イベントストーリー
What is your name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ライブが終わるのと同時に俺は走った。
間に合うか?いや、間に合わせる。余韻に浸る暇もなく人ごみをかき分ける。今頃、出演者たち、Knightsもナイトキラーズの面々も講堂の裏口から出てくるころだ。
「くっそが…」
「黒斗!?」
俺が走り出したのに一歩遅れて蒼空も後ろをついてくる。もちろん状況なんて把握していないだろうが俺の途端の行動にも文句ひとつ言わずついてくるんだから大した根性がある奴なんだと思う。というか普通ならついていけないと肩を竦めてもおかしくないのだが。
「…っ!」
裏口の近くにたどり着くその角を曲がったら…!
「…間に合え…!間に合え!!」
「な、なんだよ…何が!?」
蒼空の焦る声を聞きながら角を曲がった先にいた人物に声をかける。やはり、間違いなかった。間違いなく、あの女だった。
「おい…、はぁ、お前…なんでここに」
そう言いかけた時裏口から人だかりが現れる。間違いなくKnightsだ。その人影を見て俺は奴よりも一歩早く走り出す。そしてその人物は俺に見つかり焦るも、意を決したかのように人だかりに向かって走り出した。ナイフを、泉に向けて。
「泉…!」
聞こえないようにそう叫んだ。あたりまえだ。せっかくの時間を邪魔してはいけないのだから。
一歩先に走っていた俺はもちろん相手に追いつくのも容易かった。でも、見えていたけれどやはりそれしか方法はなかったのかもしれない。
「え、黒斗…?」
もみ合った末に泉に怪我はなく、女は以前と同じ感情で今度こそ、どうして…と動揺したように口に出した。
「黒斗!!」
早々に異常に気が付いたのは蒼空で、電話を掛けながら俺に駆け寄ってくる。よろめく俺を支えながら女を睨み付ける蒼空は警察に電話をかけているようだった。同時に救急車を1台、早急に!と怒鳴っている。
蒼空が怒鳴っている声なんていつぶりだろうな。と考えを巡らせるのを止めるように蒼空が心配するなと何度も俺に声をかけて目の前で手を振る、ついでに俺の手をがっしりと掴んでこのままでいろ。と俺を木に凭れさせる。
すると蒼空が今にも殴りかかりそうな勢いで女の襟首を掴む。あぁ、まずい、止めなきゃいけないのに。声が…出ない。
「…そ、ら。ま……て。」
蒼空が女を殴ったのか、それとも目を覚ましてくれたのか、俺がそれを目視することはできなかった。その代わり脱力して上がらない頭が俺の腹部を見る。もみ合った末に、俺の腹部にはナイフが刺さっていた。あぁなんだこんなものか。なんて朦朧とした意識で思ってしまう。もはや痛みもわからない。きっと、脳みそが痛覚を遮断してしまったんだろう。薄れていく意識の中甲高い機械音が聞こえてきて。それっきり俺は意識を手放した。
「あれ…」
あんなに避けてたつもりだったけど、今となっては関係がなかった。泉に、怪我がなくてよかった。ただそれだけだった。
「ん…?」
ジャッジメントから何日目か。その計算すらわからないまま病室で目覚めた。体を起こそうと身じろぐと右腹部が痛む。
「い"っ!?」
そう悲鳴を上げると俺の右横、しかも少し上から声が聞こえた。
「黒斗!」
「…誰だ…蒼空か?」
「当たり。ふはぁ、良かった。目が覚めた」
「…何日、経った?」
起きて早々それか。なんて苦笑いを浮かべられるも蒼空は俺にカレンダーを見せながらまだ3日しかたってないなー。なんて陽気に答える。
3日、ずっと寝てたっていうのか?
「もうすぐでせなたん来ると思うぞ?ジャッジメントの件が落ち着いたから今日、連絡入れたんだ。あ、ちなみに完治まで絶対安静だけど、そんなに深くはないってさ。あと、ナイフさしっぱにしてたから無駄に出血もなかったみたいだな」
でも驚いた。やっぱ人間の反射ってやつで黒斗ナイフ抜こうとするんだもんなー。黒斗賢いからわかってると思ってたのに。と笑う蒼空。いや、誰だって抜きたくもなるだろ。しかし、蒼空のおかげで出血も致死量に達せずに済んだってことか。知識持っててもそう簡単にできることじゃないだろうけど。
「ありがとうな。…それにしても、やってられないな」
「ん?何が」
「少年漫画かよっての、友人助けるために、自分が怪我して、運良く生きてましたなんて、なんていう展開だっての。…って、そういえば…泉にはどこまで言ったんだ?」
「どこまでって、全部話すしかないだろ…刺されたって言っただけじゃぁすまないし。…黒斗のことになると血相変えるからな。まこたんには明日伝える。お前も目覚めた日に2人も3人も見舞い来たら嫌だろ?」
「…え、なんか、悪いな。」
「それくらい気の利く脳は持ち合わせてる」
少しすねた様子でふんと顔を逸らす蒼空にもう一度、ありがとうと呟いた。
数分後、泉が来たかと思えば病室に現れた俺の家族に俺も蒼空も驚く。
「これはまた凄いタイミングだな」
なんて2人で笑い合うしか他なかった。
反逆!王の騎行</font>::END
長編TOPへ戻る