イベントストーリー
What is your name?
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「おおー珍しい。っていうか…もう二度と見れないんじゃないか?あの2人が一緒に歌ってるなんて。」
「………そうだな…」
そう、今ステージに立っているのはUNDEADと2Wink。そして、朔間凛月。
泉も言ってたが最近体調が悪かったようで、零がかなり心配していた。というかあちらこちらみんなが心配していたのだが。
俺も今、体調というか環境が良くない。
「…」
「黒斗、お菓子!はい、あーん」
まるで語尾にハートが付くんじゃないかと思うほど俺にお菓子を食べさせようとしてくる綾人。何があってこうして参加しやがったのかはもう聞かないとしても、残念なことに俺がこの、…悲惨な格好をしているときに現れてしまった。しかもあの薫と2Winkの2人をだませたのにこいつは遠くから的確に俺を見つけ出した。怖い。
「ん、あーん」
黙っていても仕方がないのでおとなしく綾人のしたいようにする。
「もうおしまい。ライブに集中しろよ。お前だって曲がりなりにも芸能人なら同業への礼儀くらいあるだろ」
「え、俺がこいつらから学ぶことはないから礼儀とかいらないだろ?」
「じゃぁ言い方を変える。黙って観ろ」
「りょーかい!」
うぁー、と明らかに引いた反応を見せる蒼空に何も弁解することはない。事実だからな。これが蒼空でなければ綾人も黙ってはいないだろうが何せ同居を認めてくれている仲なだけあって綾人もおとなしい。
それにしても、凛月も零も、今だけとも言える最高の時間を楽しんでいる。今後もこの2人がこうして一緒に立てるのを俺は楽しみにしているのだが、今回限りになりそうでもある。見たところ、心のどこかでは許している凛月だが、それでも意地か何かなのか許したくないという感情がある。本当にただの意地とも駄々ともいえるが。
「にしても相変わらず、部長の歌声はいいよなー。俺は成り行きで軽音部に入ったんだけど、なんか得してる気分になるんだよな」
蒼空の言いたいことはわかる。何せ三奇人の朔間零だ。今でこそおとなしいが本人から得られることは多いだろう。そのパフォーマンスも然り、実力はあるのだから。
「俺は部活も全部泉に合わせてたからな。自由にしてる蒼空を不思議な奴だなとしか思わなかったな」
「不思議?」
首をかしげる蒼空に対し代わりに綾人が応える。
「そうそう、あの頃の黒斗はね。家族といずみーぬ、あと真くん以外のものは全部敵だと思ってたからね。俺も黒斗の傷にショックを受けてたけど、まるで人じゃなくなったような黒斗からしてみれば全然楽なもんだったんだよな」
「そういえば、その頃から急にお前が病むほど俺に執着するようになったな。」
「え?そう?昔から黒斗のことは大好きだけど」
それ以上会話を続けるのはやめておいた。なぜなら本心を見てもこいつは俺の事好きor大好き、しか見えないからだ。脳内メーカーがあるとすれば全部俺で埋まるだろう。いや決して自意識過剰とかそういうわけではないんだが。
そう考えていると蒼空がいきなり立ち上がり綾人を連れてステージに上がる。気付けばUNDEADはすでに終わっているようで、ローテーションのようにWWが参加できるようになっていた。
「って、おい待て!」
俺の静止の声も聴かずステージに上がる2人、というか、綾人お前…
呆れて声も出ないでいるとWWの定番の音楽がかかる。確かに双子だから顔も声も似てる、というか同じなんだが。っていうかいつの間に眼帯つけてたんだあいつ…踊れない、よな?振り付けとか…え、踊れてる…なんで?
「黒斗、見つけた…最初誰かと思ったんだけど…なんでそんな格好してるのぉ?」
「うぅん?あれ黒斗今ステージにいるよね?っていうかセッちゃんその子知り合い?セッちゃんに女の子の知り合いいると思わなかった」
「あ…」
「くまくん、あれ、黒斗の双子の兄だから…。なんかまたペラペラ喋ってるけど、あれは黒斗として上がってる?だとしたら迷惑だねぇ」
「双子?えっとじゃぁこの女の子は黒斗の妹とか?」
…話聞いてたのだろうか…堪え切れなくなって凛月の前に立ち俺が、黒斗だということを説明する。自分を説明するってこんなに難しいものなのか…?いや何もかもこの格好のせいだろう。
「なるほど?女が寄ってこないように女の格好したってことね。まぁ確かにいつもだったら一般客に紛れようともアイドル目当ての気合いの入った客にすぐ見つかるからねぇ」
にしても相変わらず似合ってるじゃん?
そう泉に言われるが何も褒め言葉になってないからほんとやめろ。いじめか。凛月はきょとんとして俺の事をまじまじと眺める。
「お人形みたい。ねぇねぇセッちゃん?なんか俺と黒斗の格好2人揃ったらお似合いじゃない?」
確かに、ゴスロリの俺と吸血鬼らしい凛月の衣装。2人並ぶとそれらしさが増す。あれ…?結局嬉しくないような
「…ともあれ、凛月、もう体調は大丈夫なのか?」
「うん、俺は平気。それより黒斗の方が…刺されたとかって心配なんだけど」
「心配かけて悪いな。だがこれくらい、泉の為に負ったと思えば軽いものだぞ」
「え…?セッちゃんの為ならありなんだ…?」
若干引いたような凛月の反応に俺はもっと言葉を選ぶべきだったと眉間に皺を寄せてしまった。
開演 ダークナイトハロウィン -DARK NIGHT HALLOWEEN-::END
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