溜め息を吐いて俺はスマホを開き写真を見る。嵐と真が一緒に写っていて何とも珍しい組み合わせだった。
「真は相変わらず可愛いなぁ…」
「はぁ!?」
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